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電脳姫

電脳タウンの路地、安い屋台が並ぶ通りの端っこに、看板だけやたら神々しいラーメン屋がある。


名前は「麺処・神秘マシマシ」。




店の中は、狭い。熱い。うまい。


そして、財布にも優しい。




カウンターに並んで座るのは、リュカ・ネザとネフフル・ミーナだった。




テーブルの上には、替え玉券の山。


二人は異界魔獣討伐の帰りで、疲れて腹ペコだった




ネフフルが丼を抱え、スープを飲みながら言う。




「……はぁ。生き返る。仕事の後のラーメン染みるぅ」




リュカは無表情で頷く。




「脂は裏切らない」




「いや裏切るよ、体重に出るから」




リュカが店主に言う




「大将、三郎ラーメンもう一杯、恨みマシマシで」




「ぶっっっ!リュカちゃーん?え?どうした?今日嫌なことあったのか?」




ネフフルが突然のリュカの変化球に、ラーメンを噴き出してしまった




「あいよー!!!」




店主が電脳っ子(江戸っ子)のようにべらんめぃ調で返事する




「あいよーー!じゃねーよ。何なんでも受け入れんだあんた。増すならなんでもいいのかよ?」




店主はリュカに作っているラーメンにぶつぶつ言ってる




「あの弟子!!!裏切りやがって!!!許せねぇ」




店主は唾を飛ばしながら、ラーメンに悔恨の思いをぶちまけている




「ちょーーーと、大将、唾飛んでるよ。てか急に怖いわ、リアルに闇深そうだわ!リュカ、あれ本当に食えよ?あんたがまいた種だぞ?」




「えーーー,ちょっとお腹いっぱい。ネフフル食べて」




「あーーーもう、なんで頼んだ!結局いっつも私が尻ぬぐいすんじゃん.....唾マジでいやだわ」





ネフフルのテンションは下がり、リュカはそれを見て他人事の様にアプリのパズルゲームをしてる




「へーい、お待ち!恨み弟子弟子いっちょうあがり」




「なんだよ恨み弟子弟子って、もう誰の恨みか丸わかりじゃねーか、おっさん」




店主はすべて吐き出し満足そうだ。ネフフルは眉間に皺を寄せて食べていいものかと悩む





そんなやりとりの最中だった。




入口の引き戸が、妙に“軍”っぽい音で開いた。


ガラッ、じゃない。


ザッ、って音。




店の空気が一瞬で固まる。




立っていたのは、電脳タウンの兵士だった。


制服は黒基調。コードの様な光る文字が制服に走って点滅している。胸に光る紋章。


それが妙に“現実的に強い”圧を出している。




ネフフルが箸を止める。




「……え、まさか。リュカなんかした?食い逃げとか未払いとか大丈夫?」




「心当たり......ありすぎモンキー」




「あるんか!いや、ふざけてる場合じゃないぞリュカ。どうする?逃げるか」




「んーーーめんどくさい」




リュカはほんの少し耳クソをほじりながら答えた。




「くそ、どこまでも怠惰、あと耳クソほじんな」




「姉ちゃん俺の恨み聞いといて食い逃げとは肝座ってんじゃねーか」




「食券で先払いだろここは!マジで今あんたややこしいから、話入ってこないで。だから弟子も愛想つかすんだ!ばか!」




ネフフルはイライラすると口が悪くなる




「弟子を悪くいうな!」




店主が悲壮な声をあげる




「いや、どっちなんだよ。恨み弟子弟子とか言ってたくせに」




痺れを切らした兵士が首を横に振った。




「違う。リュカ・ネザ。ネフフル・ミーナ。至急、電脳城へ来い。電脳姫様がお呼びなのだ」




リュカが無表情で聞き返す。




「電脳姫.......」




兵士は一切ブレない。




「ああそうだ、かの最高位のお方、電脳姫様がお待ちなのだ」




ネフフルが丼を抱えたまま叫ぶ。




「でんのうひめ!?!?あの!?王族の!?」




兵士は頷いた。




「そうだ。急げ。お前らが直接お会いできるような方ではないのだぞ、一秒でも早くいけ。その恨み弟子弟子ラーメンを置いて」




「は、なんで知ってんだ?お前ら入ってくる前の茶番だろそれ、てかラーメン狙ってる?は?」




「聞いてたさ、扉に耳をくっつけてな」




「きも」




リュカは容赦ない。




「そんなことはいい、早く行け。お前らが行けば俺はそこにいる師匠と話があるからな......積もり積もった」




兵士は少し感慨深い声で言う




「弟子きたーー!お前が弟子か。何したんだ、無茶苦茶気になっていけないわ」




ネフフルが急に興味津々になる




店主が急に顔を変えて泣きそうになる




「お前、もしかして〇〇か?弟子の 丸々 丸太か?」




「○○、名前やったんかーい、もうええわ」




ネフフルは突っ込み疲れ、いつの間にか隣で眠りこけたリュカをおぶって電脳城へ向かう




「ホント変なラーメン屋だぜ。全く」




ネフフルはリュカに目をやる。すやすや寝息を立てて幸せそうに寝てる。その姿を見て少し微笑む




ネフフルは今の生活がとても気に入っている





電脳城




電脳城は、遠くから見ると“巨大な塔”みたいだ


城というより、都市そのものが一つの城郭に組み込まれている。




外壁は黒い金属みたいに見えるのに、角度によっては色が変わる。





ネフフルが顔を引きつらせる。




「……ここの空気、堅苦しいな」




「うん、さっさと帰ろ」




リュカはいつの間にか起きていた





城門の前で兵士が合図すると、巨大な門が静かに開いた。




中は広い。やたら広い。


廊下が“街の通り”くらいある。


途中で、普通にロボットタクシーが走っている。




ネフフルがツッコむ。




「城の中に交通網あるんだ、どんなスケール!?」




リュカは無表情で言う。




「王族は歩くの、だるい」




「言い方ァ!」




案内されるまま、二人は最上階の王の間へ。




扉が開く。




――でかい。




天井が高すぎて、雲がある。


床は鏡面のようで、自分の姿が映る。




ネフフルが小声で言う。




「……やだ、ここ。なんか私達来ちゃいけない場所っぽくない」




リュカが同じく小声。




「うん、パンツ丸見え」




「まぁ....確かにスカートならそうだけど」






奥の玉座。


そこに座っていたのが――電脳姫だった。


姿は若い王女。同い年か、年下か


だけど、目が違う。


ネフフルは数多のツワモノを見てきたので、面構えで能力が大体分かるが、あの目は私達の力を知りながら余裕がある異常な目だ




装いは黒いドレスに兵士と同じく光るコード文字が浮かぶ。


濃いグリーンの透き通る髪に、それと同じ色のエメラルドの瞳。気品ある耳飾り、肌は白く華奢な女の子と言う感じだ


この見た目で私らと渡り合える能力なら、とてつもない能力のはずだ




ネフフルが膝をつきかけて、途中でやめる。




「え、これ、ひざまずくやつ?あってる、間違ってる?」




「ネフフル、頭もつけて逆立ちみたいにするんだよ」




「おい、王女の前で何させる気だリュカ」




 リュカはニコッと笑い。王女の足元を見た後、ネフフルの方を見て手を叩き、ブイサインをし、人差し指と親指で丸を作り、それを覗くようにした




「あほか!!!!!リュカ!!!パンツ―丸見えすんな!!!!」




多勢の兵士たちが怪訝な顔をしてリュカとネフフルに歩み寄ろうとする




ネフフルは危険を察知し逃げる道を考える。リュカといると問題が勃発しまくりで、逃走スキルが身についた




電脳姫が、上品に手を上げた。




「よい。汝ら、この度は急な呼び出し悪かったな」




ネフフルの目がギラッと光る。




「はい!!!とんでもございません。姫様」




真面目な印象で無礼を帳消しにする作戦だ




リュカは無表情。




「大丈夫」





こいつため口だ.....ネフフルはもうどうにでもなれと思った




姫は静かに続ける。





「イドイーヌ草原に、獣が出る。汝らの力を借りたい


 討伐……と言いたいところじゃが、今回は“封印”が優先じゃ」




ん......魔獣の討伐?何故うちらなんだ?この城にもかなり強い奴はいるはずだが




ネフフルが眉をひそめる。




「失礼ですが、何故私たちなのですか?」




姫は一瞬だけ、目を細めた。




「汝らの噂は聞いておる、それに目の前で見て確信した。我が城のどの兵士よりも汝らは強いだろう。


私や例外を除いてな。勝てるとまでは言わんが」




やはり、この電脳姫は相当な使い手か.....それに変な気配がする。兵士って感じの類ではない......もっとこう勇者の仲間みたいな雰囲気の強者の匂い




「先日、イドイーヌの獣に他世界の勇者が、ただの草原の敵と勘違いして挑んだのだ、長い間やつの戦闘は見られたことが無かったから、皆どんなものか忘れていたのだが、その勇者は瞬きの間に散った,,,,,,,,」




「別世界の勇者ともあるお方が一瞬で.....ですか?」




「そうじゃ、我ら電脳タウンの一同全員、とんでもない脅威を野放しにしてたもしれん」




相手したくねーーー、ネフフルは心底思う。どう考えてもやばい奴じゃん?勝てんのか?いや、うちらならいけるだろうが.....無傷では済まないかもしれない。リュカにもし何かあったら私は抑えてたものが外れてしまうかもしれない




リュカが淡々と聞く。




「獣の情報」




この子、なんでやる気満々




姫は頷く。




「名は――イドイーヌの獣。


 我がまだ未熟者だった頃であるから三百年前から、草原に棲む“野良”じゃ。


 だが、野良の皮をかぶった厄災よ」




ネフフルが言う。




「三百年って…歴史じゃん」




あと、姫様年上かも




「姫様何歳?」




聞くな、リュカ




姫が少しだけ微笑む。




「……ストレートだな青いの、秘密じゃ」




リュカが無表情で言う。




「でもかわいい」




姫は少し嬉しそうに笑う。リュカを気に入ったらしい




姫は答えた。




「毛の無き、真紅の獅子。


 だが、牙が乱雑に生え、顎が複数ある。


 顔つきは獅子というより、餓えた大アリクイのように見える、恐らく第一形態だが」




ネフフルが嫌そうに言う。




「第一形態.......パワー系で勇者を一撃とは、結構やばいな」




姫は淡々と続ける。




「――封印してくれればよい」




リュカが首を傾げる。




「封印方法」




姫が言う。




「そうじゃな、瀕死の状態まで追いこんだら、後はこちらで封印するとしよう」




ネフフルが頭を下げる




「助かります、電脳姫様」




姫が頷く。




「報酬は出す。


 金も、物資も。汝らの食い逃げなどの罪も見逃そう」




リュカが頭を下げる


「ありがたき、幸せ」




なに、こんなときだけ。あらたまってるんだよとネフフルは思う




リュカが電脳姫に尋ねだす




「金は如何ほど?」




がめついな!おい




姫は涼しく言った。


「100万Dだそう。」




ネフフルとリュカは顔を見合わせる




「ありがたき幸せ!!!」




二人の大声が揃って出る




「現金なやつらじゃ....ふふ.....正直でよい」




ネフフルが言う




「では早速行ってまいります。姫様」




リュカも続く


「イエッサ―」




「任せたぞ、無理はするなよ。」





 二人は王の間を後にして、イドイーヌ草原へ向かう





城を出るまでのネフフルの気持ち




100万D!!!100万D!!!100万D!!!100万D!!!100万D!!!100万D!!!100万D!!!


化粧品!!!新しい可愛い服!!!しばらくの家賃!!!借金返済!!!豪華な外食!!!久しぶりに温泉旅行!!!


かーーー人生楽しい!!!




リュカの気持ち




「姫様、パンツ.....ピンク色だった.....意外」

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