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双星の継承者  作者: まさな
■第三章 流浪の王女 ― The Currency of Trust ―
25/38

●第三話 冒険者ギルド

 宿を決めた後、俺たちは冒険者ギルドに向かった。翼と靴の絵看板を掲げた大きく立派な建物で入り口の両扉は開かれたままになっている。


「ここが、冒険者ギルドです。実は私、ずっと昔から、冒険者になるのをちょっと憧れていたんです。近衛や侍女にはお忍びでもダメと言われていましたからね」


 フィーナが目をキラキラさせて言う。まぁ、冒険をする者で、街の雑用依頼や魔物退治を引き受ける場所だと聞いたから、王女様が来るような場所ではないだろう。ただ、ここで魔物から採れる魔石を買い取ってくれるそうなので、今の無一文の俺やクローディアにとっては重要な場所だ。


「ハルト、ここに入るなら、フィーナから目を離さない方が良いよ。ボクの治安予測プログラムでは、なかなかの危険地帯さ」


 小声でクロが言うので、うなずく。今の俺とクローディアは目立たないように戦闘スーツをバックパックに納めているので、あまり油断できない。レーザー銃のホルスターは腰に付けているが、使う機会がないほうがいいに決まっている。


 中に入ると、左に大きな掲示板があり、たくさんの紙が貼ってある。右手前には丸テーブルがいくつか並んでおり、冒険者の一グループが作戦会議中なのか、真剣な表情で話し合っていた。


 しかし……やたらムキムキの荒くれ者が多いな。なるべく目を合わせないようにしておこう。


「おいおい、見ろよ、あの二人、布の服でやってきたぞ」

「どうせ街人の依頼発注だろ。武器も持ってない。丸腰だ」


 フィーナは腰に剣を差しているが、銃が存在しないこの世界では、俺とクローディアは丸腰として映るらしい。ここは警告したいときに厄介だな。


「奥のあのカウンターが受付です」


 フィーナが言い、俺たちは好奇な視線をいくつか浴びながらカウンターへと向かう。


「こんにちは。今日はどのようなご用件ですか?」


 若い受付嬢が対応した。


「冒険者登録に来ました。三人です」


「ええと、雑用や入関税逃れの登録ですよね?」


「ええまぁ。税を逃れようというわけでもないのですが……」


「はぁ、ま、そういう方も多いですよ、気にしないでください。登録料は一人銀貨二枚となります。よろしいですね?」


「ええ、もちろん」


 ここまでずっとフィーナが俺たちの分のお金まで払ってくれているので、俺も冒険者ギルドでいくつか仕事をこなして、現地の通貨も稼がないとな。


「では、こちらの用紙にお名前と、出身地、年齢、ご希望のクラスを書いてください。それと――よいしょっと」


 受付嬢がサッカーボールほどの大きさの水晶玉をカウンターの上に置いた。


「書き終わった人から、順番にこの水晶玉に手を触れてください」


「これは?」


「能力値を測ったり、カルマを測定するためのものです。今までの悪行が多すぎる人は、ギルドの規則としても、王国の法律としても、登録は受け付けできませんから注意してくださいね」


 なるほど、こちらの世界の魔法技術か。しかし、厄介だな。今の俺は銀河同盟軍の軍規に違反している可能性がある。逃亡兵や、反逆罪だと……重罪なんじゃないか? 未開惑星保護条約にも違反しているし……ま、まぁ、最悪、フィーナだけでも登録できればなんとかなるだろう。


「あ、文字が書けないなら、私が代筆しますよ?」


「そうだな。じゃあ、お願いします」


 必要事項を申告する。ただし、出身地はヴィント村にしておいた。


「へぇ、お二人は思ったより年上だったのですね。私と同じくらいかと思っていました。ええと……ご結婚は?」


 フィーナがなぜか少し緊張して聞く。


「いえ、独り身ですよ」

「私も同じです」


「ふぅ、そうですか。いえ、危険なことに巻き込むのに、家族がいると気が引けますからね」


「ええ。それから、この希望クラスというのは……」


「ああ、ご希望がないなら、適当に戦士でいいですよ。どちらかというと、それ、自己申告でテキトーですし。パーティーメンバーを組むときぐらいしか使わない情報ですから」


「じゃあ、それで」


「はい。では二十三歳、独身のハルトさん! 運命の能力判定をどうぞ!」


 なぜいちいち年齢と独身を言う。勝手に盛り上がっている受付嬢を冷ややかに眺めつつ、俺は言われたとおりに水晶玉を触れた。


 すると――


「うおっ!?」


 急に水晶玉が白く輝いて反応したので焦った。


「おやぁ、この反応……?」


 クロが俺の胸元からひょこっと顔を出して興味を示す。喋る猫はここでは騒動の元だから、あとで解析結果を聞くとしよう。


「はい、結構です。良かったですねぇ。カルマは『小市民』で全然問題ないです。で、お待ちかねの能力は……おお!? 知力が17!? ええ……?」


「凄い……!」


 フィーナが信じられないものでも見たというように口元に手を当てて驚いたので、17は高い数値なのだろう。逆に低すぎて驚かれていたら嫌だ。


「わぁ……! 私、ギルド職員になってから、こんなに高い数値は初めて見ましたよ! 期待の新人さんですねえ。でも、気をつけてくださいよ? ハルトさんは他の数値は軒並みちょっと低めですから、戦士じゃなくて後衛職の魔法使いをオススメします」


「いや、魔法は使えないぞ」


「えっ? いやぁ、そんなはずは。またまたぁ」


「本当の話だ。なぁ?」


「ええ、そうね。私とハルトは使えないわ」


「えぇ……」


「じゃ、次は私でいいかしら。フフ、見てなさい、ハルト」


 なぜか妙に自信ありげなクローディアが水晶玉に手を置く。

 再び水晶玉が白く輝いた。


「おおっ、こちらも体力と俊敏さが凄いですね。ほとんどの数値が10を越えてて、人族なら……んん? 外来…種? ちょっとよく分かんない但し書きがついてますね。まぁ、種族は人それぞれですし、ギルドは気にしませんから、お気になさらず」


 『外来種』だと?

 思わず俺とクローディアは顔を見合わせる。こりゃますます、あとでクロに水晶玉の光パターンの解析結果を聞くべきだな。


「では最後は私ですね。ルミエルのご加護を」


 フィーナが小さく祈りを捧げて、目を閉じて水晶玉に手を置く。

 するとさっきよりもまばゆい光が水晶玉からほとばしった。


「ひゃっ、な、なんでしょう? なんか凄い予感。おお、これまた高い能力ですよ! うぇっ、しかもカルマが聖人君子ですか……はぁ、凄いですねぇ。ありがたや、ありがたや」


 受付嬢にフィーナが拝まれてしまった。


「あの、やめてください。それより、カードがもらえると聞いていたのですが」


「あ、もちろん、今すぐに。少々お待ちくださいね」



冒険者カード


  登録名 :ハルト

   種族 :ヒューマン(外来種)

   所属 :冒険者ギルド アルディア王国バール支部  

総合レベル :Lv.5

冒険者ランク:F

  クラス :戦士

  名声  :100

  カルマ :小市民

基本能力値 :

   STR  5

   VIT  5

   AGI  6

   INT 17

   LUC 10


――――――  

 

  登録名 :ソフィア・クローディア   

   種族 :ヒューマン(外来種)   

   所属 :冒険者ギルド アルディア王国バール支部

総合レベル :Lv.7

冒険者ランク:F

  クラス :戦士  

  名声  :80  

  カルマ :理の守護者


基本能力値 :    

   STR  8

   VIT 13  

   AGI 14

   INT 10

   LUC  7


――――――


  登録名 :フィーナ

   種族 :ヒューマン(継承者)

   所属 :冒険者ギルド アルディア王国バール支部

総合レベル :Lv.4

冒険者ランク:F

  クラス :剣士  

   名声 :500

  カルマ :聖人君子


基本能力値 :

   STR 10

   VIT  8

   AGI  8

   INT 12

   LUC 15


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