第60章 豚頭族捕虜の処遇
白髪の混じった老年の豚頭族が、長い沈黙の末に重々しく口を開いた。
「……我々を、どのように処分するつもりなのだ? もし留め置かれて虐待され、人間どもの娯楽の道具にされるのなら……我々は戦って死を選ぶ!」
その声には恐怖よりも覚悟が滲んでいた。
フィルードはすぐさま首を横に振る。
「そんなことはしない。だが選べる道は二つしかない。一つは奴隷商人に売られること。もう一つは我々の部族に奴隷として残ることだ」
彼はきっぱりと言い切った。
「どちらにせよ、奴隷という結末は避けられん。……だが、財産として扱う以上、命に関わるような無意味な虐待はないはずだ。苦労はするだろうが、生き延びることはできる」
その言葉に、白毛の豚頭族は一瞬にして葛藤に陥った。
その間に、ユリアンが馬車を駆って合流してきた。兵士たちは素早く投槍を受け取り、弓兵たちはまだ使える矢を選別し始める。――この光景を見て、白毛の豚頭族も即座に理解した。これは攻撃の準備だ。
「……っ!」
彼は歯を食いしばり、大声を張り上げた。
「部族民と相談してくる! 突然の降伏は、私一人の判断では決められん!」
フィルードは可否を言わず、ただ頷いた。
「最長で二十分钟だ。それを過ぎれば攻撃を開始する!」
兵士たちはその場で腰を下ろし、短い休息をとる。だが二十分钟はあっという間に過ぎ去った。部族の中に動きがないことに、フィルードは眉をひそめ、兵に合図を送る。
「――攻撃準備だ」
ちょうどその時だった。部族の中からぞろぞろと豚頭族たちが姿を現した。
ざっと数えただけでも八百近い数。だがそのほとんどが少年で、数百名を占めていた。残りは半ば成長した子供たちであり、白髪混じりの老人は百にも満たなかった。
「ローセイ!」
フィルードは呼びかけた。
「お前は部下を率いて、あの豚頭族たちを全員縛れ。両手を縛った後、足首もロープでつなぐんだ」
「了解!」
命令を受けたローセイが兵を率いて慎重に近づいていく。その背後からフィルード自身も部隊を動かし、暴発を警戒した。
縛り上げが完了すると、フィルードはすぐに部族内の物資確認を始めた。
駄馬は18頭――全て子馬。戦場から回収した馬が8頭、そのうち2頭は下等な軍馬だった。牛は67頭、大牛39頭、子牛28頭。羊は1700頭以上で、大羊は600余り。干し肉は6000ポンド、牛の皮400枚、羊の皮6000枚。――「かなり裕福だな」とフィルードは内心舌を巻いた。
さらに大量の革鎧もあったが、これはあまり価値を見出せなかった。
もちろん収穫だけではない。この戦いでの損害も大きかった。古参兵は全体の3分の1しかおらず、残りの新兵たちは初陣。混乱は避けられず、死傷者は68名。そのうち戦死者は23人、正式な傭兵は6人。重傷者は46人、うち12人が正式な傭兵。フィルードは「この中で10~20人は死ぬだろう」と厳しく見積もった。さらに数名は障害を残すだろうと。
一方で――61名の見習い傭兵が敵兵を一人ずつ討ち取り、正式な傭兵へと昇格していた。
片付けが終わると、部隊は次の小部族へと進軍。そこもあっさり降伏させた。さらに牛や羊を追い立てながら帰路につき、三つの小部族を制圧した収穫は最初の部族とほぼ同じ。ただし成馬は一頭もいなかった。
一日後、部隊は駐屯地に帰還。だが大量の家畜は逆に負担だった。餌代は天文学的数字。近くの草地では賄いきれない。結局、フィルードは元の数の家畜だけを維持することに決めた。それでもジャッカルたちは遠方まで放牧に出ねばならなかった。
物資の中で、干し肉2000ポンドだけを部隊の補給に回し、残りはすべてダービーの街で売却することに。
落ち着くと、フィルードはすぐに傷病兵の野営地を訪れる。まずブルースの隣に向かい、声をかけた。
「ブルース隊長、腕はもう大丈夫か?」
ブルースはすぐに手を振った。
「矢じりが刺さっただけで、少し血が出ただけです。筋や骨までは届いていません。数日もあれば回復します」
フィルードは自ら傷を確かめ、彼の言葉が正しいことを確認した。その後、他の傷病兵たちも注意深く調べていく。……見て回るうちに、胸の奥が重くなる。助かる者は誰か分からない。だが助からない者は――一目で分かる。内臓に損傷を負った兵は、ほぼ死刑宣告を受けたようなものだった。
薬草を交換した後、汗だくになりながら彼は野営地を後にした。
翌朝早く、フィルードは十名の古参兵を招集。故郷へ戻って弔慰金を届けさせると同時に、新たな兵士募集を命じる。また別に三十名の古参兵を選び、一人につき金貨一枚を与えてさらに遠方で募集をさせた。条件は以前と同じで、「砂金採り(選り抜き)」の政策も継続する。
続いて、捕らえた豚頭族奴隷たちの配置に取り掛かった。総数は千人を超える。だが働き盛りの壮年はわずか百余名。負傷者も百名近くいた。フィルードは一人ひとり確認し、感染さえなければ回復可能と判断。救命の価値がないと見なされた者は放置し、自力に任せた。
さらに捕虜を分類。家族を人間に殺された者たちは一類、壮年や負傷者、その家族は別にまとめられた。
一日がかりの尋問の末、通訳の獣人の口の周りはただれを起こすほど。だが分類は完了した。一類はおよそ五百~六百人。残りの第二類は六百人強。
フィルードは一類をすべて売却することを決定。三日後には豚頭族の負傷兵も81人が残り、他はほぼ安定。人間側も同じく、傷病兵の三分の一が死亡、さらに五人が障害を負った。
残った560名の豚頭族は再び二つに分けられる。子供たちは人質として軟禁、成人と少年は両足を縛られ、木を伐採して川辺まで運ぶ労働に従事。
食事はライ麦三分の一ポンドと、家畜の餌に使われる粗悪なオート麦一ポンド。――味は悪く、栄養価も低い。だが重労働に耐えるには必要最低限の量だった。
さらに兵舎を伐採場近くに設置し、監視を徹底。道具も石斧だけを与え、反乱を防ぐ。
彼らの従順さが、その子孫の生活水準を決める。足のロープを壊せば、その者と子供はその日食料を奪われる。逃げようとすれば即座に閉じ込められ、ダービーへ売却だ。
――こうしてフィルードは、従順な豚頭族を選別していった。やがて完全な監視が不要になるまで、徐々に人間社会に取り込まれていくことになる。




