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傭兵から商売を始めたら、いつの間にか領主になっていた件  作者: 篠ノ目
第二卷 傭兵から商人へ② ――戦場の裏側で金を動かす

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第39章 ジャッカル族を従わせる

ジャッカル族の首領ローセイは、リトル・ロバートの通訳を聞き終えると、困惑したように首をかしげ、それから一気にペチャクチャと話し始めた。

フィルードは待ちきれず、ロバートに小声で命じる。

「直接逐語訳してくれ。俺が首領と話してるように聞こえるようにな」

ロバートがうなずき、すぐに翻訳を始める。

「尊敬すべき人族の首領よ。あなたは友好的な人間だ。我らの部族を救ってくれた。我らは、あなたに服従することを望む!」

思いがけない言葉に、フィルードは目を瞬かせた。

「……お前、意外と話が分かるな。ローセイ首領、俺がこれまで出会った獣人の中で一番賢いかもしれん」

フィルードは大きくうなずき、笑みを浮かべる。

「よし、ならば同盟だ。これから俺たちは一つの連合部族を築く。獣人の大部族が攻めてきたらお前たちが前に立つ。人間の軍が来たら、俺たちが前に立つ。互いに背中を預け合うんだ。……これなら、皆が腹いっぱい食って暮らせる」

そう言いながら、馬車から大きな黒パンを取り出す。二ポンドはあろうかというサイズだ。

「さらに、俺はここで商売を始める。ローセイ、貴族の血を引くお前の名義を使えば商路はもっと安全になる。部族の戦士を商隊に加えてもいい。毎月、穀物を分け与えよう。最低でも――この大きさのパンを、一人に一つずつだ」

ローセイの目が見開かれる。

「それだけではない。商隊に同行する戦士にはジャーキーも支給する。労働に参加した一般民にも、きちんと食料を配る」

ロバートが必死に通訳を続けると、ローセイは少しも迷わず頷いた。

「もしそれが真実なら……私はあなたのどんな命令にも従おう!」

彼にとっては願ってもない話だった。牛や羊は多く飼っていても、分配は常に不足気味。狩りは不安定で、部族の多くは空腹に耐えていたのだ。

フィルードは大きく手を差し出した。

「今日のお前の選択が、どれほど賢いものか……時が証明するだろう!」

二人はがっしりと手を握り合った。


四日後。

フィルードの一行は豚頭族〈ピッグマン〉の谷に戻っていた。谷はすでに整地が進み、テントが整然と並んでいる。

ケビンが走り寄ってきた。

「団長! 入口を整地し終えました。道具が揃えばすぐ工事に取りかかれます。それと青草を大量に刈り取って、一部を乾燥させました。馬なら半月は持つはずです」

「よくやった!」

フィルードは満足げにうなずく。

「ジャッカル族に問題はなかったか?」

「いえ、むしろ獲物を持ってきてくれました。お返しにパンを渡しましたが……」

「それでいい。彼らを差別してはいけない。人間と同じように扱え。柔軟に、だ。この部族は我々の将来に欠かせない。君の手腕次第で、ここでの足場が固まるかどうかが決まる」

ケビンは苦い顔をしたが、うなずいた。

「団長のお言葉の通りに……。ただ、具体的な接し方は教えていただかないと」

「後で詳しく説明する。まずは荷を下ろせ」


その夜、フィルードはローセイの背景を聞き出すことに成功した。

ローセイは母方の親族を守るため、この荒野に追放同然でやってきたのだという。兄弟の権力争いに巻き込まれ、一度は処刑寸前までいったが、運よく「小部族を派遣せよ」という命令に救われたのだった。

「くそ、典型的な“完全に物語の主人公”じゃないか!」

フィルードは心の中で苦笑した。――だが、間違いなく理想的な協力者だ。いずれは彼の父親の座を狙えるかもしれない。


数日後、谷は巨大な建設現場へと変わった。森の木々は切り倒され、丸太は入口へと運ばれ、並べられ、長い釘で打ち込まれていく。

フィルードはマイクに百人の兵士と五人のジャッカル戦士を任せ、モニーク城へ食料の買い付けに向かわせた。追加で鉄の槍六十本も注文。

兵士は労働と訓練を半々でローテーション。ジャッカル族も伐採や運搬に加えさせた。

そして功績に応じ、傭兵たちに報酬を与えることも忘れなかった。

マイク、ブルース、ユリオン、ゾアン、ケビンの五人の給料を銀貨四枚に。

敵を三人倒した十二人の傭兵には銀貨三枚へ昇給。

さらに、ジャッカル族の待遇も整備。

商隊に同行した戦士十人は人間の兵士と同等の食料を。

若者たちには一ポンドの黒パンとオートミール粥。

ただし、労働しない者には配給なし。


これは実質的な「給料制」だった。

加えてフィルードは食料と引き換えに家畜を得て、その利益の半分を徴収。

ローセイも満足していた。かつては狩りの成果次第で満腹か飢えかが決まっていたのだ。


内部の体制を整えたフィルードは、谷の探索に乗り出す。

ラッパ状の地形。外は狭く、奥に進むほど広い。入り口付近には豚頭族が整地した十エーカーの空地。その先には果てしない森。

二十里も進むと、巨大な沼地に突き当たった。

「……なるほどな」

フィルードは納得した。これほど豊かな地でありながら、誰も手を付けなかった理由がこれだ。

――森を切り拓く以上に、沼地の開発は困難。

領主たちの力では、到底開発できなかったのだ。

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「大男主人公」 なんのこっちゃでござる(´・ω・`)ショボーン
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