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傭兵から商売を始めたら、いつの間にか領主になっていた件  作者: 篠ノ目
第一卷 傭兵から商人へ① ――異世界サバイバルと最初の血

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第13章 詐欺

フィルードは慌てて深々と礼を取った。

「ブライアン執事様! お会いできて光栄です。ご用命いただき、本当にありがとうございます。これからもきっと、多くの協力の機会があることでしょう!」

にこやかに言葉を並べると、目の前の初老の男――ブライアンの口元がわずかに緩んだ。

「ほう、実に礼儀正しい若者だな。君には何か人と違うものを感じる。きっと真の実力を秘めているのだろう。……今後の協力が楽しみだよ。」

(いやいや、そんな期待しないでくれ……俺はただの小商人だぞ!?)

内心で青ざめながらも、フィルードは愛想笑いを浮かべ続けた。

二人が挨拶を交わしている間にも、次々と傭兵たちが集まってくる。ブライアンは短く別れの言葉を告げると、すぐに彼らを迎えに向かった。

フィルードは一歩引いた位置から傭兵たちを観察した。

最低でも鉄製の槍を持っている者ばかり、中には自分と同等かそれ以上の装備をした傭兵もいる。しかし、全体としては革鎧ばかりで、武具の質はそれなり。

(……なるほど、銀貨一枚は下っ端用の相場か。こいつら上位組は絶対それじゃ動かないな。)

時間が経つにつれ、次に現れた傭兵たちは見るからに質が落ち、フィルードは妙な既視感を覚えた。

やがて全員が集まったところで、ブライアンが堂々と前に立つ。

「勇士の皆さん! 静粛に、静粛に! まずは自己紹介をさせていただきます。私はこの作戦の発起人、ブライアンです! 皆さんと共に戦えることを大変光栄に思います!」

「我らの敵は、あの忌まわしい豚頭族どもだ! 必ずや一匹残らず屠り尽くそうではないか! ここに誓います、事前に約束した報酬は必ず全額お支払いする! もし私が皆さんを騙すようなことがあれば、この首を刎ねてくださって構わない!」

(……いや、そこまで自信満々に言われると逆に怪しいんだが!?)

「よし、もう時間を無駄にはしない。まだ日が高いうちに出発だ!」

その声を合図に、160人を超える傭兵団はぞろぞろと進軍を始めた。

自然と二つの集団に分かれる。

一方は百人ほど、装備は粗末で覇気もなく、老人まで混じっている。必死に食い扶持を稼ぐ命知らずの集まりだ。

もう一方は鉄製の武器を持ち、活気に満ちた集団。鉄武器を持たぬ者が近づくと追い払う様子も見えた。

(……ああ、なるほど。ここにも階級社会があるわけだな。)

二時間以上歩いたところで一行は休憩を取り、商隊の者たちが料理の準備を始めた。

フィルードは懐に隠した焼き鳥を少しずつ口に入れながら、顔なじみの仲間に近づく。鶏肉の脚を一本差し出しつつ、小声で尋ねた。

「なあ、あの部族まであとどれくらいだ?」

仲間はがっつくように肉を受け取り、すぐに答えた。

「ありがとうございます、フィリップ様。もう遠くはありません。あと一、二時間も歩けば着きますよ。だからこそ、執事様は戦いの前に腹ごしらえをと、ここで料理を命じられたのです。」

フィリップは頷き、さらに切り込む。

「そういえば、貴族が助っ人に来るって話じゃなかったか? どうして姿を見せないんだ?」

仲間は一瞬言い淀んだが、すぐに苦笑いを浮かべて答えた。

「……残念ながら、執事様は報酬を四金貨にまで引き上げられました。それに加えて、彼らの家臣や農兵にまで報酬を約束されたのですが……結局、彼らは名誉を裏切り、来なかったのです。」

「ですが、ご安心ください! 今回は私たちだけでも百六十人以上います。あの豚頭族どもを全滅させるには十分でしょう!」

(……怪しい。怪しすぎる!)

胸の奥で漠然とした不安が広がる。

獣人の戦闘力など知らない。敵の正体もわからない。唯一頼れる情報源がこの連中だという時点で、詐欺の匂いしかしなかった。

「なあ……正直に言うと、俺は獣人と戦ったことがない。だから教えてくれ。豚頭族族には騎兵はいるのか? 武器や装備は? 知恵の程度は? 人間みたいに隊列を組んで突撃してくるのか?」

矢継ぎ早の質問に、仲間は顔を引きつらせつつも答えた。

「確かに騎兵はいましたが三人だけ、前回一人は討ち取りました。それに、彼らの製錬技術は遅れていて、鉄器は十数点しか……ただ、前回鹵獲した装備で今は全員が武器を持っているはずです。毛皮を幾重にもまとって防御力も高い。それが我らの被害の理由でした。」

「ですが! 彼らは知恵が劣っています。ただ突撃してくるだけ。だから執事様は傭兵だけで挑む決断をされたのです!」

(……クソッ! やっぱり詐欺じゃねえか!!)

フィルードの背筋に冷たい汗が流れる。あの「誠実そうな執事」に心の中で罵詈雑言を浴びせた。仲間に対してすら怒りが込み上げる。

(今すぐ抜けたい……下手すりゃ命を落とすぞ、これ!)

仲間もフィルードの表情を敏感に察知し、慌てて付け加えた。

「あ、あの……今回の件、確かに我々に非があります。お詫び申し上げます。ですがご安心ください。後ほど執事様が皆さまの報酬を上乗せされるでしょう。それが補償ということで……」

その言葉に、フィリップの不安はさらに膨らむのだった。

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― 新着の感想 ―
名前がコロコロ変わる…さてはAIだな?
面白いのになんで主人公の名前がコロコロかわるんでしょうか 色々台無しです 面白いのに、、
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