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第41話 Sランク魔族

「ほ、炎だ。うわぁああああああああああああああああああ!」


 俺がトラックの影から覗き込むと、ひとりの隊員が火だるまになっていた。


「落ち着け! シールドが護ってくれる!」

「だったら内側から燃やしてあげるわ!」


 狐のお面とフードを被った少女はそう言うと、流線形のプラズマライフルから放たれるプラズマ弾を最小限の動きで避けた。


「くそっくそっ! なんだあいつ、弾が当たらねえ!」


 焦りながらプラズマ弾を撃ち続けている隊員に、狐面の少女が肉薄すると、フルフェイスヘルメットを片手でつかんだ。


「燃え尽きろ! CRATシーラットッ!」

「グアァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」


 手のひらから業火を生み出した。隊員が一瞬で燃え尽き、黒い塊になって倒れる。


「……ッ!?」


 俺は思わず目を見開いた。

 あれはヤバい!? 明らかにAランク以上の魔族だ! このままじゃCRATが負ける!


運命を知る者(フェイター)だ! 気をつけろ、Sランク魔族がいるぞ!」

「アルファチーム! 奴に銃弾は当たらない! マイクロミサイルを使え!」

「了解! 吹き飛べ!」


 隊員たちは背面ミサイルポッドからマイクロミサイルを放った。だが狐面の少女は人間離れした動きで避け、外れたミサイルが駐車してあった車に命中し、爆発した。


(ミサイルすら避けるのか……!?)


 さすがはSランク魔族だ。Aランクでも十分強いが、Sランクからは次元が違う。本物の化け物のみが到達できる領域だ。


「くそっ、これも避けるか……!?」

「死角からの同時射撃ならどうだ!?」

「他の奴は無視しろ! まずは運命を知る者(フェイター)を倒す!」


 怪異連合たちの銃撃をシールドで防ぎながら隊員たちが二手に分かれ、狐面の少女に向けて十字砲火を放った。横から飛んできたプラズマ弾を避け、背中に飛んできた弾も少女はノールックで避ける。


「――ふっ」


 狐面の少女が銃弾をかいくぐりながら肉薄すると、隊員が構えているプラズマライフルの銃身を押し出す。そうやって銃口を逸らし、装甲服をつかむと火炎の能力で隊員を消し炭にする。


「グァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

「次はアンタの番よ!」

「来るな! このっ! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 


 隊員たちが次々とられていく。十人ほどいた隊員も残り一人になった。


(あいつ、今の……真後ろからの射撃すら避けてたぞ。ありえないだろ――いや、それよりどこかに隠れないと……!)


 CRATが全滅すれば次に狩られるのは俺かもしれない。人質にされればいいが最悪殺される。

 トラックコンテナに隠れてやり過ごすか……。


「アッ、ガァァァァァァァァァァァァッ!」


 最後に残った隊員の断末魔を聞くと、俺はコンテナに入った。

 コンテナの中に高さ二メートルほどのコンテナがある……なんでわざわざ二重なんだ?

 俺がそう思ってると、少女の声が聞こえてくる。


「これが例のブツよ! 早く乗って!」

「おう! 運転は任せとけ!」


 何人かこちらに駆け寄ってきた。


(最悪だ、わざわざこのコンテナを!? こうなったら――)


 俺は内側のコンテナの屋根に飛び乗り、腹ばいになって身を潜めた。

 コンテナのドアが閉められると、やがてドラックが発進した。


(やっぱりこうなるか……俺、このままどこに連れて行かれるんだ……?)


 さすがに不安になってくる。

 このままじゃ怪異連合のアジトとかに連れていかれそうだ。


(これ以上ヤバくなる前に、トラックから飛び降りるか?)


 俺の身体能力なら走行中のトラックから飛び降りても無事で済むだろう。


(さっさと飛び降りるか)


 そう思ったときだった。


『こちらはCRATだ! そこのトラック! 速やかに停車せよ! この警告に従わない場合は、射殺する!』


 プロペラ音が響きだす。おそらく戦闘ヘリだ。


 ダダダダダダダダダダダダッ!


 トラックの真横に弾丸が跳ねる。


(機関砲……!? おいおいおい、あんなの食らったらミンチだぞ……!)


 ガタガタと揺れるコンテナの中で俺はぞっとした。


『今のは威嚇射撃だ! 警告に従わない場合、次は当てる!』

「あいつらマジで撃ってくるぞ!? どうするフェイター!?」

「ここで別れましょう」


 焦った調子で言う男に少女が冷静に答えると、後部ドアの方へ歩いていく。


「あたしが時間を稼ぐわ」


 内側のコンテナの屋根から覗くと、狐面の少女が後部ドアに向かって歩いていた。その黒いパーカーの裾からふわふわした狐の尻尾が出ている。


(妖狐か? Aランクの妖狐がSランクいるなんて……一体どんなヤツなんだ?)


 俺がそう思っていると、狐面の少女は制御パネルを操作して後部ドアを開けた。


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