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第1話 終わりの始まり

 突然窓ガラスが割れ、先生センセがベッドに倒れた。

 場所はセンセの部屋だ。

 私――辻中美夜子つじなかみやこは高校を卒業し、担任だった守永真昼もりながまひるセンセと結ばれた。

 ベッドで愛し合って指輪を貰って、そして結婚の約束をした直後、センセは狙撃された。


「センセ……!」


 私はセンセを引きずって窓際から離れた。

 センセの背中を見ると、ひどい出血だった。血が流れ続け、シャツを赤く染めていく。

 特殊な銃弾を撃たれている。このままじゃ出血で死ぬ。

 だが私には特殊な能力があった。

 指先に魔力を込めて、黒い異空間を作り、その中に手を入れて試験管を取り出した。


(この治療薬なら助かるはず……!)


 私の能力は妙薬研究所ミョウヤクラボラトリー。あらゆる薬を創造し、無から作り出す万能の力だ。


「すぐに治してあげるからね」


 センセは意識を失ったままぐったりしている。これじゃあ飲ませるのは難しいだろう。


(直接口で飲ませるしかない)


 コルク栓を抜き、試験管の中身を口に含む。私の口からセンセの口に治療薬を流し込んだ。

 背中の傷が塞がっていく。出血も止まり、センセの身体は完全に治療された。

 だが目を覚ましてくれることはなかった。


「センセ! ねぇセンセ! 起きてよ!」


 どんなに身体をゆすっても起きない。完全に脱力したままだ。

 センセの口に手を近づけて呼吸を確かめる。息をしていない。

 センセの首筋に指を当てて脈を計ってみる。脈がない。

 治療薬を飲ませて身体を元に戻したのに死んだままだ。


「なんでよ……なんで目を覚ましてくれないの……!」


 もう分ってる。どんな薬も死者を生き返らせることはできないって、わかってる。

 だが頭ではわかっていても、叫ばずにはいられなかった。


「なにがあらゆる薬を作り出す能力よ! こんな能力じゃ、センセは……!」


 部屋の外で足音が響き出す。


 ガンッ!


 玄関が蹴破られ、アーマーを着た隊員たちが部屋に入ってくる。


「動くな! お前か完全に包囲されている!」


 装甲服パワードスーツを着た魔族自衛官《CRAT》だ。三人の隊員がアサルトライフルを私に向けている。

 CRAT(シーラット)は魔族で構成された部隊だ。魔力を動力源とする装甲服を着て、違法魔族を取り締まっている。


(魔族わたし人間センセと結ばれたから捕まえに来たってことね……)


 法律で魔族と人間が結ばれることは禁じられていた。

 こうやって市街地なのに武力で制圧するくらい重要な事件だ。人間と魔族から生まれる子供は、どんな魔族とも子をなせる強力な魔族な魔族になる。だから適切な管理が必要だった。

 他にも色々な理由があるようだけど、そんなの私の知ったことじゃない。


「あなたたちがセンセを……」

「おい、聞いているのか!? 両手を見える位置に出せ! 無駄な抵抗はするな!」


 隊員が命令してくるが、私は自分の影にゆっくりと手を伸ばした。

 私の影には妖刀が宿っている。その名は鬼切景光おにきりかげみつ。影に潜み、鬼の血を吸って力を増す刀だ。


「許さない……!」


 影から鬼切を抜き、一瞬で彼らに詰め寄ると、一番前にいた隊員を切り裂いた。


「ぐっ!」


 ひとりが倒れると、私の両側に立っている隊員がアサルトライフルを撃ってきた。ばっと身を屈めて避けると、私の長い黒髪に銃弾がかすめた。


「はっ!」


 目にも止まらぬ速さでアサルトライフルと装甲服を切り、二人の隊員を倒した。


「三名ダウン!」

「撃て撃て!」


 玄関の方から二人の隊員が撃ってくる。

 私は咄嗟に窓ガラスを割りながらベランダに飛び出し、人間離れした脚力でアパートの屋根に飛び乗った。そのままベランダの反対側に飛び降り、外廊下に待機していた十人に向かって鬼切を振るう。


「ぐっ!」

「うぁあああああ!」

「回り込まれた!?」


 一息で二人を切り捨て、驚きの声を上げている隊員も倒した。

 ここまで接近できれば銃より刀の方が強い。私は外廊下で素早く動き次々と隊員たちを切り倒していく。相手は仲間がいるから射線が上手く通らなくて満足に銃は使えない。


「高周波ブレードに切り替えろ! 接近戦で仕留める!」


 隊員たちがアサルトライフルを捨て、背中のマグネットにつけていたメタリックな剣を取り出した。

 隊員のひとりが上段から高周波ブレードを振るってくる。私はそれを受け流し、流れるような動きで隊員の首を切り裂いた。


「ガッ」

「……ッ」


 赤い目で残りの隊員たちを睨みながら一瞬で距離を詰め、さらに一人の隊員を切り伏せる。

 この程度の隊員相手なら私が負ける要素なんてない。

 まもなく私はその場にいた隊員をすべて倒した。


 ウーーーー! ウーーーー! ウーーーー!


 避難警報が鳴り響き出す。私を強襲部隊だけでは倒せなかったから本格的に部隊を動かすらしい。


「そっちがその気なら付き合ってあげるよ……センセにあんなことしたんだから、その報いを受けてもらわなくちゃいけないからね……」


 静かな怒りをのせた声で呟きながらアパートの階段を下りた。


 面白かったら★5つ、つまらなかったら★1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です! お気軽に応援してください!


 作品をブックマークしていただけると本当に嬉しいです。

 何卒よろしくお願いします。


 これからどんどん面白くなるので期待していただいて大丈夫です。

 皆様の応援でこの作品を盛り上げていきましょう!


 今日の五時ごろ二話を投稿します。

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