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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

テレビクルー

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

――なんでこんなことになったんだ……


 俺たちは日本のテレビクルー。戦争中のR国の取材で入国した。大統領に譲渡された犬を取材するはずだった。


 現地の空港に到着して待ってた車にクルーは乗った。旅疲れもあって皆寝てしまった。起きたら郊外の風景で、大統領邸があるのかと思ったら戦争の前線だった。


 銃と戦闘服を渡され現地に置き去りにされる。通訳もいない。


 軍人がすぐ来て命が惜しかったらこっち来てたどたどしい英語で伏せろという。なんで英語話せるのか聞いたらプログラマーだとのこと。徴兵されて前線に送られてきたらしい。


 なんで我々が前線にいるのか? 取材をしろということか? と、聞いたら、手元の銃に目を落として、「戦え」とだけ言われた。


――何かの間違いだ! 俺は逃げるぞ!


 そう言って、駆け出したクルーの一人はその場で射殺された。敵前逃亡罪はその場で死刑とのこと。

 そうして、我々テレビクルー一同は前線で戦う羽目になった。


 最初はこの戦争は一捻りで数日で終結すると思われていた。だが、U国は根強く反撃し、それを見守っていた国々が支援をはじめ、R国は傾きはじめた。大量の職業軍人が戦死し、前線に送っているのは素人ばかり。


 動くものにめったやたらと撃っていたら

――馬鹿かお前らは。弾は無くなるし、良い標的になるぞ。

 と言われる。だって戦ったこと無いんだよ、俺たちは。


 たぶん、R国はやけになってどんな人間でも戦争に送ろうとしているのではないか?


 そう説明されたテレビクルー一同は衝撃を受けた。皆、戦争が起きたらさっさと降伏してしまえばいいと思っていたのだ。日常は変わらないと。前線には規律の無い素人兵士ばかりで、略奪、レイプ、虐殺が蔓延している。テレビクルーは味方だから手を出さないだけ。


 いや、それはうそだ。寝てる間に屈強な兵士に肛門を犯されて泣いてる同僚を見て、私はため息をついた。


 自分だけでもU国に亡命しよう。報道で捕虜を取っているU軍を見たことがあった。連中ならまだ話はわかるはずだ。決心して立ち上がったところ「危ない!」と怒鳴られた。


 上空を飛び回っていたドローンがその動きを発見して突撃してきて爆発。


 その動画が載ったSNSでは行方不明になったテレビクルーではないかと日本では話題になり、たくさん「いいね」が付いてバズった。

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