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妻との再会

 そんな俺達が再会したのは高校を卒業して、その後大学を卒業した後だった。ちなみに、彼女は女子短大を卒業して、俺は4年大を卒業した。俺は地元でコンピュータのソフトを中心としたメンテナンスとかサポートをするような会社で働いていて、彼女も地元の輸入雑貨を取り扱う会社でワインの仕入れをしていると言った。彼女が勤めている会社が在庫管理システムを入れるということで、俺が仕様打ち合わせのために現地に出向いてその会社の社長や現場で働く人からヒアリングをしていたのだ。その時に、名刺を渡したら「やっぱり!」と言った声で顔を上げたら彼女だった。


 学生時代の人と会社で偶然出会ったらテンションが上がるのは何故だろうか。こっちは1人で現場にで向いて行っていたのだが、その日はその会社の社長、彼女、別の女性、そして俺の4人でバーみたいなところにご飯を食べに行くことになった。俺と彼女が元同級生ということもあって話題は俺達の高校時代のことになって、黒歴史のような俺のパッとしない高校時代の話と、今で言うアイドルのような彼女の当時の話をすることになった。2時間も話したら「後は若い人だけで」とか言ってその社長ともう一人の女性社員が帰って行った。ちなみに、食事代は社長が4人分払ってくれた。カッコよかった。あんな大人になりたいと思ったくらいだった。


 俺と彼女は店を変えて飲み直すことにした。俺は酒も入っていたこともあって、最高潮に変なテンションだった。そのやり取りの一部はこんな感じだった。


「いやー、本当に久しぶりだねーーー!」


 彼女も既に酔っぱらっていてニコニコしながらテーブルに顔を載せている状態。


「ホント。高校の時の俺に言ってやりたい。あの川神さんと俺は一緒に酒を飲む未来があるんだぞ、って」


 あ、「川神さん」は彼女の旧姓。


「もー! やめてよーーー! 私、そんなにかわいい立ち位置じゃなかったってーーー」


 いつも話題の中心にいたような人はそんな風に思っているんだな。いや、謙遜か? 当時の人気はクラス1とかじゃなくて、学年1位……学校単位でもトップ3には確実に入っていたと思う。


「私、いっつもみんなと趣味が合わなくて、女の子たちから『変態』とか言われてたんだからーーー」

「変態ーーー? 禁断の小学生とか……」

「もーーーー! それじゃ私変態じゃないーーー!」


 だからそう呼ばれていたのでは……って話では!? もう、お互い酔っぱらっているから会話なんてめちゃくちゃだ。


「私、小学生の時に両親が離婚しちゃってお父さんがいなかったから、それがずっとコンプレックスでーーー」


 何? 急に暗い話題の暴露話来た!?


「気付いたらおじさん好きになってたみたいで……ファザコンってやつーーー?」

「そうなんだ……。でも、川神さんのお父さんって言ったら、スタイリッシュでスマートでモテそうだなぁ」

「違う違う! 私のお父さんは本当に『おっさん』って感じだった。メガネかけてて、顔はパンパンで、お腹なんか出てたしーーー。あと、少しハゲてたーーー」


 いや、想像しただけでおっさんだろ、それ。


「まさか……」

「そう! 私、おっさん趣味でーーー。友達の誰にも理解されなかったーーー。誰とも話が合わなくってーーー。高校時代は割と告白されたけど、かっこいい人からは告白されなくて暗い高校時代だったなーーー」


 そう言えば、高校時代に聞いた彼女に告白したヤツらは軒並みイケメンで、運動部の体を鍛えたマッチョか、締まった感じのスマートなヤツばかりだった。当然、ハゲてないし。


「じゃあ、社会に出たらおっさんがいっぱいいて嬉しいんじゃ……」

「あー、ダメダメ。うちの会社の社長とか細身だし、口ひげとかおしゃれだし、髪は茶髪で見た目チャラいし、そのくせまじめに仕事をして、ちょくちょくおごってくれて気前いいし……」


 それは最高なのでは……!?


「他は?」

「若い男の人が入ってきたら、みんな細身でまだまだって感じーーー。ガムシロップを毎日1ガロン飲んでから出直せって感じだから!」


 それは普通に糖尿病になるのでは……。


「その点、風間くんはいいお腹してるね!」


 あ、「風間」は俺の名前ね。丸テーブルの横に座っている彼女が俺の腹をポンポンと叩きながら言った。彼女に触れられた。俺はもう死んでもいい。


「俺はモテないから……。高校時代も今も……」

「いいねーーー! ライバルがいないのかーーー。ポイント高いよ! 風間くん!」


 今度は、彼女が俺の肩をバンバン叩いてくる。言ってることは上からなんだけど、酔っぱらっているからか顔は真っ赤なんだよ。テレているのかもしれない。そして、テレ隠しでこんな上からっぽく言ってる感じ。


「ちょっと、高校時代のヨシミで連絡先交換しませんか?」


 そんなことをテレ笑いで冗談っぽく言いながら、彼女が自分のスマホを取り出してLINEの画面を出す。


「あれ? ここ? こっち……だっけ?」


 どうやらQRコードを出したいらしい。


「ここだよ」


 俺はこっち方面は得意中の得意だ。彼女の画面をポンポンとタップしてQRコードを表示させた。そして、自分のスマホも取り出して、彼女のQRコードからアカウントを交換した。


 高校時代からもう一回り、二回り巨大な身体になっていた俺。完全に「チー牛」だったし、オタクは継続していた。ただ、言い方は悪いけど、彼女はデブ専だったので、それは俺の体型マッチしていた。大学時代はコンタクトにしたのだけど、目がしばしばするので再びメガネに戻していたけどそれもポイントが高かったらしい。後はハゲていたら完璧だと言われたけど、それはちょっと……。


 ここで言いたかったのは、彼女は高校時代からお高くとまったクールで嫌な美人って感じじゃなくて、高嶺の花には違いないけど、独特の感性の持ち主で何とか周囲に合わせようとしていた人ってこと。そして、オタクでも誰でも……俺でも変な心のハードルが無いいい人ってことだ。


 俺達は偶然の再会からアカウント交換をして、日常のこととか、テレビのこととか、お互いの好きなことを言い合ったり、話題の店に食べに行ったり、動物園とか水族館とか色々なところに出かけるようになる。そんな関係を続けながら約1年くらい経った頃、俺は彼女に告白して、彼女はOKしてくれて付き合うようになったんだ。ちなみに、この時点で俺達にはまだ身体の関係はなかった。


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