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ダンが『怪しい集団』を目撃した地点へと、おれは向かう。妹のコレットとともに。
「お兄さまが任務を果たすところを、こうして見守ることができて、わたくしは幸せですわ」
コレットが寄り添ってきて、そう言ってきた。
さて、ストレス数値は3で安定中。不思議だ。なぜかある条件下では、コレットのストレス値が爆上がりしてしまうのは。その条件を見出さねば……。
あれ。これって妹とデートしているようなものじゃない? 今日は人生で最良の日となるとみた。
「あっ、お兄さま。あちらの民家に浸入する者たちが」
いまおれとコレットが移動しているのは、まだ魔物たちが襲来していない地点。つまり第二防衛ラインと都市中央の真ん中の、ちょっとした空白地帯。
そんなところで武装した男たちが、民家に入り込もうとしている。
しかしここはまだダンの目撃した地点ではない。それにあれは『怪しい集団』というより、ただの武装強盗犯たち。
「あいつらは、ただの武装強盗のようだな。治安局のものたちも防衛部隊にまわされているから、この隙に強盗に入るつもりらしい。ダンが言っていた『怪しい集団』とは違うようだ。だからといって、見逃せにはできないな」
くだんの民家に入ると、三人の武装強盗犯が、家の者たちをロープで縛っているところだった。
強盗犯の一人が、こちらに気づく。
「なんだてめぇ、殺されてぇのか!」
手斧片手に襲ってくる。いや、まてまて。おれはサボりがちでも、A級冒険者だぞ。なめてくれるなよ。
素手で強盗犯たちを叩きのめして、連中が持ってきていたロープで拘束する。
「どうされるのですか、お兄さま? この捕らえた強盗犯たち、治安局に引き渡しますか?」
「いまはそんな時間はない。おれの読みが正しければ、『怪しい集団』と襲来中の魔物群には繋がりがあるはず。つまり、いま核心に迫ることができるのは、おれたちだけということだ」
「さすがの推理力ですわ、お兄さま!」
「いやぁ、この程度で、照れくさい」
というわけで、強盗犯たちを連行している余裕はない。さすがに殺すのは気の毒なので、もう悪さをできないよう、両手足を切り落としておくことにした。
「お前たち、両手足を切り落とすだけで許してやる」
と、おれが宣告すると、となりでコレットが感動している様子。
「お兄さま。公平かつ明晰な裁きですわ!」
しかし強盗犯たちは反論があるらしい。
「ふ、ふざげるんじゃねぇ! 強盗なんてせいぜい5年の服役で済むぞ!」
「てめぇが裁判官の真似事をするな!」
「いい加減にしろよ!」
「残念ながら、S級冒険者は緊急の場合、人を裁くことができる。ちなみにおれはA級だが、S級の友達が多いので、S級みたいなもんだ」
一人目の両手のロープを解いてから、まずは右腕の付け根へ狙いをつけ、片手剣を振りかざす。
「や、やめろぉぉぉぉ! 助けてぇぇぇ!」と泣き出す強盗犯。
「何事も代償ははらうことになるんだ。強盗なんかする前に気づくんだったな」
振り下ろしたところ、安物片手剣の切れ味が悪くて、半分しか切断できなかった。
「ぎゃぁぁぁあああああ!!」と強盗犯。
「悪い悪い」
片手剣を連続で振り下ろして、ばっさりと斬った。次に左腕で、さらに右足、左足。
そこから作業的に、残りの強盗犯たちの手足も切り落とす。
ざくざくざくざく♪
うーむ。しかし切れ味がそんなによくないので、けっこう苦労した。悲鳴がすごくて耳がきーんとしてきた。
切断後、失血死しないよう、切断面に藁を詰めておく。
「藁で止血ってできるのかな」
コレットが頬を上気させて、おれを見上げる。見よ、ストレス数値は0!
「あぁ、お兄さま、素敵な手際でした。悪をさばきながらも慈悲も示す。わたくし、間近で見ることができて、幸せですわ」
「そんなに褒めないでくれよ。じゃ、『怪しい集団』捜索に戻るとしよう」
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