表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/13

2

 

 さてさて。魔物側の陽動作戦にまんまと嵌った防衛部隊。

 都市中央まで地中トンネルを掘って、精鋭の魔物どもが送り込まれてきた。


《飛兵》のアイシャは、さっそく相棒のペガサスとともに臨戦モード。いまにも飛びだし、魔物たち相手に大立ち回りを演じようとしている。


 こういうとき、おれは冷静沈着──他のパーティメンバーと比較すると。

 だからリーダーの重責を任されている。


「アイシャ。お前は、なんとしても妹をここから避難させるんだ。魔物襲来によって、ストレス値が跳ね上がる前に」


「優先順位がおかしくない、リーダー? 身内贔屓って、あとから叩かれるよ」


「お前は、あー、何も分かってない。何も、分かって、ない」


 妹のコレットがストレス値98に達したことは、これまで三度。三度とも、国家規模の戦略魔術攻撃が起きたかのような破壊と衝撃。

 ようは、皆殺し祭り。

 この世には、バーサーカーを気取っている輩は多いが、本物の鬼畜無双は、洒落にならん。兄のおれが言うのだから、これは正真正銘。


 ところが会話を聞いていたコレットが、おれの右手を握りしめる。そして健気なアイスブルーの瞳で、おれを見上げてくる。


「お兄さま、わたくしのことは気になさらないで。何よりまずは無辜の市民の避難を最優先にして。お兄さまが冒険者として責務を全うしてくれるのが、妹としての幸せです」


「コレット! なんて心の優しい妹!」


 おれの胸は妹への誇らしさで一杯。

 ちなみにコレットのストレス数値を、〈ストレス鑑定眼〉でチェックしたが、3は変わらず。魔物襲来くらいでは、コレットの穏やかメンタルは不変ということか。お兄ちゃんも安心だ。


 と、アイシャがおれの肩を叩き、


「こらこら、妹とデレデレしている場合じゃないよ、リーダー。早く市民たちを避難させないと。ここには戦えるのは、あたしたちだけだよ」


 アイシャは、おれに対してボディタッチが多い。ただ、これは男女を意識しているわけではなく、仲間ゆえに距離が近いということだ。クエスト成功したときの勝利のハグとかも普通にするしな。


 ふと見ると、コレットが奇妙な眼差しを向けてきている。なんというか、眼が爛々と輝いている。というか、瞳孔広がりすぎではありません?


 そして、なぜかストレス値が爆上がり中。

 あっという間に、30を超えている。


 やばい、やばい。なんか知らんけど、可愛い妹のストレス値がガンガン上がっている。なんだ? 何が、いけないんだ、これは。さっきまで3だったのに。え? え?


 冷や汗をどばどば流していたら、アイシャが心配してくる。


「どうしたのリーダー。突然、顔色が悪いよ。まさかさっきの戦闘中に、毒を受けていた? あたしに見せて」


 毒状態かを確かめる方法はたくさんあるが、眼球運動を見るのもひとつだ。そこでアイシャが自然な流れで、おれに顔を近づけてくる。


 顔が近い。

 これが相手がアイシャじゃなかったら、ドキドキするところだな。むろんアイシャも美少女といって差し支えないが、パーティの仲間として、共に死地をこえてきた身。すでに異性とかを意識する領域は越えた。


「アイシャ。おれは大丈夫だ。いや大丈夫ではないが、少なくとも毒ではない。そうでなくて、コレットが、」


 アイシャと顔は近いまま、ふと視線を戻すと、コレットのストレス値が60を超えていた。そして、いままで見たこともない速度で、破滅の数値まで駆け上がろうとする。


 あーー、終わる! 世界が、あっけなく終わってしまうー!

 誰かどうにかしろー!


高評価、ブックマーク登録、お願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ