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まてよ。
この魔水晶には、鍵穴らしきものがある。魔水晶が魔物たちを呼び寄せているのならば、それを解錠するための鍵が必要だ。
基地外の老人の頭部粉砕の死体を検分したが、鍵は所持していなかった。念のため飲み込んでいることも考えて、腹を裂いて、内臓も引き裂いてみたが。
「あー、気持ち悪い仕事だなぁ~」
「お兄さま、あちらの祭壇に鍵のようなものがありますわ」
「そっちか。死体損壊する前に気づいて欲しかった」
祭壇から鍵をゲット。これを魔水晶の鍵穴に差し込めばいいわけだ。
「鍵を鍵穴に入れることで、魔水晶の『魔物呼び寄せ』が解除され、この都市は救われることになる。たぶん」
慎重に、鍵穴にゆっくりと差し込んでいると、なぜかコレットが熱っぽいまなざしで見ていた。なんか吐息が甘い。
「どうした、風邪か?」
「お兄さま、これはまるで、あれの暗喩のようではありませんか?」
「あれって、なに?」
マジで意味が分からなかったので、真面目に聞いた。
するとコレットは耳まで真っ赤にして、しかしなぜか鍵と鍵穴から目を離さずに、妙に恥じらいつつ言った。
「お兄さま、わたくしに、それを言わせるのですか?」
なんなんだろ。
見ると、コレットのストレス数値が、ぐーんと跳ね上がっているではないか。
このとき、ガーガ先生の言葉が想起された。ちなみにガーガ先生とは、我が家のかかりつけの医師であり、コレットの【バーサーカー】化の条件発動についても、解説してくれたものだ。先生いわく、ストレスというのは、必ずしも不愉快なことばかりで上がるものではない。
何か精神が急激に興奮したときも、ストレス数値も上がるのだ、と。
え、何か興奮しているの? コレットは、いまいったい、なにに興奮しているの? というか、なんで鍵穴に鍵を入れるのを見ているだけで興奮できるんだ? どうすればいいんだ? 抜くか? いったん鍵を抜こうとしたが、いやそれでは、魔物襲来を止めることができないと思いなおし、やはり入れなおした。
可愛い妹が、なんか艶っぽく叫んだ。
「あぁ、そんな激しく抜き差しされては!! コレットはもう──」
で、ストレス数値が一気に123になった。
98なんて、もう一瞬で駆け抜けたよ。
「訳が、わからない」




