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見ろ、コレットの期待に輝くアイスブルーの瞳を。
これはお兄ちゃんがキメラを打ち倒すことを信じて疑わない瞳なのだ。
つまり、ここで逃げると、コレットのまなざしが失望満点のまなざしに切り替わる。ああ…それは死ぬよりつらい。
妹によいところを見せたい。
という一心で、まったく格上の魔物にソロ討伐を挑む流れになった。自殺願望はとくにないんだが。
キメラの倒しかたは、まずしっぽの蛇は毒を吐く。この毒霧、解毒してくれるヒーラーがいないと、吸い込んだら即死。
胴体のヤギ部分は全体魔法攻撃を仕掛けてくる。魔法攻撃なので、魔法職の防御結界でないとガードできない。
最後に頭部のライオン部分。これは物理攻撃に特化しており、牙の一撃で、どこぞの城壁が粉みじんになるのを、昔、見たことがある。そのとき思ったね。あんなキメラなんという化け物とは、ソロでだけは戦っちゃダメだな。速攻死ぬし、と。
あー。これはやっぱり、死ぬんじゃないの。
とりあえず窓から外に出ると、健気な妹も、お兄ちゃんのそばにと付いてきた。
まてよ。兄のおれが殺されたら、コレットのストレス数値は98を突破することは間違いないだろう。キメラが瞬殺されるのはいいが、そのままこの商業都市も灰燼に帰すことだろうなぁ。
「あのー、コレット。やっぱり、ここは戦略的後進を」
あんまり、お兄ちゃんの話を聞いていないコレット。
そのかわり兄への誇りと信頼に満ちたまなざしで、
「お兄さまでしたら、あんな雑魚魔物は、一撃で消し飛ばしてしまいますわね!」
「……」
ハードルを上げすぎ。
とにかくジョブ【グラディエーター】では勝てないので、ダメもとで天性ジョブ【兄】にジョブチェンジ。これによって、ステータスは無限。
【兄】のジョブ・ユニークスキル『妹の期待に応えることができる』が発動展開されたのだ。
「あぁ、ステータス無限って、なんだろうか。『妹の期待に応える』スキルって、なんだろうか」
とりあえず額のいやな汗をぬぐう。そのため右手を横向きに動かしたところ、これが衝撃波を生み出した。
その衝撃波はキメラを粉みじんに吹き飛ばし、ついでに進行方向にある家屋をバラバラに吹っ飛ばしてしまったのだ。
「………えーーー」
「さすがです、お兄さま! わたくしが思い描いたとおりの無双ぶりでしたわ!」
あぁ、『妹の期待に応える』って、もう文字通りの意味なのか。
なんて物騒なジョブスキルだ。
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