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「お兄さま、さすがです。自力でジョブチェンジができるなんて!」
と、妹から尊敬のまなざしを一身に浴びる。
ところで。結局、ジョブというものは何か。突き詰めると、才能の別名、となる。ただし、ジョブギルドが儲けるためのシステム、という説もある。
ジョブを得るルートは、一定のレベル(というか実力)を持ったうえで、ジョブギルドに多額の料金を支払う。ジョブチェンジも然り。
このルートで得られるジョブとは戦いかたの方向性であり、魔法の才覚がある者は、魔法職のジョブを得る。または魔法職のジョブを得たことによって、魔法能力を覚醒していくのか。鶏が先か、卵が先か。
ちなみにジョブギルドと冒険者協会は提携関係にあるが、冒険者割引というものはない。そもそも冒険者になるためには、最低ひとつのジョブを獲得せねばならない。
あれ、まって。これって癒着って奴じゃないの? または談合? 裏金のにおいがある。
まぁ擁護的にいうならば、ジョブを会得する程度の実力がないと、冒険者になっても長生きできないよ、と。そういう最低限のハードルを設けている、のかもしれない。
ところでジョブギルドを経由せずに、生まれながらにジョブを得るものも少なからずいる。そういったジョブこそが、真のジョブなのかもしれない。天性のもの。
妹の【バーサーカー】というのも、その一つであり、いわば神格化されている。
おれのもうひとつの、こちらは天性ジョブ【?】もまた、それである。
ジョブ【?】とは何か。なんかすごいのか。うーむ。これはただ命名不可だったため。それだけのこと。
なぜならばこのジョブのユニークスキルが、『妹の期待に応える状況下において、ステータスが無限化する』というものだからだ。
なんだ妹の期待に応える状況って。なんだ無限化って──それは無敵とはまた違う、らしい。
可能性の無限なのだ。おれはそれを、あえていうならば、
『妹が大好きなお兄ちゃん』と名付けよう。それは唯一無二のジョブである。よっておれのジョブは、【兄】。……たぶん世界一強い(願望)。
「兄が妹のため真の力を披露するときがきたようだ。ステータス無限の深みを知るときが。ジョブチェーンジ」
「あの、お兄さま、沈思黙考されている間に、敵の女魔法剣士がどこかに行ってしまいましたわ」
「……ジョブチェンジ中止」
未知数の【兄】ジョブ使わなくてすんで良かったが、あの女魔法剣士が消えたのが気になる。仮に逃走せねばならない理由があったのならば、それって、おれたちにも適応されるんじゃないか?
などと考えていたら、建物の外から、これは紛れもないキメラの雄たけびが聞こえてきた。あの女、討伐難度S格の魔物が来たので、逃亡したのか。
「あ、やばい逃げ遅れた」
コレットが窓から外を見て、キメラを視認。
まじめな顔で、おれに言ってきた。
「お兄さま。お兄さまの『獲物』がすぐそこに」
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