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第51話 説明


『グレゴは、わるいやつじゃないんだ。ちょっとねじまがっているだけで、自由を愛する熱い男だった』


 なつかしそうにクロがいう。人が増えて手狭てぜまになった馬車のそとを歩いてついていきながら一人と一匹の話である。


「言ってることは厳しいけどなぁ。あこがれの人は暗黒神官ダークプリーストってか」


『まあな』


「それで、そんな性格に……」


『ああ、いい性格だとよくいわれる』


 ちょっと照れたような様子が新鮮だ。いい性格、よい性格、一文字違いでえらい違いだが、本人が幸せならまあいいだろう。


「ところで、これで四英雄がそろったな」


『四英雄? ああ、巨人殺しの四人か。まだみぬ未来の英雄だがな』


「説明は?」


『説明? なんのことだ?』


「四英雄がそろえば、呪いのときかたを説明すると約束しただろう」


『そんなこと言ったかにゃあ』


 にゃんにゃんとネコのふりをしながら馭者台ぎょしゃだいに跳びのって日向ひなたぼっこだ。グレゴのいう自由とは似て非なるもの、自由奔放のほうへ行っちゃってる気がする。


 自分で過去のまぼろしのような世界へひきこんでおきながら無責任きわまりない。ここはひとつ実力行使に訴えるとしよう。


『あだだ、わかった、わかった。シッポを持つんじゃない。説明してやるから離せ。な?』


 と、あとは逆さ吊りのネコからきいた話だ。


 ……にゃんだか、だんだんネコっぽくなってきたにゃあ。すがたを変えるのは危険だからなぁ。この大魔法使いさまにして、じわじわと影響をうけるのは避けられん。


 で、にゃんの話だったか。


 ああ、そうそう呪いのときかただったな。予想はついているだろうが、おまえが持っていた黒いナイフは、もともとラキの一族に伝わる魔剣〈餓狼〉の片われさ。

 にゃんで片われなのか。どういった素性すじょうの呪いなのか。こまごま説明するつもりはないにゃ。これから過去の出来事を追体験することににゃるから、そのへんは省くぞ。

 魔剣の使い手であるおまえ自身が、その成り立ちを知り、背景を知ることが大事なのだ。この世界は魔法で再現された影に過ぎんが、我らの存在自体が出来事に変化をもたらし、本来の世界にもそれを響かせるだろう。なんだ? わけわからん、みたいな顔をしてるじゃないか。ほうほう、ほんとうにわけがわからんのか。


 まあ、仕方ないのう。


 どう説明したものか。もう、めんどくさくなってきたにゃあ。……わかった、わかった、耳をひっぱるのはやめるにゃ。


 おお、いかんいかん、我は大魔法使いさま、我は大魔法使いさま、ネコではない、ネコではないぞ。えーと、にゃんだったか。


 このあと、魔女と巨人を討伐するわけだが、そこで呪いをうけるのさ。ほんのすこし、ものの見方や感じ方をねじまげる呪いをな。


 本人たちも気づかぬほど、うすく効き目のながい毒のようなものだ。


 呪いなどなくても、人は人を想い、恨み、怒り、妬み、愚かなふるまいをするものよ。そこに悪意ある呪いをひとしずく。暗黒神官ダークプリーストの判断をくすませ、姫君プリンセスの気持ちを曇らせ、狂戦士バーサーカーの忠誠を狂わせる。そして、死霊魔術師ネクロマンサーの想いを腐らせるのだ。


 いいか、この旅を通じて、呪いの成り立ちを知り、四英雄を知ることだ。おまえとレナと、ついでに我の存在が、現実の魔剣にも何らかの影響を落とすことを忘れるな。


 わかったにゃ? いや、わかったな?

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