第50話 同行者
いま、俺たちは荒れ地をぬけて、魔女の砦へむかっている。
もちろん、魔女と巨人の討伐を命じられているのはソフィアたちなのだが、俺とレナ、それにアーも一緒だ。それにはそれなりに、ひともんちゃくあったけれど、
「いいんじゃないですか!」
との軽い一声で決着した。
ブガンの屋敷へ来たときとおなじように、牢馬車にゆられていく。今度は、拘束されたりはしていないけれど。
俺とレナが一行についていくのは、クロ《=大魔法使い黒猫ver》が、なんとかして付いていかなければ、もとの世界へもどれないと言うからだが、アー《=大魔法使い少女era》については、また事情が違う。帰るに帰るあてもなく、本人たっての希望だった。クロは語りたがらなかったが、実際にもそうだったようだ。
狂戦士のラキは姫さまの意向にしたがうというところ、暗黒神官のグレゴは同行者が増えるのに強硬に反対していた。特に、アーに対しては冷たいと言って良いほどだった。
「なぜ、ついて来ようとする?」
ぴしゃりとした物言いに、アーは言葉をかえすことができない。そこへ、たたみかけるように問いかけを続け、
「我々はブガンの仇だぞ。復讐のために寝首をかくつもりか? それとも、節操なく我々に寄生するつもりか?」
「こ、こ、こ……」
「はっ! ニワトリのまねか」
悪意あるやりとりに、アーを庇おうと口を出しかけたが、
「だまっていろ!」
と一喝された。
「偽善者めが。偽善者をみると反吐がでる。偽善すらできぬものをみても反吐がでる。貴様らがどうであれ、やはり反吐がでる。これは、この娘だけの問題だ」
「こ、こ、こ……」
「言いたいことがあるなら、さっさと言え! さもなくば、そのみっともない口を閉じろ!」
責め立てるようにいわれ、涙ぐみながらも、グレゴをにらみかえし、アーが口をひらいた。
「こ、こ、こ、これは、ア、アーちゃんの意志デス。ブ、ブガンさまの仇は、み、みなさんではありません」
「ほう、では誰だ? 貴様か? 貴様のせいか? 貴様を自由にせんがために破滅を選んだ。だから、貴様のせいか?」
「そ、そ、そ、そのとおりデス。で、でも……」
「でも、なんだ?」
「ブ、ブガンさまの意志を否定することは許しません! ブ、ブガンさまは、ひ、ひとであったと聞きました。ねじけた魔女の力で、あのような、す、すがたに。ほ、本当の仇は魔女なのデス。ア、アーちゃんは……」
「なんだ?」
「ブ、ブガンさまの、か、仇を、と、とり、とり、とりたいデス!」
これまでにない大きな声でいいきった。その言葉を、ふむ、と聞きながら、
「言えたじゃないか」
と、グレゴがにやりとしてみせる。
「たしかに伝わったぞ。もっともっと、みっともなく、なりふり構わず話せばいい。見ためだとか体裁だとか、そんなことを気にするやつにも反吐がでる。もっと醜く足掻けばいい。ぶさまに足掻く者たちは嫌いではない」




