第一章④〜邂逅〜
お母さんの話ではこの学校は50年は変わっていないという話だったが、全くそうとは思えないようなきれいな校舎だった。
前世の俺が通っていた小学校も築50年くらいだったが、壁は薄汚れて、床は歩くだけで音がミシミシなっていた。確か、俺が卒業した次の年に改築されたんだっけな。
そんな俺の母校と比べると同じ年代なのにこっちのは新築のような輝きを残している。それに、敷地が広い。校庭が俺の母校の5倍くらいはあるぞ。
そうやって地球のことを思い出してボーッとしていたらお母さんが声をかけてきた。
「ここで頑張って鍛錬して、お父さんみたいに立派になってね」
……鍛錬?変わった言い回しだなぁ。普通に勉強って言えばいいのに。
でも、そういえば父さんが普段何をしているか知らないな。
俺が起きた時にはもういなくて、帰ってきてもサラリーマンのようなスーツではないし、なにか書類などを持ってくるということもないしな。
父さんって何をしている人なんだろうか。帰ったら聞いてみよう。
「さぁ。そろそろ中へ入りましょう!」
お母さんはだいぶご機嫌だ。まあ、自分の息子が学校へ行くのだ。それはご機嫌にもなるだろう。
その時、俺は見つけた。
この看板を見つけてしまった。
『祝 ティーミア魔術学校入学』
……は?
ティーミアっていうのはこの地域の名前だからいいとして、その後だ。
「魔術学校」の「魔術」とはあの魔術の事なのだろうか?
「お母さん、僕にも魔術が使えるの?」
きっと否定してくれる、そういった期待を込めてお母さんに聞いてみた。
「何言ってるの。あなただけが使えないだなんてあるはずがないわ。みんなが使えるんだもの。」
「う、うん……」
俺が転生したこの世界では魔術が当たり前のようだった。
正直、俺は頭の処理が追いつかなかった。
魔術が使えるということは、この世界には魔術を身につける必要がある危険が潜んでいるということではないか。
その考えにたどり着いてしまった俺は、愕然としていた。
今まで平和に生きていたから、これからもずっと平和が続くと思っていた。
自分の考えの甘さに呆れていた。
「あっ!おばさん、それにシュンも!おはよう、いい天気だね。」
「ヒロちゃんじゃない。おはよう。ほら、シュンちゃん?」
「……あ。おはよう、ヒロ。」
俺たちに一人の美少年が話しかけてきた。
彼の名前はオキヒロ、俺の家の近所では唯一の同じ年で、まだ小さい頃からいつも二人で遊んでいた。そのため、俺とあいつは「シュン」「ヒロ」と呼び合う仲である。
とても中性的な顔立ちでぱっと見るだけでは性別がわからないくらいのヒロだが、
彼と話をするうちに彼の考え方や趣味などから男であるとわかった。
実は一回だけ俺が異世界転生者だと言ったことがある。
その時は、
「そんなわけ無いじゃん。も〜、シュンはシュンだよ。」
と冗談だと思われたようだったが。
それはいいとして、ヒロと話していて魔術のことについては何も触れられてこなかった。
わざわざ言う必要がないくらい当たり前の事なのだろう。
「やっと今日から僕たちも魔術師の仲間入りだね。ところでシュンは魔術剣士と魔術弓兵、どっちを目指すの?僕は家系的にも魔術剣士なんだけど、頑張って更に上の準一級魔術師以上の魔術剣豪を目指すんだ!」
――何を言っているんだ?。
今まで近かった距離が急に遠くなってしまったように感じる。
彼の話した単語の殆どに聞き覚えがない。
魔術剣士?魔術弓兵?準一級魔術師?それに魔術剣豪。
つまり……
魔術剣士は剣を使う魔術師で魔術弓兵は弓を使う魔術師でその魔術師にも階級があってその階級が準一級以上になれば剣士がグレードアップして剣豪になる
――ってことか?
……脳が疲れたがなんとか理解できた気がする。
「で、シュンはどっちに行くつもりなの?」
ど、どうしよう。
ここでヒロが聞くということは今後の学校生活では剣士専用のクラスと弓兵専用のクラスに分かれるのだろう。つまり、弓兵を選んだらヒロと会う機会が少なくなるということで……
まずい、それはまずい、まずすぎる。
何せ、俺はこの世界の事について無知だし、それに加えてちょっと、いや結構重度なコミュ障なのである。
この性格は地球から持ち込んだのではなく、この世界で新たに手に入れてしまったものらしい。
そんな俺がこの世界で唯一の友達と別々のクラスになってしまったら、周りで楽しそうに談笑している中、席でポツーンと独り座っている姿が容易に想像できる。
それは嫌だ!
それなら俺が出す答えは一つしかない!
「俺も、魔術剣豪を目指す!」
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