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第一章②〜目覚め〜

『どこだここは?』


まったく見覚えのない場所だった。

さっきまでの少し年季の入っている会社の天井とは違い、シミひとつなくとてもきれいな状態が保たれていて、まるで作りたてのようだ。

無論、自分の家でもなかった。

もしかしたらどこかの病院にでも運ばれたのだろうか。


『どういう状況か全くわからない。とりあえず周りに誰かいないか?』


俺は体を起こして周りに人がいないかどうかを確認しようと――


「……ぁ?」


体が動かなかった。

押さえつけられている感覚はないから、ただ体を動かす力が足りないのだろう。

もしかしたら、倒れたときの後遺症が残ってしまっているのかもしれない。

そんなふうに考えていたときに、どうやら頭を少し動かすことならできそうだと気づいた。

そうして今自分に起こっていることを確認しようとして固まった。


俺が見たものは成人男性の体ではなく小さな体だった。

ふにふにの小さな手に、ぷくぷくとしたかわいい足。


これは親戚の家で一度だけ抱いたことがある。

まさしく「赤ん坊」と呼ばれる体が目の前に広がっている。


「あうあーうあーあーうあ!?」


『一体どうなっているんだ!?』


なんで26歳、身長177cmの俺がこんな赤ん坊の姿になっているんだ?

それにさっきから自分が「あー」とか「うー」しか言えてないことにも気づいた。

本当に俺はどうなってしまったのだろう?

こんなこと本当にあり得るのか?

「異世界転生」というのは空想の話で実際にはあり得るはずもない出来事ではないのか?

そんな事を延々と考えているとドアが開いた。

そこから入ってきたのは、超がつくほど美しい女性だった。


「シュンくん、ただいま。ちゃんといい子にしていましたか?」


なぜ?なぜ俺の名前を知っている?

もちろん、こんなに美人な人はあったら絶対に忘れないだろうから初対面だと断言できる。

それなのに、俺の名前を呼んでいるということは……


「シュンくん、よしよし、可愛いですね〜」


その人は気が付くと目の前にいて俺をヒョイと抱きかかえた。

身長は160cmといったところだろうか?

まぁ、この世界でもcmという単位かはわからないが。

その女性は綺麗な茶色い髪を腰ほどの高さまでおろしていて、茶色の瞳で切れ目、それに幸せそうな笑みをたたえた口。

誰がどう見ても「美人」さんだ。

だが少し、ほんの少しだが違和感を覚えた。

なんというか、雰囲気が異なる気がする。

特に突出して変わったところはないが、何かが引っかかる。


そんなことを考えていると、さっき起きたばっかりなのにいきなり睡魔が襲ってきた。

赤ん坊の体質なのだからどうしようもないのだろう。


「うん?シュンくん、少しおねむですか?それじゃあ、ゆっくり眠りましょうね〜」


(頼むぞ。この国を、そしてこの世界を救ってくれ……)


誰か喋ったような気がしたが、気のせいだろう。

そう思い、俺は深い眠りに落ちていった。

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