第一章①〜転生〜
前話は未来の日記です。
ここから物語が始まります。
俺の名前は潺 瞬。
今年で26歳になるサラリーマン、とはいっても最近大きな仕事でやらかしてしまい、結構本気でクビを覚悟している。
そんな俺だが今日はストレスからか気持ち悪い。
しかし気になるのは頭の奥から違和感を感じることだ。
「潺、悪いがこの資料今日中にまとめておいてくれないか?」
「あぁ、いいですよ。」
「助かる。まぁ、少しずつ会社の信用も取り戻していけるといいな。無理はするなよ。」
彼は上司の田中さん。こんな俺にも優しく接してくれる、いわゆるお人よしだ。
今日は早く終わらして家でゆっくり休みたい。
そんなことを思いながら資料をまとめていく。
自分で言うのもなんだが、俺は資料をまとめることは結構得意な方だ。
まぁ、それが原因でやらかしたのだが。
やっぱり慢心は良くないな。
ここは慎重に、正確にまとめていこう。
そうして作業に没頭していると、どこからか
(やはりこいつなら……)
という声が聞こえてきた。
まだ田中さんがいるのだろうか?
「どうしました?田中さ……ん?」
俺はてっきり後ろに田中さんがいると思っていたのだが、そこにいたのは新入社員の高橋さんだった。だが、聞こえてきた声は男の声であって高橋さんのような高い声ではなかった。
「高橋さん、今ここに誰かいませんでしたか?」
「えっ?いや、誰もいませんでしたけど――どうかしましたか?」
「いえ、なら大丈夫です。」
「そうですか……」
朝からの不調が響いているのだろうか。
今日は空耳がとても多い。
しかも、すべて同じ声の気がする。
もとから何回かこういう事はあったし、そのときはなんともなかったのだが今日はやけにはっきりと聞こえる気がする。
帰る前に一応病院によっていったほうがいいかもしれないな。
そんなことを呑気に思っていた俺だが、また、なにか聞こえた。
(転生術 マスカレット・ハート)
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
何も見えない。
音も聞こえない。
残されたかすかな感覚で椅子から転げ落ちたのだとわかった。
けれどそんなことは関係ないくらい体が熱い。
まるで地獄の業火に焼かれているかのような熱さだ。
――これはヤバい
そう思った時にはもう遅く、俺の意識は――
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眩しい。
光を感じることができる。
あのとき、見えなくなったはずの目が見える。
自分の息遣いを感じる。
耳も聞こえるようだ。
ここは病院だろうか。
なら俺は助かったのだろうか。
そう思いながら目を開けた。
見覚えのない天井。
見覚えのない景色。
ここまではまだ納得できる。だが、
ふにふにの小さな手にぷくぷくとしたかわいい足。
これは一体……
いや、一つだけ思い当たる節がある。
確か田中さんに薦められた本の中に前世で死んでしまった人間が別の世界で生き返るという展開があったような気がする。
それは確か……
「異世界転生?」
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