単眼鏡
目を患ったにもかかわらず
君は本を読み続け
映画を観て
美術館似通った
時折、眉間に寄せられる皺が
眼球の奥に潜む病を思わせる
それでも君は、
気にししても仕方がない、と
いつもと変わらず
目を酷使した
限られた時間を、振り絞るような
そんな姿が、私の胸を締め付ける
何事もなかったかのように振る舞い合うことが
できなくなるのが怖くなって
私は君に、単眼鏡を、あげた
これで、遠くも見やすくなるね、と
これで、いつも通りの生活のふりをできるね、と
君は泣き笑いのような顔で
両手で包むように
受け取ってくれた