37 恐怖!舞踏会への参加
どうでも良い情報、シルビアはたまに一人称が変わりますがそれは仕様です。ご了承下さい、社会人の名残だね。
さすがに公共の場で『ボク』と言う一人称は使わず『私』と言う男も使えちゃう便利な一人称をつかっていたそうな
さて、いつも通り唐突なのだがボクは今行きたくもない舞踏会へ行く為の魔動車に乗っていた。
何故かって?
……それはカグヤが国に戻ってから来た。
◇
「暑い……」
真夏に外に出ると死ぬマジ辛い、冬の方がまだ好き
ジリジリと肌を焼いてくる乙女の天敵である紫外線を
魔道具で無くしながらボクは呟く
(………室内に行けば良いじゃないですか、冷却の魔道具のお陰で涼しいですよ?)
「……うん、なんでボクは外に出たんだろうね。」
ホントに不思議だ、あまりの暑さに頭でもやられたのだろうか、ボクが自室に入り魔道具の素晴らしさを頭に叩き込みながら冷たい緑茶を啜っていると
コンコンと扉が叩かれた。ボクはいつも通りに部屋に入る許可を出すと、侍女のメイラが入ってきた
「シルビアさま、旦那さまがお呼びです。」
「?……分かった。」
父さまが?何の様かな、まぁ取り敢えず行ってみるか
と思い父さまが居る書斎へノックをして入る。
室内に入るとどうやら兄さまも呼ばれていたようで
近くにある、椅子に座っていた。ボクも座るように促されたので座り話を聞く
「…お前達にカグヤ・ヒビキから手紙が届いておる。」
そう言ってボク達に一通の手紙を手渡してくる
裏を見ると確かにカグヤ・ヒビキと書かれている。
中の手紙を見てみると、ボクの思考は停止した。
それを不審に思った兄さまがボクから手紙を取り、朗読して行く。
「えっと、何々?
"シルビア様、マルクス様、お元気でいらっしゃるでしょうか?私は元気に過ごしています。ところで近日私が子供だけの舞踏会を開きたいのですが、お二人もご参加しませんか?"」
兄さまは読むにつれて言葉が小さくなっていった
よく分かる、ボクも多分同じ気持ちだよ。
「……兄さま」
「……シルビア」
ボク達の気持ちは今一つとなった。
そして見事な兄妹のシンクロを見せて行く
「「お断りしよう「しましょう」」
そうボクと兄さまは舞踏会が大っ嫌いなのだ
兄さまは女子に集団で囲まれるのがトラウマだし
ボクは前世で人見知り+人混みに居ると吐き気がしてくると言う集団で居るのが苦手な人なのだ
つまり、舞踏会なんて面倒なところ行きたくないということだ、ボク達は直ぐに断りの手紙を書こうとする、だがそれを阻む声がかかる
「––––––––行きなさい。」
父さまだ。ボク達がそんな事嫌いなのは分かっているのにそう言ってきたということは何か考えがあるのだろう、それに兄さまが反発する。
「……なんでだ?俺達が集団で居るのが嫌いなのは父さまが一番知ってるだろ?」
「……お前達はいつか成人し社会に出た時に苦労する
その嫌いを克服するのもお前達の為となる。」
ぐっ、ド正論で何も言えないボク達の為と言われたら
引き下がるしかないじゃん。
「くっ、正論を言われると此方としても辛い!」
「ッ……仕方ない、物凄くそれはもう行きたくないけどいきましょう兄さま、このまま押し問答をしていると平行線な気がします。」
「……シルビアが行くなら俺も行くしかないな、行きたくないけど」
「……ならば、返答は私が出しておこう、衣装などは先に用意してあるから心配するな」
無駄に準備の良い父さまに舞踏会への参加を決められてしまい、現在魔動車で揺られている。
そして数分もすると車が止まり、外に出るように促される。ボクが外に出ると目の前にとても大きな館が目に入った、それは公爵家よりは小さいものの現代を生きたボクにとっては大きい建物であった。
「……ハァ」
それにしても面倒だ、人混みに行くのもそうだが
この赤色のドレス動きにくいし、前世では着る機会なんて無かったし身長が高かったのとたまたまレディースのスーツが無かったからメンズスーツ着てたのでこう言うヒラヒラとした服は苦手なのになぁ、あと仮面は付けたままだ。
「…………」
隣を見ると兄さまも少しどんよりとした雰囲気を纏っている、兄さまはタキシードだ、あの黒い蝶ネクタイを付けるヤツ
会場に入ると、エントランスホールがあり、そこで参加状を確認しているようだ。そこを通過するとシャンデリアがキラキラと輝き赤いカーペットがあり、所々に立ちながら食べれるように一口大の食べ物がある台が置いてある。
これから、主賓に会いに行かなければならない
面倒だ、凄く面倒だ、キリキリと痛む胃を押さえながらボク達は進んで行く、周りからの『何だコイツ?』『見た事ないな』という視線や『マルクスさまだわ!』『後ろを歩いてるのは誰かしら?』などなどの声が聞こえてくる
あぁ、面倒だ!本当に面倒だなぁ!
この後に質問攻めされる未来を想像していると主賓であるカグヤの前に来たようだ。
「あら、シルビアさまよく着てくださいました。」
そう挨拶し合い、少し話すとボク達は食べ物を置いてある机に向かった。
◇
「ふぅ、少しお腹が空いたな、シルビアも何か食べるか?」
コクリと頷き、近くにある美味しそうな……食べ物を……ボクはとんでもないものを発見してしまった。今までボクは和食をほぼ食べていない、和食料理が出るのはたまに出し、ボクもたまに食べれるだけで満足できる、が一つだけ辛い事があった。
それはスイーツである、この国は和菓子が無い
洋菓子ばかりなのだ、それがキツかったボクは砂糖をぶっ込んだ甘すぎる洋菓子よりも、程々に甘い和菓子が好きなのだ、和菓子と緑茶のコンボが最高なのだ。
そして机の上には餡子らしい物体がある、多分おはぎだろう、爪楊枝が刺さったそれに手を伸ばして食す。
口の中で餡子のほんのりと甘味が広がり噛めば噛むほど米の優しい旨味が広がる。これは………
「……美味。」
これを作った職人は相当和菓子を研究している、和菓子好きであり、数々の名店の和菓子を食べてきたボクでも中々無い美味しさであると言える。
ボクが無表情なのに目を輝かせておはぎを堪能して近くに居たウェイターに緑茶を貰いちびちびと飲んでいると、声が聞こえてきた、どうやらいつの間にか兄さまを囲っていた令嬢達の話し声のようだ。
「––––あの仮面を被った令嬢は誰ですの?」
「……あの娘は、俺の妹であるシルビアだ、人見知りだから、そっちから話しかけてくれ」
「何で、仮面を被っているのだわ?」
「それは……お年頃だからな」
そんな風な会話が聞こえてきた、兄さま令嬢が苦手なんじゃ無かったっけ?よくよく観察してみると口が引き攣っていた、それも家族であるボクも気が付かないくらいの見事な引き攣り方である
さて、兄さまの観察も終えたし、ボクは和菓子を楽しむ事にした、時々子息が話しかけて来た気がしたが
和菓子を楽しんでいたボクは気が付かなかった。
「………美味。」
◇
おまけ
【ガチャ転生劇場⑥】
蒼「どうも、今回はシルビアが和菓子に夢中なので
ゲストをお呼びしました。Tさんです。」
T「どうもTだ、この作者の別作品から来た者だ」
蒼「まぁ二次創作モドキですけどね。」
T「細かい事は気にしねぇ方が得だぞ?」
T「そう言えば作者俺の作品をアルファポリスにも
出し始めたな。」
蒼「ええそうですね。ガチャ転生の方は
ルビの変更が面倒、だそうで多分出ません。」
T「基本なろうだからな、一応とある掲示板へ
対抗して出したんだとか」
蒼「早い気がしますが今回は此処までです。」
T「俺達が出てくる方も宜しく!」
蒼「次回予告。」
T「これは誰かの物語の一幕」
蒼「次回、『閑話 いつかの夜、何処かの月光』」
T「じゃあ、最後に暇だったら感想か、下にある
評価の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれ、そうするとこのコーナーが番外編として出てくるかもしれないのでよろしくな!」
T・蒼「「では次回もお楽しみに!」」




