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第2話

 ナナさんから思い一撃を貰ったあの日以降僕はセリナさんを見つめなくなった。寧ろ見れなくなった。軽いトラウマになってしまったのだ。時々セリナさんの顔が視界に入るとあの時のナナさんの怒りの表情が呼び起こされ、僕はすぐに目を逸らすようになった。まだ吐き気を模様していないだけマシだと思っている。

 でも嬉しい出来事もあった。僕にもやっと新しい友達ができたのだ!蜥蜴の亜人のザード君である。最近は昼食を一緒に食べに行っている。ザード君は何が好みなんだろうと思っていたが、何でもいいらしい。だが、どの料理にも一味唐辛子をぶっかけている。最初は何もかけていなかった。だが、一緒に食べる回数が増えると「カイル、俺はもう耐えられない!すまない!」と、周りから痛い視線を浴びるような台詞を吐きながら料理に自前の一味唐辛子をかけた。それはもうどっぷりと。最初は唖然としていたが、今はもう慣れた。

 「カイルは何も言わないのだな」

 ザード君は真っ赤な物を食べながら言う。いや、凄いなって思うよ?

 「いや、ザード君がそれが好きなら僕は何も言うことはないよ」

 僕がそう言うとザード君は嬉しそうな表情をした。

 「あ、ありがとう。俺はこんな食い方をするから友達はあまり一緒に食べてくれないんだ」

 と沁々に言う。そ、そんなに悲しい顔をするなよ。これからも一緒に食べようと心に決めた出来事であった。


 そして今日も昼休みになり、昼食を誘うとザード君の所に行くと同じクラスの虎の亜人のティガ君がザード君と話していた。僕が近づくとティガ君が不機嫌そうな顔をした。

 「ちっ、じゃぁ後でな」

 ティガ君がザード君に別れの挨拶をしてすぐに教室を出ていった。

 「悪いな。あいつは人族が苦手なんだ。いいやつだから、嫌わないでやってくれないか?」

 ザード君はティガ君とも僕とも友達であるからこそ、両方が仲良くして欲しいと思っているのだろう。

 「大丈夫だよ。僕は特に気にしていないから。でもティガ君と友達になれるのは遠い未来になりそうだけどね」

 僕がそう言うとザード君は「そうだな」と笑っていた。


 いつも通り、僕達は食堂にて昼食を取っていた。僕はうどんでザード君は赤いうどん。もちろん赤いのは自前の一味唐辛子である。僕は今一度聞いてみた。

 「それ、本当においしいの?」

 「食べたいのか?」

 ザード君は同士が出来たとでも言いたそうに笑顔で聞いてきた。いや、ごめん、同士にはなれないよ?

 「あ、うん。いらない」

 「そうか」

 だから寂しそうな顔をしないで!

 

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