第86話 情報収集
前回のあらすじ
第1王子のヘラルとヴィダールの関係を聞かされ、ユーマは頭を痛める。
しかし、第2王子と第1王女のルドルフとアンリエッタは話の分かる相手で、ユーマ達は2人と親交を結ぶ。
王城でクレイルとコレットの後ろ盾を得た翌日、僕達はゼノンさん、イリスさんと一緒に王都の冒険者ギルドに来た。
目的は勿論、例の行方不明事件の詳細を聞く為だ。
お父さん達は王都で別に調べる為、今は一緒ではない。
「ここに来るのも久し振りだな」
「最後に来たのは、冒険者登録をした時だもんね」
僕達は久し振りに王都のギルドに来たので、思わず入り口の前で止まってしまい登録した時の事を思い出した。
そして中に入り、僕達は受付カウンターに足を進めた。
「おはようございます。本日はどのようなご用件でしょ……ユーマさんとラティさんですか!?」
その受付嬢は、僕とラティが初めてこのギルドに来た時に受付をして以来、僕達が訓練で討伐した魔物の換金の際に何度も担当してくれた受付嬢のリーゼさんだった。
「お久し振りです、リーゼさん」
「今、ちょっとこの国に里帰りしているんです」
「そうですか。2人のエリアル王国での活躍は姉のラーゼからの手紙で聞いております。今ではAランクの冒険者で、雷帝と賢者の異名で呼ばれているとか」
やはり姉のラーゼさんから手紙で僕達の事は知らされていた様だな。
しかし、ゼノンさんによるとこのギルド全体に僕達のスタンピードでの活躍の噂は広まっているらしいから、これは最早アルビラ王国全土に、僕達の噂が広がってるのは確実だろうな。
だって、この国にはその僕とラティの親であるお父さん達が住んでいるから、その知名度は他国よりも大きい可能性がある。
まあ、それはさておき、
「そうですね。その異名については否定する事は出来ません。実は、僕達は現在一旦帰省するべくこの国に戻ってきたんですが、先日父やこちらのゼノンさん達から半年前から発生している行方不明事件について聞かされました。それで僕達も調査に加わるべく、今日はここにきて情報を聞きに来たんです。勿論、父から事件の大まかな事は聞いていますが、もっと詳細な事を知るべく来たんです」
「そうですか。ユーマさん達が調査してくれるなら、きっと何か前進がありそうですね。分かりました。詳しい内容をお話ししますので、こちらへどうぞ」
リーゼさんに案内されて僕達は、ギルドの会議室に来た。
この部屋は、主にギルドスタッフが重要な会議とかで使う部屋だが、貴族や商人などが特別な依頼を出す際にスタッフが話を聞いたり、緊急依頼などで冒険者達に詳細を話す際などにも使われる。
また、僕達みたいな高ランクの冒険者には、誰にも聞かれたくない様な内容の話し合いをする際にも使用する事が許される。
僕達はその部屋に有った椅子に座って待っていると、暫くしてリーゼさんと50代くらいの初老の男性が入ってきた。
「皆さん、お待たせしました」
「銀月の翼の面々と会うのは初めてだな。儂はブルーザ・デイツル。この冒険者ギルドのギルドマスターを任されている者だ」
なんと、今回の事情説明にギルドのトップが出て来た。
それほど今回の事件が深刻な問題という事か。
「どうやらトップの儂が出て来るのが、余程驚きの様だな。だが、この事件は最早些細な問題ではない。実を申すと、既に冒険者からも行方不明者が出ているのでな」
ギルドマスターはそう言い、僕達とは面する座席に座り、リーゼさんはその隣に座った。
「では事の始まりを話すとしよう。まずは半年前、この王都から離れたベルネツの街で最初の行方不明者が現れた」
まずはその街で、5人の行方不明者が現れた。
その人達はいずれも成人したばかりの男女で、男性が2人、女性が3人だった。
最初はすぐに見つかるだろうと誰もが思い、騎士団が捜索していたが全く手掛かりが見つからず、間もなくして別の街で行方不明者が現れた。
次はアランフェアの街で、幼い子供が10人行方不明になった。
子供の失踪という事態に、そして2つの街で同じ様に行方不明者が出た事で、王国は本格的な捜索を命じそれは冒険者ギルドにも届いた。
しかし、騎士団、冒険者、デスペラード騎士団が協力しても手掛かりは得られず、寧ろ行方不明者はどんどん増えていく一方だった。
そして捜査開始から2ヶ月程が経ち、遂に冒険者からも行方不明者が出る様になった。
レイフォルの街で成人を迎え冒険者になったばかりの新人が、依頼中に消息を絶ったのだ。
最初は冒険者のルールである自己責任で片付けられると思ったが、他の街でも同じ様に新人冒険者が次々と依頼中に行方不明になったという知らせが出て、これまでの行方不明事件と何か関係があると判断した各ギルドは、冒険者達に捜索を命じた。
だが、やはり手掛かりはなく時間の経過とともに他の街でも行方不明者が増える一方となった。
そして2ヶ月前、遂にこの王都でも、成人仕立ての者、幼い子供、新人冒険者の行方不明者が現れ、現在行方不明の者は100人に達している。
「以上が、この行方不明事件の全貌だ。我々も懸命に捜査しているのだが、何者かが情報操作しているのか何も手掛かりが得られないのだ」
確かに、100人にも届く行方不明事件なのに半年もたって手掛かりが無いというのはどう見てもおかしい。
これは明らかに誰かが情報操作している筈だ。
だけど、1つ分からない事がある。
情報操作するにしても、その人物は何が目的なんだ?
もし、情報操作しているのが大物貴族なら、何が目的でこんな事をしているんだろう。
仮に行方不明が誘拐事件だとしたら、確実に終身刑の鉱山奴隷になる。
それ程の大事件を起こして、一体何のメリットがあるんだろう?
「ユーマくん、どうしたの?」
隣のラティが尋ねてきた。
どうやら僕がだんまりしていたのが気になった様だ。
「ちょっとね、考えていたんだ。この話を聞く限り、誰かが情報操作しているのはまず間違いない。だけど、それをするメリットは何なんだろうって」
「メリット?」
「まだ仮説の段階なんだけど、その情報操作しているのがお父さん達の読み通り大物貴族だとしたら、その人物は確実にこの事件に大きく関わっている。だけど、その目的が分からない。これ程の大事件に関わっていたとしたら、失脚と奴隷落ちは確実なのに、情報操作をして何の得を得るのか分からないんだ」
「成程。確かに、貴族が関わっているのは間違いなさそうだな。国王には儂から話しを通しておこう。お前さん達は何か分かったら、すぐに儂らギルドか騎士団に知らせてくれ」
「お願いします。それからギルドマスター、まだ行方不明者が出ていない街とかは分かりますか?」
僕はある解決法を思いつき、ギルドマスターに尋ねた。
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次回予告
ユーマは今後の事件の起こる場所を予測し、対策を練る。
それは、ギルドマスター達から見たら、盲点ともいえる手段だった。
次回、対応策




