第83話 団欒の一時
前回のあらすじ
ユーマの空間魔法で転移した先は、アルビラ王国のユーマとラティの実家だった。
そこでユーマ達は両親と、アライアンスを結んでいる赤黒の魔竜と再会する。
その夜は、僕達の里帰りを祝してのパーティーが行われた。
参加者は僕達銀月の翼にお父さん達、ゼノンさんとイリスさんの10人に、各人の従魔10体だ。
食事は家の庭でのアウトドアスタイルで、料理は僕が作った。
メニューは、エリアル王国で採れた野菜のサラダに、ハイミノタウロスの肉と野菜の赤ワイン煮込み、川魚のフライ、キノコと野菜の煮つけ、バイコーンのタルタルステーキ、そしてメインの三つ首竜の肉のステーキだ。
何でもコレットが言うには、竜の肉は全ての魔物の肉の中でも最高級の食材らしく、古竜の肉は100gが白金貨で取引されると言われる。
そこで、この里帰りでは全員でこの三つ首竜の肉を食べようと最初から決めていた。
結果は全ての料理が好評。
特にステーキは全員が恍惚な顔をして幸せそうに食べてくれた。
作った本人の僕も、幸せな表情で食べてしまった。
締めはデザートにストロベリーのアイスを出した。
これも皆嬉しそうに食べてくれて、特に甘党竜神ことアリアは料理以上に幸せそうに食べていた。
「ああ……美味かった。やっぱりユーマの飯は美味いな」
「ええ。材料もそうだけど、それを上手く工夫してこんなに豊かな味にできるなんて、この子は天才よ」
お父さんとお母さんは僕の料理をべた褒めしていた。
「久し振りにユーマ殿の料理を口にしたが、やはり今まで食したどの料理よりも美味であった」
「料理もそうだけど、最後のデザートも素晴らしいわ。イチゴの風味が優しくて、口の中に今も余韻があるわ。ユーマくんの作るデザートは本当に素晴らしいわね」
『分かりますよイリスさん! なのにユーマはこれ程のスイーツを食事として出してくれないんですよ! いつもいつもデザートで、これではスイーツに対する冒涜になってしまいます! 何故ユーマは食事として出さないのでしょうか!』
「「「「「「「「「「それは当然だと思う」」」」」」」」」」
「グルゥ」
「ウォン」
僕達は揃ってアリアに突っ込み、クルスとレクスもそれに続いた。
「あのねアリア、この際だからはっきり言っておくけど、あなたのその考えは間違ってるわ。本来スイーツというのはね……」
アインは姉としてアリアにその自論が如何に間違っているか説いている。
そしてそのアインとアリアを余所に、僕達は久し振りに会った家族や仲間と語り合っていた。
「それにしても、2人とも以前と比べると体も成長したな」
「そうね。ラティなんかまだ16歳なのにこんなにおっぱいが大きくなって」
「えへへ。ユーマくんの美味しいご飯を沢山食べていたら、いつの間にかこんなに大きくなっちゃいまして」
ラティはその豊かな胸の手を置き、撫でながらそう言う。
その手の動きに合わせて、ふにゅんふにゅんと柔らかそうに形を変える。
「くっ……こんなに巨乳が揃うなんて……少しは私にも分けて欲しいわよ……」
イリスさんは自分の僅かな胸に手を置き、お母さんやエリーさん、ラティの豊かな胸を見ながら呟いた。
イリスさんはスラリとしたモデル体型の細身で、胸は少しか膨らんでいない。
だから普段はラティを妹の様に可愛がっているイリスさんも、今回ばかりはラティに羨望と嫉妬の混ざった視線を向けている。
「しかし、この半年でユーマ殿達の活躍はエリアル王国を飛び出して、このアルビラ王国にまで届いているぞ」
「ああ。俺達も王都へ行く度に、銀月の翼の噂はよく耳にするぞ」
「曰く、『雷帝』が襲ってきた盗賊を雷で灰にしたとか、『賢者』が魔物と戦った場所は謎のクレーターが出来ているとか、そんな噂があるんだ」
なんじゃその噂は。
確かに以前依頼の魔物を討伐して帰る途中盗賊に襲われて返り討ちにした際、雷魔法で連中の従魔をうっかり消し炭にした事はあるけど、盗賊本人をやったのは剣でだし。
後ラティのクレーターは恐らく魔物相手に習得段階の重力魔法を使った際の、魔力の調整ミスでできた物だな。
「おいおい、ユーマ、ラティ、お前らとんでもない言われようだな」
クレイルは他人事の様にケラケラ笑いながら茶化してくる。
「後、『闘王』を怒らせると骨の1本は確実に持って行かれるという噂も聞いた事があるわ」
「ブホァっ!!」
イリスさんがクレイルの噂を口にした途端、クレイルは口に含んだ紅茶を噴き出した。
多分その噂は、クレイルが以前ギルドでガラの悪い世間知らずの冒険者に絡まれた際、逆に返り討ちにして腕を折った時の事が広がった噂なんだろう。
なんか僕達の噂が色んな形に尾鰭がついて広がっている様だな。
しかもその尾鰭が変な形になって……。
僕やラティ、クレイルは羞恥で頭が沸騰しそうだよ。
「まあ、それだけ銀月の翼が有名になっているって事だ。それに、噂なんか一々気にしていたら、それこそキリがないからな。余り気にしない事だ」
「「「はい、以後気を付けます……」」」
最早僕達には返す言葉がなかった。
「話は変わるが、ユーマ殿達は今後の予定は決まっているのか?」
「はい。明日王城に言って、国王陛下に挨拶をして、クレイルとコレットの分の王家のメダルを貰いに行こうかと思っています。その後は暫くの間冒険者活動をして、また旅立とうと思っています」
「そうか。では、ユーマ殿、その用事が終わったら、少し手を貸してはくれないか? 少々厄介な事が起こっていてな」
ゼノンさんの口から告げられたのは、僕達の予想を超える事件だった。
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次回予告
ユーマ達はゼノン達から告げられた事件に加わる事を決意する。
翌日王城へ赴くが、そこでまたあるトラブルに巻き込まれる。
次回、王城で




