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第8話 今後の対策

前回のあらすじ

アリアは自身の能力でぬいぐるみのような外見となり、室内には入れないという欠点を克服する。

同時に、クルスが特異種だという事が分かり、アリアと同じく小さくなれる事も分かった。

 その夜はエリュシーレ家とアルグラース家による合同パーティーが行われた。

 アリアとクルスは小さくなったまま、料理を食べていた。

 どうやら、普段はこの姿でいる方針の様だ。

 何でも、この姿で食事をすると、胃袋とかもそのサイズに反映される様で、食費の削減などに大きく貢献できるそうだ。


 因みに、僕達はこの2匹のこの状態を、ミニサイズと呼ぶ事にした。


 食事が終わった頃に、お父さんが食器を置き真剣な表情をしていた。


「さて、無事に2人の従魔契約が終わった所で、2人のこれからの事について話し合いたいんだが」


 話のテーマは、やっぱりその事か。


 僕もラティも通常ではありえない魔物と魔力が適合している事が分かった。

 こんな事実をアルビラ王国、つまり王家や貴族が放っておくとはとても思えない。


 アスタリスクでの身分は、平民と貴族、そして王族に分かれている。

 この世界の王族はかなり温和な部類に入るらしいのだが、王家に仕えている大臣の中には戦争を仕掛けようなどという過激な考えを持つ者もいるらしい。


「もし、王家の過激派や横暴な貴族がアリアとクルスの事を知ったら……」


 そう、最大の問題はそこだ。

 アリアは竜である上に、EXランクの竜神。

 クルスも種族はSランクのグリフォンだが、特異種である事からEXランクになる。

 もしそんな連中が2匹の事を知ったら、どうなるかは目に見えている。


「王家の過激派は2匹の契約者のユーマとラティちゃんを取り込み、2匹を軍事利用して世界各国に戦争を仕掛けるだろう」


「まあ、そんな事はあの王様が認めるとは思えないけどね」


「そして貴族の場合は、2匹を無理やり奪い取る姿が目に浮かぶわね。そして、2匹を見世物として自慢するか、殺してその素材を剥ぎ取られるかもしくは剥製にされて自慢材料になるかね」


 そう、魔物の素材は高ランクである程その価値が高くなる。

 冒険者達は主に、自分達が討伐した魔物の素材を使って、武器や防具を鍛冶屋などで作ってもらい、自身の強化を図る。

 ましてや、EXランクの魔物である2匹から取れる素材は相当な価格で取引されるだろうな。


「えっ!? クルス殺されちゃうの!? そんなの嫌だよ! せっかく会えた家族なのに!」


 ラティは今の親達の会話から、クルス達が殺されると思ったのか泣きながらクルスを抱きしめている。

 僕も無意識に、アリアを抱きしめていた。

 彼女はそんな周りの空気から不安そうな眼をしていた。


「心配するな、ラティ。そんな事はパパ達がさせない!」


「ユーマくんも安心して、お母さん達が何とかするから」


 その言葉を聞いて、僕とラティの目に希望の光が見えた。


「何かいい方法があるの?」


「まずは明日、この国の王様に会いに行こう。お父さん達はこの国の王族とは縁があるから、きっと何とかしてくれるだろう」


「王様も私達が来たと知れば、必ず会ってくれるわ」


 どうやらお父さん達は冒険者として、王様と深い親交があるみたいだ。

 今はその案に賭けるしかない為、明日王城に行く事になって話は纏まった。


――――――――――――――――――――


 今僕は自室のベッドでアリアと一緒にいる。


「アリア、ごめんね。いきなりこんな事になって」


『気にしないでください、ユーマ。私達は家族です。家族の悩みは、家族全員で解決するものですから』


 アリアの言葉は本当に心にくる。

 こうしていると、アリアはまるで頼れる姉みたいだ。


『処で、ユーマは何者なのですか?』


 彼女の口から突然そんな言葉が出て来た。

 まさか、彼女は僕の正体に気付いたのか!?


「なっ……何の事?」


 思わず、うわずった変な声が出てしまった。


『隠す必要はありません。あなたから感じる魔力、それはこの世界の物ではありません。いえ、正確には、この世界の魔力に加えて別のものを感じます。まるで、別世界の様な物を』


 どうやらアリアには全てお見通しの様だな。

 彼女には話してもいいかもしれないが、もし途中でお父さん達が入って来て、話を聞かれたらまずいんだよな。


『心配いりません。今さっき、この部屋に風魔法による結界を張りました。この結界がある限り、誰もこの部屋には入れませんし、音も聞く事が出来ません』


 どうやらアリアには、僕の考えている事までが全てお見通しの様だ。

 その為に結界まで張って、僕が話せる様にするとは……本当に彼女には敵いそうにないな。


「分かったよ、アリア。君には話しておくよ」


 僕はアリアに全てを語った。

 元は地球という別の世界の人間だった事。

 その世界の神様の手違いで、間違って死んだ事。

 魂の行き先がなかった為、神様の計らいで前世の記憶を持ったまま別の世界、つまりこのアスタリスクに転生する事になった事。


「だから、肉体はユーマ・エリュシーレだけど、魂は同時に岩崎悠馬でもあるんだ」


『成程。そうだったのですか。魂は別世界のもの、だから魔力に別の物を感じたのですね。ですがそれは私が竜神だったから分かったのです。この事は、少なくとも人間には分からないでしょう。安心してください、ユーマ。私は竜神の誇りに誓って、あなたの正体を誰にも喋らないとここに誓います』


 アリアはそう言って僕に約束した。

 何でも竜というのはとても誇り高い種族の様で、誇りに誓うというのは命を懸けるのに等しい行いらしい。

 ちょっといき過ぎな気もするけど、アリアは僕の為を思ってこの誓いをたてたんだ。

 その思いを踏みにじりたくない。


「ありがとうアリア。君に話せて良かったよ」


 僕はそう言って、アリアと一緒に眠りについた。


 余談だが、アリアはちゃんと結界を解除してから眠ったそうだ。

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アリア、ユーマの従魔兼心からの理解者に就任


アリアの凄すぎる所

その2、ユーマの魔力から、別世界のものを感じ取れる。


アリアの凄い所は、今後もあちこちで出す予定です。

とにかく、竜神は凄いのです。


次回予告

ユーマとラティはゲイル達と共に王城に行く事に。

その際、2人は自分達の親の凄さを知る。


次回、暁の大地


次回は3時に更新します。

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