幕間 その頃 マッハストーム
俺はバロン・レブラント、Aランク冒険者パーティー、マッハストームのリーダーだ。
俺達は現在、ロマージュ共和国の首都にいる。
理由は、俺の武器、魔剣の風斬剣の修理をする為だ。
俺達マッハストームは数ヶ月前、ヴォルスガ王国で行われた武闘大会に参加し、2連覇を目指していたが、準決勝である冒険者に負けて準々優勝という結果になった。
その相手は、当時Dランクだったユーマというまだ成人仕立ての男だった。
あいつはある貴族に婚約者との婚姻を賭けられ、俺と仲間のトロスとダグリスの3人にユーマ1人で戦い勝つという条件を突き付けられた。
俺達はその時はそんな賭けを知らなかった為、戦いの最中も何でその婚約者のラティの嬢ちゃんが一向に攻撃してこないのかが分からなかった。
だが今は試合中という事もあり、俺達はその疑問を片隅に置き、勝負に専念した。
その男――ユーマは杖、魔槍、2本の魔剣、そして神々しい体験を1本持っていて、俺達は3人という数の差を活かして杖、魔槍を失わせ、魔剣の二刀流も連携で封じ込めた。
いよいよ勝利を確信し始めたその時、あいつは最後の剣、なんと神器の1つである神剣を抜き、それからは大逆転だった。
その神剣、ミネルヴァの体を傷つけずに魔力だけを斬る能力によって、トロスとダグリスは一撃で倒された。
俺はその神剣の攻撃を避けながら戦ったが、ユーマの卓越した戦闘のセンスと神剣によって、俺もやられてしまい、その試合はユーマ1人に負けてしまった。
試合が終わった後、その貴族との揉め事にも決着をつけ、ユーマとラティの嬢ちゃんは決勝戦へコマを進めた。
その戦いを通して、俺達はユーマ達と親睦を深める事も出来て、トロスの案で2人とアライアンスを結ぶ事になった。
その際に俺達と同じく2人と戦い敗れた、赤黒の魔竜のゼノンとイリスもアライアンスに加わる事が決まり、俺達はより親睦を深める事が出来た。
武闘大会が終わった後、俺達は赤黒の魔竜、決勝戦でユーマ達と戦い、準優勝となった狼人族のクレイルを加えた銀月の翼とアライアンスを結成し、初依頼でサイクロプスの討伐依頼を受けた。
その場所に向かう途中、ユーマ達は自分達の従魔の秘密を明かすといった。
なんと、今までユーマとラティの嬢ちゃんが連れていた小さな竜とグリフォンの子供の正体は、驚く事に伝説の竜、竜神と特異種のグリフォンだった。
クレイルも最初は従魔の姿がなかったが、そいつのロストマジック、亜空間魔法から竜神と同じく伝説の魔物、フェンリルが姿を現した。
3人とも、貴族などの権力者から従魔や自分達の身を守る為に、従魔の正体や存在を隠していた事を話してくれて、俺達はその従魔、アリア、クルス、レクスの事を誰にも話さない事を誓った。
依頼を終えた後、俺達はユーマとの戦いで壊れた風斬剣を修理する為にロマージュ共和国へ行く事を決め、ユーマ達とはそこで一旦別れた。
そして現在、俺達はロマージュ共和国の首都にある工房で、無事に風斬剣の修理を終えた俺達は、ある事を話している。
「どうだったか?」
「やはり間違いなさそうですね」
「ああ、この英雄はユーマ達で間違いなさそうだ」
俺達はこの首都で、最近広まっている噂について話し合っている。
その噂とは、数日前エリアル王国で発生した魔物の行進による大災害、スタンピードを防いだ4人の英雄の事だ。
その英雄達は竜神、フェンリル、ティターニア、グリフォンを従魔にしていて、人族の男女と竜神とティターニアの最初の攻撃で、1万を超えた魔物の群れを一気に500以下まで殲滅。
その後4人はそれぞれ遊撃に回り、スタンピードで発生した中でも特に強力な魔物を単独で討伐。
そして負傷者こそは出たが、死者を0にしてスタンピードを鎮圧させたという。
「この竜神、フェンリル、グリフォンってだけで、まずユーマ、クレイル、ラティの嬢ちゃんで間違いないよな?」
「はい。竜神もフェンリルも、最強ランクの魔物。それを従魔にしている者など、あの子達以外に考えられません」
俺とトロスは、この従魔達で英雄達がユーマ達だという確信をついた。
「だが、このティターニアを従魔にしたハイエルフの女性は、何者なんだ?」
ダグリスの言っているのはその英雄の4人目で、ユーマ達と一緒にいたティターニアを従魔にしたハイエルフの女性の事だ。
「多分、ユーマ達の新しい仲間じゃねえのか? ティターニアもEXランクの魔物なんだ。アリア達と同じ存在の魔物を従魔にしている以上、ユーマ達の仲間になっていてもおかしくはない」
「そうだな。それに、ユーマ達はロストマジックの情報を求めてエリアル王国に行ったんだ。それと何か関係があるのかも知れない」
「そうですね。さっき、アライアンスでの情報を見てみましたが、そのハイエルフは最初はユーマさん達と臨時でパーティーを組んでいましたが、最近正式に銀月の翼に加入したそうです」
「ほう、そうか。じゃあ、いずれはそのハイエルフとも会えそうだな」
「そうだな」
俺達は、新たにユーマ達の仲間になったらしいハイエルフに会える日を、そして、ユーマ達とまた会える日を楽しみにした。
これからは、アリア達も普段の姿で会えそうかもな。
「でも、こんな噂が出ているという事は、ユーマさん達はアリアさん達の事を公にしたって事ですよね?」
トロスの指摘に、俺達は「あっ!」っと声を上げてしまった。
「確かに、あいつらは従魔の事を秘密にしていたのは、あまり目立たない様にする為だったな」
「だがそれを明かした以上、あいつらは今後色んな奴らに目を着けられそうだな」
俺達はそのユーマ達の今後を考えてしまった。
「だが、ユーマは結構慎重な奴だ。それでなお正体を明かしたって事は、何か考えがあったんだろう」
ユーマは年の割にはかなり頭が良い奴だったからな。
て事は、世界中にアリア達の事が知られても、それを防ぐ考えがあるからこそ正体を明かしたという事だ。
「それもそうですね。きっと何か考えがあるのでしょう」
トロスもダグリスも納得した様で、俺達は再び情報を集める事にした。
ユーマ、ラティの嬢ちゃん、クレイル、またお前達に合えるのを楽しみにしているからな。
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