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第70話 スタンピード

前回のあらすじ

エリアル王国に滞在し2ヶ月が経ったユーマ達はコボルトの討伐依頼を受けていた。

だがそこにはコボルトキングの姿もあり、討伐には成功したが、ここ最近キング種の発生が活発になっている事に違和感を覚える。

 ギルドに戻った僕達は、すぐに受付に向かってこの2ヶ月で親しくなったリーゼさんの姉のラーゼさんにコボルトの集落の報告をした。


「そうですか……コボルトキングが……ここ王都で今回で5回目、その内ユーマさん達が遭遇しただけでも、2体のキング種が確認されているのは、やはり異常ですね。実は、他の街々の付近でもコボルトやゴブリン、オークなどのキング種に遭遇したという報告が多数上がっているんです。中には、突然キング種に遭遇した事で対処できず、負傷して冒険者として再起不能になった人もかなりいるんです」


 ラーゼさんの話によると、その中にはAランクやBランクの冒険者もいるみたいだ。

 その人達も、今回僕達が遭遇したコボルトキングみたいな、ゴブリンキングやオークキングなどに遭遇して、突然の事態に上手く対処する事ができず深手を負ってしまったとの事だ。


「本来なら、Aランクの方ならキング種にも対処できるんですが、この様な異常事態でかなり油断と動揺が重なっていた様です」


 半月という短い期間で5体もキング種が現れるなんて相当な事態だ。

 一体、何が起こっているんだ。


 そう思っていた時、ギルドの奥からギルドスタッフが駆けながら出て来た。


「現在ギルドにいる全ての冒険者の方にお伝えします!! 只今より緊急依頼を出します!! 冒険者ランクがDランク以上の方は全員参加でお願いします!! 繰り返しますお伝えします!! 只今より緊急依頼を出します!! 冒険者ランクがDランク以上の方は全員参加でお願いします!!」


 この言葉に、ギルド全体が騒めいた。


 緊急依頼は、何か大きな事態が起こった時、ギルドから出される特別なクエストだ。

 これにはにはDランク以上の全ての冒険者に参加要請がかかる。

 勿論辞退する事も出来るが、これは通常とは特別なクエストなので、辞退する場合は白金貨1枚を支払う必要がある。


「緊急依頼……やっぱり私達の予想が当たったみたいね……」


『ですね……』


「ええ……」


 コレットさんとアリアは何か悟った様子だった。

 アインも何かを察した様だ。


 僕が聞こうとすると、緊急クエストを出したギルドスタッフが内容を伝えた。


「先程、偵察に出ていたデスペラード帝国の騎士団から報告があり、その結果、このエリアル王国にスタンピードが発生した事が分かりました!」


「スタンピードだって!?」


「あの魔物による大災害の事か!?」


 スタッフが伝えた内容に、ギルドは更に騒めいた。


 スタンピード、それは魔物の大量発生による自然災害の一種だ。


 本来魔物は、別種同士だと余程の事がない限り共存したりする事はないのだが、1つの場所に巨大な魔力が集まり、そこから名種様々な魔物が生まれる事がある。

 それがスタンピードだ。


 本来魔物の発生は世界樹の存在で安定されているが、スタンピードはその魔力が極稀に一時的に不安定になる事で発生する現象とも言われている。


 そしてスタンピードよって生み出された魔物は共通して、最も魔力が集まっている場所を目指して、群れを成し行進する。

 そして、その際に広がった魔力の余波で各地で強力な魔物が誕生して、各地に甚大な被害が出る。


 スタンピードは発生する周期が不定期で、何時に何処で発生するのかが判明していない。

 更にどういった条件で魔力が集まるのか、何故世界樹の魔力が不安定になるのか、そのメカニズムも解明されていない、謎の自然災害と呼ばれている。


「つまり、スタンピードの影響で多数のキング種が発生した訳よ」


「そういう事だったのか。という事は、このスタンピードを何とかすれば……」


「ええ、各地の魔物の脅威は取り払われる筈よ」


 その後僕達は、スタンピードで発生した魔物の情報や、何処に向かっているのかを聞いた。


 まず魔物は、このエリアル王国で最も魔力が集まっている場所、つまり世界樹に向かって進行している事。


 世界樹はこのアスタリスクの魔力の源とも言われている大樹だ。

 普通ならそんじょそこらの物理攻撃や魔法攻撃ではびくともしないが、このスタンピードの魔物が全て世界樹に到達して攻撃でもして、最悪世界樹に何かあったらこの世界は世界樹の恩恵を失った事で様々な自然災害が発生する恐れがある。

 そうなれば魔力の安定が無くなった事で、この世界は魔物によって蹂躙される事になるかもしれないのだ。

 だから世界樹を絶対に防衛する必要があるという事だ。


 幸いにも発生した場所とその行進のコース上には街や集落がなかった為、まだ人的被害は出ていないそうだが、魔物の群れは世界樹に向かう途中にあるこの王都を3日後に必ず通過するそうだ。

 だから僕達冒険者達は、エリアル王国の騎士団とデスペラード帝国から派遣されてきたエルフの騎士団と協力して、3日後に魔物の大軍を迎え撃つ事になった。


 ここで、冒険者と騎士団、そしてデスペラード帝国の騎士団の特徴と違いを教えておこう。


 まず冒険者は、主に魔物と戦って素材を入手したり、盗賊などの犯罪者を討伐したりするフリーの何でも屋みたいな人達。

 つまり、戦う相手は、人から魔物とあらゆるものを相手にしている。


 王国騎士団は、各国で構成された各国の領土にある街を守護する人達の事だ。

 騎士は主に街中での犯罪や喧嘩騒動などに対処して、街の平和を守っている。

 逆に言えば、国の外に出る事は王家や領主の護衛などを除けば殆どなく、主に対人戦に特化した人達だ。


 そしてデスペラード帝国の騎士団。

 これは冒険者と騎士の間に位置する人達だ。

 デスペラード帝国は、アスタリスク最大の軍事国家で、その国で育成された騎士は通常の騎士と異なり、対人戦から魔物戦までこなせる様になっている。

 過去の人族と他種族との戦争以来、各国で和平が結ばれてからは戦争は行われていない為、現在はデスペラード騎士団は各種族のみで構成された精鋭部隊を各種族の国に派遣し、その国の冒険者や騎士と協力して人同士のトラブルから魔物の討伐までをこなしている。


 今回はエリアル王国内にいる冒険者、騎士、デスペラード騎士団の総力を合わせた戦力で魔物を迎え撃つ。


 そして話を戻すが、魔物の規模は聞いた限り、以下の通りとなった。


 偵察の話では、ゴブリン、コボルト、オークにアーチャーやメイジ、ジェネラルが多数で、キング種も各種が確認されている。

 その他にもバイコーンやサイクロプスといった過去に戦った事のある魔物、更に下級竜種が多数に古竜らしき竜の姿が1体確認されているとの事だ。


 その数は1万を超えているとの事だ。


「すげえ数だな……」


「うん。スタンピードの事は聞いた事があるけど、実際に見るのは今度のが初めてだ。それも、1万体以上の魔物を相手になんてね」


「修業時代、魔物の群れを討伐しろって、パパ達に課題出された事があったけど、それでも100体程度だったし」


 確かに、今回はあの時の規模を遥かに凌駕している。

 昔、実践訓練でお父さん達に大量発生したゴブリンの集落を討伐して来いという課題を出されたが、それでもゴブリンの数は100程だった。


「まあ、でも、招集がかかった以上、僕達には戦わない選択肢はない。それに……」


「それに?」


「このスタンピードを放っておいたら、僕はきっと後悔する。だから、この招集がなくても、僕は戦う。だから、皆も僕と一緒に来てくれない? 勿論、強制はしないし、辞退したければ白金貨を渡すからそれでここで待っていてもいいよ。これはあくまで、僕の判断だから」


 僕がそう言うと、皆は呆れた視線を飛ばし、クレイルが一歩前に出て、


「ていっ!」


「あたっ!」


 僕の頭にチョップを繰り出した。


「何するの、クレイル……」


「何水臭い事を言ってんだよ。前にも言っただろ? 俺達はユーマの決定に従うって。俺はユーマが決めた事なら何でも従うぜ。このパーティーのリーダーはお前なんだから。それに、親友を1人で死地に行かせる訳がないだろ」


「あたしもよ。ユーマくんの決定なら、あたしは地獄の果てまででも一緒に行くわ。それがユーマくんのお嫁さんとして、あたしができる事なんだから。だから、あたしも一緒に戦うわ!」


「そうね。それに、私もこのエリアル王国を守りたいから、どの道戦う事になるわ。それなら、パーティーとして戦って、エリアル王国を守って見せるわ!」


 皆の言葉を聞いて、僕は目が覚めた。

 そうだよね。

 皆は僕を認めてくれているから、ここまで一緒にいられたんだ。

 なら、僕もこの自慢の仲間であり、家族の皆と一緒に自分達の想いを貫いてやろう。


「分かった。皆が決めたなら、僕は何も言わない。だから、改めて言います。僕と一緒に、このエリアル王国を守ろう」


「うん」


「ああ」


「ええ」


 僕達は互いに手を重ね合わせて誓い、受付に行きスタンピードに対する防衛への参加を登録した。


 戦いは3日後な為、僕達は打ち合わせの為にコレットさんの家に向かった。


 だがその途中、僕達の前に見覚えのある人物が現れた。


「やあコレットさん。お待ちしておりました」


「レイザード侯爵……!」


 そう、この2ヶ月間姿を見せなかった、レイザード侯爵だった。

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次回予告

再びコレットの前に現れたレイザード侯爵。

彼はコレットを国外へと連れて行こうとするが、またも失敗する。

そして、ユーマ達はスタンピード、レイザード侯爵、この2つの対策を考える。


次回、対策と思惑

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