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第62話 出会いと再会

前回のあらすじ

順調に旅をつづけるユーマ達は、コボルトの急襲を受けるも、難なく討伐する。

そして新しい家族のクレイルとレクスとの日々を楽しむ。

 ヴォルスガ王国を出て1ヶ月近くが経ち、僕らはエリアル王国の王都に続く大森林が見える丘に来ていた。


「あの森が、王都に続く大森林なの?」


「ああ。その証拠に、森の奥に巨大な樹が見えるだろ? あれが、エリアル王国の象徴ともされる、世界樹だ」


 クレイルが指した方角には森の奥に天にまで届く様な大樹が存在していた。


 あれが世界樹か。

 うっすらとだがここからでもその姿が見えるなんて、確かに大きい。


「あの世界樹は、このアスタリスクの魔力の源とも言われていて、俺達や全ての生物や魔物、物体に魔力があるのは、あの世界樹があるからなんだ」


 成程、あの世界樹は魔力の源なのか。

 確かにここからでも、あの世界樹から伝わる魔力のエネルギーがヒシヒシと伝わる。

 まるで、自分達の魔法の根源を見ている様な感じだ。


 またクレイルによると、世界樹の存在はこの世界の自然その物を安定させる恩恵の様な物があり、もし世界樹を失えば、この世界は常に様々な自然災害の被害に晒されるかもしれないとの事だ。

 また世界樹の存在は全ての魔物の発生を安定させてもいるらしく、もし世界樹が無かったら四六時中魔物が絶え間なく発生して、この世界は魔物によって蹂躙されてしまうとも言われているらしい。


「だからこそ、この国の王都はあの世界樹の付近に存在して、国王を始めとするハイエルフやエルフが世界樹を守っているのさ」


「成程」


 僕達はクレイルから世界樹の存在の重要性を教えて貰った。

 そしてクレイルは目の前にある森を指差した。


「あの森の中に、王都に通じる街道がある。そこを進めば城門があってそこから王都に入れるぞ」


「分かったよ。じゃあ、行くよ」


 僕はゴーレムに魔力を流し、森の中へと目指した。


――――――――――――――――――――


 森の中は街道がある所以外は全て深い草木に覆われていて、正直僕の探知魔法がないと、周囲の警戒が厳しいくらいだった。

 そうでないと、魔物の奇襲を受けて命を落としかねないからね。


「この森の中は厳密には、まだ王都の中に入っていないから、魔物が襲ってくる事がよくあるんだ。主に、昆虫系や植物系の魔物が多いけど、時には獣系の魔物もいるぞ」


 クレイルはかつて、この森で狩りをして修業をしていたらしく、この森の生態に詳しかった。


 すると、僕の探知魔法に反応が出た。


「反応あり! 数は40……いや50以上! 猛スピードで、こっちに向かっている!」


「おいでなすったか……気を付けろ! この森の中では、炎や雷の魔法は使えない! 下手をすると大火事になるからな!」


 確かにこの森の中で雷や炎の魔法を使ったら、それが飛火したりして森が火事にってしまう。

 そんな事をしたら本当にヤバい事になりそうだからな。


 僕達は馬車から降りて、武器を構えた。


 反応があった方角から現れたのは、大きさ70センチはありそうな蜂の魔物だった。


「こいつらは魔甲蜂だ! Dランクの魔物だが、集団では討伐難易度がCランクまで上がる! 毒針には気を付けるんだ! それに刺されると、痺れて動けなくなって、奴らの巣に連れて行かれちまう!」


 クレイルは魔甲蜂を拳で殴り、頭を粉砕しながら教えてくれた。


 つまり巣に連れて行かれたら、生きたまま奴らに食われるって事か。

 ……あまり考えない様にしよう……。


 僕も白百合と黒薔薇で蜂を切り裂きながら応戦した。

 ラティも森への被害を考慮して、水の魔法で蜂を打ち落とし溺死させている。

 アリアも水のブレスで応戦し、クルスは元の姿に戻って肉弾戦で応戦して、レクスも爪や牙の他に雄叫びを上げて、それで周囲の魔甲蜂をショック死させたりしている。


 だが、いくら倒しても次から次へと現れて、正直キリがない。

 その時、目の前の魔甲蜂を切り裂いた隙に、別の魔甲蜂が接近して僕の顔面に毒針を向けてきた。


 不味い!

 僕は魔竜のローブを着ているからそれに覆われている所はどんな攻撃も受け付けないけど、顔面は無防備だ!

 そうなったら、僕もヤバい事になる!


「ユーマくん!!」


 ラティの叫び声がしたその瞬間、森の奥から1本の矢が飛んできて蜂の複眼に命中して絶命させた。

 そして、森の中から1人の人影が現れて、手に持った弓を構えて矢を放ち魔甲蜂を打ち落とした。


「君達、大丈夫?」


 マントのフードの陰で顔はよく見えないけど、声音やマント越しに見える体つきで、女性だと分かった。


「はっ、はい、大丈夫です。ええと、あなたは?」


「詳しい話は後よ。今はこの魔甲蜂を撃退しましょう」


「はい、分かりました」


 よく分からないけど、この人は味方みたいだ。

 その女性の加勢もあって、僕達は襲い掛かってくる魔甲蜂を全部倒す事が出来た。


「あの、助けてくれて、ありがとうございます」


「ユーマくんの事を助けてくれて、本当にありがとうございました」


 僕とラティは助けてくれた女性にお礼を言った。


「いいのよ。怪我がなくてよかったわ。処で、この森を通るって事は、あなた達はこの先のエリアル王国の王都に行く所なの?」


「はい。冒険者の旅をしていて、この国を目指していたんです。僕はCランク冒険者パーティー、銀月の翼のリーダーのユーマ・エリュシーレです」


「同じく、銀月の翼のラティ・アルグラースです」


 僕達が名乗ると、女性はフードを外して素顔を出した。

 その姿はエルフで、外見は17歳位、腰まで伸ばしたエメラルドグリーンの髪に、凄く整った正に絶世の美人といえる美貌、エルフの特徴でもある長く尖った耳、ラティ程の大きさではないがマントからでも判る抜群のスタイル、そして、アルビラ王国のギルドのロランさんや、夜明けの風のトーマさんとカーマさんよりも遥かに感じる強い魔力、見るからにとんでもない実力者だった。


「やっぱりお前だったのか、コレット」


 クレイルが口を開いて、声を掛けた。


「あら、クレイル。随分とお早いお帰りね」


 女性も、クレイルと親しそうに話した。


「知り合いなの? クレイルくん」


「ああ、前に話しただろ。俺の保護者をしていた、知り合いのハイエルフさ」


 エルフの女性は、笑顔で名乗った。


「はじめまして。コレット・セルジリオンです。見ての通りエルフ族で、ハイエルフのAランクの冒険者です。よろしくね、ユーマくん、ラティちゃん」


 これが、僕達と生涯の友、コレットさんの初めての出会いとなった。

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魔物情報


魔甲蜂

Dランクの昆虫種の魔物。身体が強い魔力の通った甲殻に覆われている事から、この名がついた。常に集団で行動し、群れではCランクに相当する。腹部の毒針には強い麻痺性の毒を持ち、相手を痺れさせて身動きを取れなくしてから巣へ連れ帰って仲間と分け合って捕食する。討伐証明部位は毒針。


次回予告

コレットと名乗るハイエルフとその従魔は、アリアと意外な繋がりがあった。

そして彼女の従魔は、これまた規格外な存在だった。


次回、4人目の適合者


次回にアリアの「お姉様」が出てきます。

その正体が何なのかは、次回のお楽しみ。

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