幕間 来客と手紙
俺はゲイル・エリュシーレ。
Sランク冒険者パーティ、暁の大地のリーダーだ。
俺と妻のサラの息子のユーマと、パーティーメンバーで親友のダンテ・アルグラースとその妻のエリーの娘のラティちゃんが旅立ってから、2か月半程が経った。
現在の俺達は4人の中から2人を出して、定期的に依頼を受けたり狩りなどをしていて、それで収入を得て過ごしている。
その中でも、俺達が最近楽しみにしているのが、子供のユーマ達からの手紙が来る事だ。
あの子達の事は、アリアやクルスがいるから怪我的な事の心配は大丈夫だと思っている。
だが、やはり本人達からの手紙がないと、やはり不安に思う事がある。
前の手紙には、ヴォルスガ王国に向かうと言っていたが、次の手紙はいつになるのかと皆楽しみにしている。
今日は、特に予定もなく、4人でまったりと過ごしている。
「ごめんください」
そんな時、玄関の方から男性の声が聞こえた。
お客かな?
サラが「は~い」と返事しながら出迎えに言った。
俺も一緒に行こうとサラについていった。
扉を開けると、そこには竜人族の男性と魔族の悪魔族の女性がいた。
後ろには青い髪をした女性とAランクのヴァンパイアバットがいた。
ヴァンパイアバットに関しては、恐らく魔族の女性の従魔だろう。
「突然のご来訪、失礼しました。こちらは、冒険者パーティー、暁の大地のご自宅でよろしいでしょうか?」
竜人族の男性が非常に丁寧な姿勢で尋ねて来たので、慌ててこちらも答える。
「はい。こちらと隣の家は暁の大地の家で会っています。俺はリーダーのゲイル・エリュシーレです」
「妻のサラ・エリュシーレです」
「そうですか。申し遅れました。我々は、Bランク冒険者パーティー、赤黒の魔竜です。私はリーダーの、ゼノン・ウィンザルグです」
「同じく、赤黒の魔竜のイリス・ドルリアーナです」
更に2人は後ろの女性とヴァンパイアバットを、女性がゼノンさんの従魔で人の姿に変身した古竜の水晶竜のスニィ、ヴァンパイアバットがイリスさんの従魔のカミラだと教えてくれた。
「私達は、ユーマ殿とラティ殿の友人です」
「ユーマ達の!」
なんと、この2人はユーマの知り合いみたいだ。
「そうですか。では、詳しいお話は中で聞きましょう。どうぞ上がってください」
サラの提案で、2人を家に入れる事にした。
中で寛いでいたダンテとエリーにも、ゼノンさんとイリスさんの事を話し、改めて話を聞く事になった。
「まず、私達とユーマ殿達とは、ヴォルスガ王国の武闘大会で出会いました」
ゼノンさんによると、ユーマ達とは武闘大会で当たった際、イリスさんはラティちゃんと魔法対決を、ゼノンさんはユーマと直接対決して一歩も譲らない戦いをしたが、最終的には2人に敗北したとの事だ。
その後、同じくユーマ達と戦って敗れたマッハストームというAランクパーティーの人達と親交を結び、大会が終わった後、ユーマ達銀月の翼、マッハストーム、赤黒の魔竜でアライアンスを結んだらしい。
「そうですか。ではアライアンスを結んだという事は、皆さんはアリアちゃんとクルスちゃんの事も」
「はい。アリア様とクルス殿の事も聞きました。しかし、私達はユーマ殿とラティ殿の仲間であり友です。その者達の事を売る様な真似はしません」
どうやら、この人達は信頼できそうだな。
アリア達の事を知ってもなお、その事を秘密にしてくれるのだから。
それにアリアの事を「様」と呼んでいるが、竜人族、というよりはドラグニティ王国が竜神を神の御使いと崇めている事を思い出し、それでアリアを「アリア様」と呼んでいるのだと気付いた。
「それで、ユーマ殿達と別れる際、彼から手紙を預かりました。こちらです」
「ああ、これはこれは、ありがとうございます」
俺達はゼノンさんから手紙を受け取り、中を開いた。
そこにはユーマの字で、あの子達のヴォルスガ王国で起こった出来事などが書かれていた。
ヴォルスガ王国に向かう道中、盗賊に襲われ、それを迎え撃った際に初めて人殺しを経験した事。
ヴォルスガ王国に到着した後、クレイルという獣人の男の子と友達になり、その子がEXランクのフェンリルを従魔にしている事。
彼が亜空間魔法というロストマジックを使えるという事。
武闘大会では手紙を届けてくれたゼノンさん達と戦い、苦戦の末に勝った事。
ラティちゃんを妻にしようと言い寄ってきた貴族の子供と一悶着あり、ユーマだけでマッハストームの人達と戦い勝つという条件の下、見事に勝ちラティちゃんを守り抜いた事。
その準決勝で戦ったマッハストームの人達と親交を結び、アライアンスを結ぼうと提案された事。
決勝戦でそのクレイルくんと戦い、激戦の末に勝ち優勝した事。
その後の祝会でクレイルくんが銀月の翼に加入した事。
彼が加入した後、マッハストームと赤黒の魔竜とでアライアンスを結んで、一緒にサイクロプスの討伐依頼を受けた事。
その際にゼノンさん達にアリア達の秘密を明かした事。
依頼を終えた後、次の目的地をエリアル王国に決めて、目的がクレイルくんが使えるロストマジックの習得を目指す旅をしよういう事。
手紙を読み終えた時、俺達はとても安心していた。
そうか、あの子達は元気みたいだな。
特にユーマは、ラティちゃんを幸せにするべく、一人前の男になりつつあるみたいだ。
だが、手紙にはユーマの前世の事は書かれていなかった。
どうやら、前世の事はなるべく人には話さない様にしているみたいだな。
なら、俺達も迂闊には話さない方がよさそうだな。
「ゼノンさん、イリスさん、手紙をありがとうございました」
「いえいえ。私達もかの有名な暁の大地の方々と会えて、とても嬉しかったです」
「はい。私達もラティちゃん達の家族と知り合えて嬉しいですよ」
そこにサラとエリーが提案をした。
「どうでしょうか? もしよろしければ、この国に滞在している間は、こちらに泊まるというのは」
「よろしいのですか?」
「勿論です。2人はユーマ達の友達なんです。そんな人達を迎えない訳ありませんよ」
「かたじけのうございます。では、この国にいる間は、お世話になります」
「よろしくお願いします」
こうして、俺達の家に暫くの間、ゼノンさんとイリスさんが滞在する事が決まった。
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