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第59話 初の共同依頼

前回のあらすじ

サイクロプスの討伐を目指す途中、ユーマ達はバロン達に自分達の従魔の秘密を打ち明ける。

ゼノンがアリアの正体を知った事で、少し物騒な展開になりかけたが、アリアの器の大きさによって丸く収まり、無事彼らにアリア達の事を受け入れてもらえるのだった。

 街を出発して数日経ち、僕達はサイクロプスが住み着いている渓谷に到着した。

 僕達は馬車から降りて、周囲の警戒に当たった。


「この渓谷にサイクロプスがいるのは確実だが、問題は何処にいるかだな。幸いにもここは渓谷。通路が存在する以上、いつかは必ず出くわすだろう」


 ゼノンさんは手当たり次第に探すつもりなんだろう。

 でも、僕がいる以上、その心配はない。


「大丈夫です。僕の探知魔法なら、サイクロプスを探す事が可能です」


「ほう。ユーマ殿の固有魔法は探知魔法なのか。それは心強い。ぜひ頼む」


「任せてください」


 僕は魔力を波状に広げて、サイクロプスの魔力を探した。

 そしてすぐに巨大な魔力の反応を感知した。

 その数は3つ、これがサイクロプスだな。


「見つけました。あっちの方角から、数が3つの巨大な反応がありました。間違いなく、サイクロプスです」


「でかしたぞ、ユーマ。よし、行くか」


 バロンさんの合図で、僕達は魔力の反応があった場所を目指した。


――――――――――――――――――――


 1時間ほどして僕達は遂にサイクロプスを発見できた。


「あれがサイクロプス。大きいわね」


 ラティの第一声はその一言だった。

 確かに、身長が7メートルとなると、それだけでかなりの脅威になりそうだな。


「大丈夫よ。奴らは図体だけで知能は低いの。そういう意味では、ある意味オーク以上に本能で動くだけの脳筋だから、冷静に対処できれば怖くないわ」


 イリスさんが教えてくれた事で、僕達にもやれそうな感じがしてきた。


 僕達は全員武器を抜いた。


 バロンさんは風斬剣が壊れているので、王都で買ってきた普通の大剣を、トロスさんも壊れた剣に代わって新たな片手剣2本を抜いている。

 前は長剣と小剣の組み合わせだった為、今回新しく買った剣も長剣と小剣の二刀流だった。


 ゼノンさんもスニィに合図を送り、スニィは本来の水晶竜の姿になった。

 その姿は全身がやや灰色が混じった白い体に、全身が水晶の鱗や角で覆われた水晶竜と呼ぶのに相応しい姿だった。


 ラティとクレイルの傍にも元の姿に戻ったクルスと、亜空間から呼び出されたレクスが構えていた。


「よし、それぞれ各パーティーで1体ずつに仕掛けるぞ」


 僕達は互いに頷き、一斉に飛び出した。

 僕達銀月の翼の狙いは右端にいるサイクロプスだ。


 サイクロプス達は接近してくる僕達に気が付き、その単眼から衝撃波を放てきた。

 でも、僕が探知魔法で衝撃波から発する魔力を感知したり、バロンさんやゼノンさん達は持ち前の経験による勘で躱し、僕達はそれぞれのサイクロプスと対峙した。


「ユーマ、打ち合わせ通り、俺は前でいいんだな?」


「うん、いいよ。他はいつも通り、僕は近接から中距離、クレイルは前、ラティは後ろ、アリア達は僕達と一緒に攻撃だ!」


「「『了解!』」」


 僕達はクレイルが加わった新しい陣形で戦いを始めた。


 まずは僕が収納魔法から取り出した、投擲の槍を投げて注意を引き付けようとした。

 その槍はサイクロプスの胸部に当たったが、その分厚い筋肉に弾かれた。

 でも狙い通り、サイクロプスの意識は槍を投げた僕に向く事に成功した。


 クレイルは体術で戦う為、傾斜面を駆け上ってサイクロプスの顔面目掛けて飛び上がった。

 サイクロプスも目の前のクレイルに反応して右手に持った巨大な棍棒を振り被った。


「させないよ!」


「ウォオン!!」


 僕とレクスは高速で足元に接近し、僕が白百合と黒薔薇で片方の足の(けん)を斬り付けて、更にもう片足の腱をレクスが爪で切り裂いた事で、サイクロプスはバランスを崩した。


「貰った!!」


 続いて、クレイルが空中で体を捻って勢いを付けた空中での後ろ回し蹴りの一撃を顔面に喰らったサイクロプスは傾斜に激突した。


 両足の腱を斬られてバランスを崩され、加えてクレイルの回し蹴りをもろに顔面に喰らった事で、サイクロプスの単眼は虚ろになっていた。

 

「フレイムジャベリン!!」


「グルルルルルルゥゥゥ!!」


 更にラティとクルスがフレイムジャベリンと風の矢で追い打ちをかけ、さっきまでピンピンしていたサイクロプスは一気に虫の息となった。


『残念ですが、もう終わりですよ』


 そこに元の姿になったアリアが現れ、魔力を纏った尻尾で首を跳ねられ、サイクロプスは絶命した。


「やったな。初めての戦闘にしては、いい連携だったんじゃないか?」


「そうだね。前衛にクレイルが加わった事で、前よりもより戦闘が安定している。それに近接戦特化型のレクスがいるから、従魔の戦闘も安定している」


「あたしも、2人が前衛にいるから、前よりも魔法の援護がしやすくなった」


 今回の戦闘で、僕達の戦力は大幅に強化された事が確認できた。

 クレイルとレクスが前衛を、僕が剣や槍による前衛と魔法で中距離を、ラティが魔法で後衛を、アリアとクルスが上空からの援護などの遊撃を担当する事で、僕達の戦いの幅は大幅に広がった。


 やっぱり前衛が1人増えた事で、僕も視野が広がったのも大きいな。


「よっ、お前達も終わったみたいだな」


 聞こえた言葉に振り向くと、バロンさん達がやってきた。

 その後ろには既に倒されたもう2体のサイクロプスの死体があった。


 2体ともダグリスさんやイリスさんの魔法を受けたのか、あちこちが焦げたりしていて、バロンさん達が倒したのはその他に全身が切り裂かれた傷があり、ゼノンさん達が倒したのは左腕が肩から噛み千切られたり、顔面が骨格から歪んだりしていた。


「はい、そちらも終わったみたいですね」


「ウム、私達が本気を出せば、まさに朝飯前だった」


「そうですね。それに分担して、1体ずつを数人で倒しましたから。もっとも、これが普通の冒険者だったら、もう少し時間はかかったと思いますが」


 トロスさんの言う通り、今回は人数を割いて分担したから最短時間で終わらせる事が出来たんだ。

 普通の冒険者なら分担するなんて器用な真似は、余程腕利きじゃない限り難しいだろうな。


「じゃあ、さっさと解体して引き上げましょう。あまり時間をかけていると、血の匂いに引き寄せられて他の魔物も来ちゃうわよ」


 イリスさんに従って、僕達はそれぞれが倒したサイクロプスの解体を始めた。


 解体が終わった後は来た道を戻り、予定通りの1週間で街に戻ってこれた。

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魔物情報


サイクロプス

鬼人種に分類されるBランクの魔物。だがこれは単体でのランクで、複数いるとその討伐難易度はAランクに匹敵する。大きさは約7メートルで、常に最低3体の群れで行動している。手にはその自身の体の大きさにあった棍棒を所持し、その単眼からは衝撃波を放つ事が出来る。パワーに関してはAランク並みだが、知能はそれほど高くないのでランクはBに留まっている。討伐証明部位は頭頂部の角。


次回予告

新しい目的地をどこにするかで話し合うユーマ達。

そしてクレイルの発言で、彼らの次の目的地はある国へと決まる。

そして、バロン達もまた、それぞれの目的地を決める。


次回、新たな目的地を目指して

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