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第58話 秘密の打ち明け

前回のあらすじ

クレイルの加入手続きをした際、ユーマ達はCランクに昇格する。

その後マッハストーム、赤黒の魔竜とのアライアンス結成を済ませ、初依頼にサイクロプスの討伐依頼を受ける。

 門で皆が来るのを待ってから30分程で、ゼノンさん達もそれぞれの従魔を連れてやってきた。


 バロンさんはBランクのガストイーグルのロップス、トロスさんはBランクのシャドウパンサーのピック、ダグリスさんはAランクのリビングメイルのジオン、イリスさんはAランクのヴァンパイアバットのカミラという全て強力な従魔を連れていた。


 でも、ゼノンさんの従魔がいない。

 その代わり、彼の傍に、青色の髪をした女性がいる。

 外見はゼノンさんと同じ竜人族の様で、頭には竜の角があった。


「ゼノンさん、ゼノンさんの従魔は何処ですか?」


「ああ、こちらにいる。紹介しよう。私の従魔、古竜の水晶竜(すいしょうりゅう)のスニィだ」


 ゼノンさんが紹介したのは、その青い髪の女性だった。


「初めまして、皆さん。水晶竜のスニィです」


 ゼノンさんによると、竜種は古竜クラス以上になると人の姿に変身できる人化(じんか)の魔法が使える様になるとの事だ。

 つまり、スニィは普段はこの姿で行動しているという事か。


 因みに、アリアはまだ人化の術はできず、もう少し成長すればできる様になるとの事だ。

 だが、普段のミニサイズ化がその人化の術を応用した姿らしいので、人化が出来る様になれるのはそう遠くないとの事だ。


「む? クレイル殿は従魔を連れていないのか? 姿が見えんが」


 ゼノンさんの問いに、クレイルが答えた。


「それなんですが、俺の従魔はこの先の人気のない場所で紹介します。だから、今は待っててください」


「その際に、僕達もこのアリアとクルスの秘密を話しますので、どうかお願いします」


「まあ、ちゃんと従魔がいるなら俺達もいいけどさ」


 何とか皆納得して、それぞれの馬車に乗り込み、僕達一同はサイクロプスが出る渓谷を目指した。

 バロンさん達は馬車を所持していたが、ゼノンさんとイリスさんは馬車を持っていない為、僕達の馬車に乗せる事になった。


 ゼノンさんとイリスさんが馬車を持っていないのは、彼らの長距離の移動は竜の姿になったスニィに乗って、空を飛んで移動しているからだそうだ。


 成程、確かにそれは移動時間が大幅にショートカットできそうだな。

 でも、僕達はお父さんから貰ったこの馬車があるから、できる限りは、これで移動すると決めている。


――――――――――――――――――――


 それから暫くして日が暮れたので、僕達は見晴らしのいい平原で野営をする事にした。

 僕達は野営用にテントを張って、焚火を焚いて夕食の準備を始めた。

 それぞれの料理番であるトロスさんとイリスさんが手伝おうとしたが、僕が料理する姿を見て僕に任そうと判断した。


 今回の献立は、大人数に合わせて野菜たっぷりのファングボアのポトフにした。


 僕の作った料理は、クレイルやバロンさん達にも好評だった。

 昨日の祝会の時の皆の食べっぷりから、いつもの数倍の量にしてみたがやはり正解だった。


「ユーマ、お前強いだけじゃなく、飯も上手いんだな」


「見事だユーマ殿。これ程に美味しく仕上げるのは、私には無理だ」


「そうね。私でもこの味を出すのは難しいわ」


 全員が僕の作った料理を満足そうに食べてくれた。

 特に満足しているのが、クレイルだ。


「ユーマ、お前の作った飯の美味さ、俺が今まで食べたどの味よりも上だぜ。これからは、いつもこんな美味い飯が食えるなんて夢みたいだぜ」


「ありがとう」


 そして皆で後片付けをした後、遂に皆に僕達の秘密を話す時が来た。


「それでユーマ、お前達の秘密を話すって、何なんだ?」


「はい。実は、僕とラティの従魔は、この姿は自身の力で小さくなってるだけで、普段は人目を避ける為にこの姿になっているんです。ですから、今から本当の姿を見せます」


 僕達はアリアとクルスにアイコンタクトで合図を送り、2匹はそれと同時に全身を光らせて元の姿に戻った。


 目の前で突然巨大化した2匹に、皆は驚いていた。


「改めて紹介します。僕の従魔、竜神のアリアです」


『皆様、この姿での挨拶が遅れて申し訳ありませんでした。ユウマの従魔を務めている、竜神のアリアです。よろしくお願い致します』


 この紹介に、皆目の前に竜神が現れた事で、驚きの余り固まってしまった。

 中でも特にアリアを意識しているのが、ゼノンさんと彼の従魔のスニィだ。


 2人はアリアの前に跪いて、深く頭を下げた。


「何と……アリア殿……アリア様がかの竜神様だったとは……これまでのご無礼、何卒私の命でお許しください。ですから、せめてスニィだけは助けてください」


 いきなりゼノンさんが物騒な事を言い出した。

 そういえば竜人族にとって竜神は、神の御使いとして崇められている存在だったっけ。

 そのアリアに易々と口をきいていた事を、アリアに不敬を働いたと捉えているみたいだ。


『ゼノンさん、その必要はありません。あなた達に正体を隠し、欺いていたのは私です。寧ろ謝罪するのは私の方なのですから、どうか、これまでの対応でお願いします』


「はっ……! ありがたいお言葉、このゼノン、感謝いたします」


 どうやら、アリアとゼノンさんとの間はあっさりと収拾がついたみたいだ。


「じゃあ、話が纏まった所で。この子はあたしの従魔の、特異種のグリフォンのクルスです」


「グルルゥ」


「何と! 特異種のですか!? 竜神はEXランクですが、グリフォンは特異種となるとランクが1つ上がって、グリフォンもEXランクですか!?」


 トロスさんもクルスのランクに気が付いて、驚愕している。


「最後に、俺の従魔を紹介します。来い、レクス」


 クレイルは亜空間魔法で黒い渦を出し、そこからレクスが出て来た。


「こいつは俺の従魔、フェンリルのレクスです」


「フェンリル!? EXランクの伝説の魔物ではないですか!?」


 トロスさんはまたしても驚愕している。


「こいつもEXランクだと!? て事は、ユーマ達は3人とも、EXランクの魔物と適合していたのか!?」


 バロンさん達は僕達が全員EXランクの魔物を従魔にしている事に、かなり驚いていた。


 でも無理もない。

 基本、EXランクの魔物は適合率が100億人に1人という確率だから、それと契約した者が3人いて同じ場所にいるという事に、驚かない方がおかしい。


 それから僕達は、アリア達の事を全て話した。

 EXランクの魔物を従魔にしている事が貴族、特にアルビラ王国の過激派の様な横暴な貴族に知られた時のリスクや、以前僕達を軍事利用しようとしたあの小物大臣の様な人達の目を避ける為に、アリアとクルスをミニサイズにして幼竜とグリフォンの子供として振舞い、レクスはクレイルの亜空間魔法で隠している事、その為普段は故郷の実家に預けているとごまかしている事。

 クレイルもついで感覚でロストマジックを覚えている事も明かした。


 話を聞いたバロンさん達は納得した感じで頷いていた。


「成程な。話は分かった。確かに、お前達は偶然が重なったとはいえ、EXランクの魔物を3体も連れているんだ。確かに貴族みたいな権力者から守るには最善の手かもな。分かったぜ。俺達は絶対に、アリア達の事は他言しないって約束するぜ」


「私達もだ。特にアリア様は我ら竜人族にとっては神々しき存在。その様なお方を売る様な真似は絶対にしない」


 2人のパーティーリーダーの誓いに、他の皆も秘密を守ると約束してくれた。


 因みに、各パーティーでも魔法の使用に精通しているダグリスさんとイリスさんは、クレイルのロストマジックに興味を抱き、かなりの長時間クレイルからロストマジックの事を根掘り葉掘り聞いていた。


 それが終わり解放された時のクレイルは、疲れ切った表情だった。

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アリアの凄すぎる所

その6、途轍もなく器が大きい


魔物情報


ガストイーグル

鳥獣種のBランクの魔物。翼を羽ばたかせて突風を起こし、それで加速する事で弾丸の如くの速さで敵を貫く事が出来る。またその突風を前面に起こす事で急ブレーキをかける事も出来、高速飛行、急速旋回など、自在に飛行する事が出来る。討伐証明部位は尾羽。


シャドウパンサー

Bランクの黒豹の魔物。影に潜り込む能力を持ち、獲物の影に潜み、油断させた所で飛び出し急所に噛みついて仕留める戦法を得意とする。影は自然界に必ず存在している為、その能力を回避する事はまず不可能とされる。しかし、全体の能力はそこそこな為、ランクはBに指定されている。討伐証明部位は牙。


リビングメイル

放置された鎧に魔力が溜まり、内部に魔石が形成され魔物化した存在。Aランク。鎧の中は空洞な為、内側の魔石を抜き取る、または破壊しない限り、倒れても何度も立ち上がり、無尽蔵に攻撃してくる。また中身がない為、中に人や物を入れて運ぶ事も可能。鎧は強い魔力が宿っている為、魔物化する前よりも物理、魔法の攻撃に対する耐性が強い。討伐証明部位は頭部。


ヴァンパイアバット

吸血蝙蝠の魔物でAランク。翼を広げると2メートルを超える巨体を誇り、自身の体を無数の小型の蝙蝠に分離する事で、敵を撹乱する事も出来る。その牙に噛みつかれると血を吸われる他、牙に宿った自身の因子を植え付けられて眷属となって操られてしまう。討伐証明部位は右耳。


水晶竜

古竜に分類されるAランクの竜種の魔物。氷属性に分類される古竜で、全身が輝く水晶の鱗に覆われ、角も水晶でできており、抜群の攻撃力と防御力を兼ね備えている。また放つブレスに水晶の欠片を加える事で、裂傷力に特化したブレスとして放て、敵を切り刻む事も出来る。また、水晶竜は古竜の希少種に分類され、その発見例は極めて少ない。討伐証明部位は逆鱗。


次回予告

目的地の渓谷にやってきたユーマ達は、サイクロプスを探し出す。

そしてアライアンスの初依頼となる、サイクロプスの討伐依頼を決行する。


次回、初の共同依頼

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