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第56話 新しい仲間

前回のあらすじ

討議大会の優勝は銀月の翼となり、その表彰式でユーマ達は誰にも仕えるつもりはないと外堀を埋めた。

 その夜、僕達は月の狐で祝勝会が行っていた。

 参加者は僕、ラティ、バロンさん、トロスさん、ダグリスさん、ゼノンさん、イリスさん、そしてクレイルだ。


「それでは、ユーマとラティの嬢ちゃんの優勝、そしてクレイルの準優勝を祝って、乾杯!!」


「「「「「「乾杯!!」」」」」」


 バロンさんの音頭で、僕達はセイナさんが用意したご馳走を食べ始めた。

 ラティ達大食いトリオに続いて、バロンさんやダグリスさん、クレイルもかなりの勢いで食べている。

 ゼノンさんとイリスさん、トロスさんは静かに丁寧且つ結構な量を食べている。

 こうして見てみると、獣人や竜人族、魔族って結構な大食漢なんだな。

 その彼らと互角に食べているラティも凄いけどね……。


「ありがとうな、俺まで一緒になって」


 クレイルが口に含んだ物を飲み込んで、僕達に言ってきた。


「気にしないでよ。クレイルも主役の1人なんだから。それに、僕達は友達でしょ? なら、問題ないじゃない」


「そうだな。なら、俺もとことん行くぜ!」


 そういってクレイルは、ラティに勝るとも劣らないペースで食べ始めた。


「やるわねクレイルくん。でも負けないわよ!」


 ラティはクレイルの食べっぷりに対抗意識を燃やして、更にペースを増した。しかもよく見ると、クレイルのペースが高速と化している。

 どうやら加速魔法を使ったみたいだ。


「はい、追加のお料理ですぅ!」


 給仕のお手伝いをしているスーちゃんが宿屋の従業員と一緒に、追加の料理を持ってきてくれた。


「ありがとう、スーちゃん」


 スーちゃん達は再び厨房の方に向かっていった。

 そしてテーブルの方に視線を戻すと、ゼノンさん達が唖然としていた。

 皆、口を半開きにして同じ方向を向いている。

 アリアとクルスも少し固まっている。


「あの、どうしたんですか?」


 隣にいたイリスさんに聞いてみたら、僕の左隣の方を指差した。

 確かこっちはラティとクレイルの席がある方だけど、何があるんだろう?

 振り向くと、そこには凄い光景が広がっていた。


 ラティとクレイルが最早人類の常識を超越した速さで、次々と料理を平らげていた。

 どうやらこの2人は食べ比べをしているみたいだ。

 クレイルが加速魔法で料理を取り皿に乗せるのと食べるのを加速させて食べ、ラティは純粋に自分の速さで食べている。


 その2人の姿に、バロンさんやゼノンさん達は唖然としながらも、何とか自分の食べる分は確保できていた。

 かくいう僕も……。


 それから暫くして、ようやく2人が満腹になったのか、僕達も含めて全員食べるのが収まった。

 ラティとクレイルはあれ程食べたのに、全然苦しそうにはしていなくて思いっきり食べられた事に満足していた。

 僕やバロンさん達もお腹一杯になって満足だった。


「あぁ~~、食った食った」


「飲んだ飲んだだな」


 バロンさんとダグリスさんは爪楊枝を加えながら、満足の一言を言った。


「それでは、お腹が膨れた処で、今後の予定を決めましょうか」


 トロスさんの言葉で、僕達は今後の事を話し合った。


「まず、僕達のアライアンスを結ぶ為にギルドで登録しないとですね」


「うむ。その後だが、もしいい依頼があったら、皆で受けてみないか」


「そうですね。では、明日の正午にギルドで待ち合わせはどうでしょう?」


「分かりました。では、明日は正午にギルドの入り口前で落ち合いましょう」


 明日の予定はスムーズに決まった。そして、僕はクレイルに尋ねた。


「クレイルはこれからどうするの?」


「俺? 俺は、そうだな……これといって行く宛のある旅でもないし、まだ決めてないな」


 それを聞いた僕は、クレイルにある提案をした。


「それでなんだけど、もしクレイルがよければ、僕達のパーティーに入らない?」


「えっ!? 俺がユーマ達のパーティーに?」


「うん。実は、結構前からラティと話し合っていたんだ。クレイルが仲間になってくれたらいいなって」


 そう、僕達はこの大会中、クレイルに仲間になって欲しいと思っていた。

 クレイルは僕達と同じくEXランクの魔物を従魔にしているし、実際に戦ってみて、僕達はかなり心が通じ合えたと思っている。


 実際、ラティもアリアもクレイルの事を初めて会った時からとても気に入っていて、クルスもクレイルに会うと嬉しそうな顔をしている。

 だから僕達は皆、クレイルにはできれば仲間になって欲しいと思っている。


 それに、クレイルは今大会で準優勝し、更に1人で出場して勝ち上がった実力者だ。

 そんなクレイルを今後貴族や冒険者達が放って置く筈もない。

 でも、貴族に対して外堀を埋めた僕達の仲間になれば、クレイルもその外堀に含まれて貴族に対しても、僕らのパーティーに入る事で冒険者に対しても勧誘されにくくなる。

 僕達はクレイルも守りたくて、彼を誘ってみたのだ。


「それでクレイル、どうかな?」


「………………」


 クレイルは暫く考え込んでいて、少ししたら何か決意したという顔をして、僕達に向き合った。


「分かったぜ、ユーマ。俺、クレイル・クロスフォードは、銀月の翼に加入する!」


 この発言に、ラティはとても嬉しそうに笑った。

 僕も嬉しい。

 新しい家族が増えるのだから。


「分かった。これからよろしくね、クレイル」


「よろしく、クレイルくん!」


「ああ、よろしくな! ユーマ、ラティ!」


 僕達が固く握手をしているのを見て、再び飲み物が入った容器を持って、バロンさんが声を上げた。


「よし! なら、クレイルのユーマ達のパーティーの加入を祝って、もう1度、乾杯!!」


「「「「「「乾杯!!」」」」」」


 こうして僕達銀月の翼に新たな仲間、獣人の拳闘士、クレイルと、亜空間にいる為ここにはいないが従魔のフェンリルのレクスが加わった。

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次回予告

冒険者ギルドでアライアンスの登録をするユーマ達。

そして、共同で受ける初依頼を選ぶ。


次回、アライアンス結成

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