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第51話 後始末

前回のあらすじ

マッハストームの強さに苦戦するユーマは一度は戦意を消失しかけるが、ラティの為という意思により闘志を再燃させる。

そして切り札の神剣ミネルヴァを使い、バロン達3人を倒して、見事にラティとの未来を守り抜いた。

 控室に戻って暫くすると、扉が開き誰かが入ってきた。

 デイツかと思ったが、入って来たのはバロンさん達マッハストームだった。


「いやあ~、負けたぜ。文句なしにな」


「皆さん、おめでとうございます」


「俺達に勝つなんて、大した子供だな」


 バロンさん、トロスさん、ダグリスさんの順に僕を称えた。

 ダグリスさんはそれに加え、僕の頭をガシガシと少し乱暴に撫でる。


「ありがとうございます。でも……バロンさんとトロスさんの剣が」


 そう、さっきの試合で2人の魔剣と剣が見事に折れてしまったのだ。

 僕はバロンさんとトロスさんに謝ろうとしたが、バロンさんはそれを手で制した。


「ああ、それなら気にするな。風斬剣は核になってる魔石の部分が無事だったから、腕のいい鍛冶師に頼めば修復は可能だ」


「僕も、ちょっとお金を出せば、新しい剣はすぐに揃えられます。僕の剣は魔剣ではありませんからね。だから大丈夫です」


 それを聞いて、僕は安心した。

 トロスさんの剣は普通の剣だったからまだいいが、バロンさんの剣はマジックアイテムだったから、これで修理できないと言われたらどうしようかと思ってたけど、良かった。


「処でよ、ユーマ。お前さん、何で1人で俺達に挑んできたんだ? お前さんの戦闘力に、ラティの嬢ちゃんの魔法が加われば、もう少し幾分かは楽に戦えただろうに」


 バロンさんは僕が1人で戦い、ラティが一切手出ししなかった事の質問をしてきた。


「そうですよね。何だか事情があるようでしたけど、何があったんですか?」


 やっぱりその質問が来たか。

 まあ、試合の時に「後で話します」と言ったしな。


 僕は事の経緯を話した。

 すると、バロンさん達はデイツに対する怒りや呆れの感情を抱いた。


「そのデイツって貴族、馬鹿なんじゃねえのか? 2人が愛し合ってるのなんて、見れば判るってのによ」


「全くですね。しかも、自分が彼女と結婚したいが為にそんな条件まで出すなんて」


「俺だったら、立場関係なくブッ飛ばしてるな」


 どうやら、3人は僕達の味方の様だ。


 すると、扉からノックの音がして、扉が開くと、デイツとチャルスさんが入ってきた。


「デイツ様……」


「何!? この子供が、ユーマ達にその条件を出した貴族か!」


 ラティの呟きに、バロンさんが反応して声を上げた。

 それに反応して、デイツは少し怯んだ。


「ユーマ様、この度の勝利、おめでとうございます。さあ、お坊ちゃまも」


 チャルスさんの機転で僕達に会話を持ちかけた事で、バロンさんは一旦落ち着いてデイツに挨拶が振られた。


「ユーマさん、この度の勝利、まずはおめでとうございます。そして、ラティさんとの事ですが、見事にあなたが勝利した事で、約束通り彼女の事は諦めます。あなたは自分の力のみで、前回の優勝者であるマッハストームに勝利を収めた。そして、その直後の彼女の笑顔を見て、2人が本当に愛し合っているというのが感じられました。これには、私が入り込む余地がありません。ですから、綺麗さっぱり、ラティさんの事は諦めます……ユーマさん、ラティさん、どうかお幸せに……」


 そう言って、デイツはそそくさと控室から出て行った。


「皆様、この度はデイツお坊ちゃまが大変ご迷惑をおかけしました事を、深くお詫び致します。この度の事は、本家に戻り次第私がデイツ様のお父上であるトータス伯爵様に報告させていただきます。旦那様は非常に厳格なお方ですので、今回のお坊ちゃまの行いを知れば、もう皆様に余計なちょっかいを出す事はありません。ですから、安心してください」


「ありがとうございます。チャルスさん」


「いえいえ。ユーマ様とラティ様も、明日の決勝戦、頑張ってください。私も陰ながら応援していますので。では、失礼します」


 そう言い残し、チャルスさんはデイツを追って控室から退室していった。


「よし、話も終わった所で、そろそろ次の試合が始まる頃だから見に行こうぜ」


「そうですね。特に君達は明日の決勝戦の相手が決まる試合ですから、見ておいて損はありません」


 バロンさん達の提案で、僕達も観客席に移動を始めた。

 まあ、試合を見なくても、その結果は殆ど見えているけどね。


――――――――――――――――――――


 次の試合を観戦したが、やはりというべきか、僕達の対戦相手は、クレイルだった。


「やっぱり、決勝の相手はクレイルになったね」


「うん。でも、やっぱり動きが全然見えなかった」


 クレイルは今回も素早い動きでの格闘術で勝って、属性魔法らしい攻撃はしていなかった。


「魔法は身体強化は使っていると思うけど、もしかしたらそれ以外にも何かしているかもしれない」


「それって、やっぱり固有魔法かしら?」


「今はまだ分からないけど、実際にぶつかれば何か掴めるかもしれない。それにクレイルも僕達の戦いは見ていてるけど、何も向こうだけ僕達の全部を見た訳じゃないんだ。僕達にはまだ秘策がある」


「そうね。こればかりは戦ってみないと分かりそうにないわね」


 僕達はクレイルの勝利した姿を見ながら、決勝戦に備えるしかなかった。


――――――――――――――――――――


 ここはある宿屋のある一室。

 そこにある2人組が話し合っていた。


「どうだったか? 試合の結果は」


 ベッドの上で休んでいた男が、部屋に入ってきた女性に尋ねた。


「ゼノンの予想通りになったわ。あの2人、決勝戦まで勝ち進んだわよ」


 男性――竜人族のゼノンは魔族の女性――イリスから返ってきた答えに満足そうに頷いた。

 ユーマ達との試合の後、ゼノンは宿の部屋で休養を取り、イリスは動けないゼノンに代わってコロシアムに行き、その後の大会の進行を見ていたのだ。

 そして準決勝が全て終わって決勝の組み合わせが決まったのを確認したイリスは、宿に戻りゼノンに報告していた。


「そうか。やはりあの者達が勝ち進んだか」


「あの者達だけど、正確にはユーマくんが1人で相手チームを倒したの。相手は前回の優勝チームで、全員がAランクの冒険者よ」


 ゼノンはその報告に驚愕した。


「何と!? それは本当か!?」


「本当よ。私がそんなくだらない冗談を言うと思ってる?」


「そうだな。イリスに対してその質問は愚問だったな。しかしそうか。ユーマ殿はたった1人でAランクの者達を同時に相手にして勝ったのか。やはり、彼を強者と判断した私の目は狂っていなかったか」


「それからもう1つ報告があるわ。その子達と戦うのは、この大会でもう1人注目されている、あのクレイルという獣人よ」


 イリスは決勝戦に組み合わせの報告もして、ゼノンはそれには納得の表情をしていた。


「そうか。私もあの者の戦いを見ていたが、あれは只者ではないと見ていた。そして、彼も決勝に残る事は予想出来ていた」


「流石ね。で? これからどうするの?」


 イリスは質問した一方で、相方の返事は既に分かっていた。


「決まっている。ユーマ殿とラティ殿とは一度手合わせした仲だ。これから2人の所に行き、激励する」


「そう言うと思っていたわ。身体はもういいの?」


「大丈夫だ。コロシアムの効果と、持ち前の丈夫さでこの通り完全回復した」


 ゼノンはそれを証明する為に、少し体を動かして自分は大丈夫だと伝えた。


「ならいいわ。じゃあ、行きましょうか。急がないと、2人がコロシアムから帰ってしまうわ」


「そうだな」


 2人はユーマ達に会う為に、宿屋を出てコロシアムへと向かった。


 そして、これが2人が彼らと更なる親交を結ぶ事を、彼らはまだ知らない。

~ちょっとしたおまけ~

デイツはこの後執事のチャルスによって実家へ連れ戻され、彼によって当主の父親に今回の事を報告される。

結果デイツは激怒した父親によってデスペラード帝国の騎士団に強制入団させられ、その性根を叩き直される事になったとさ。

めでたしめでたし。


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お待ちしております。


次回予告

戦いを通してバロン達と親交を結んだユーマ達は、トロスからある提案をされる。

そしてさらにある人物たちとも再会する。


次回、アライアンス

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