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第44話 開幕

前回のあらすじ

神の間へ報告に来たユーマは、そこで地球の神様と再会する。

そこでユーマは過去に転生した人達や、自分がどんな存在なのかを聞き、そして自分の前世の死後の事を聞き未練を無くす。

 2週間という時間があっという間に過ぎ、遂に今年の武闘大会が開催された。


 今僕達は開会式を終えて、控室で自分達の試合が来るのを待っている。


 その開会式でこの大会のルールの説明もあった。

 大まかなルールは最初に受け付けで参加登録をした時に受付嬢さんから貰った説明書にも乗っていたが、改めての説明で見落としている部分があった場合の確認も兼ねているそうだ。


 この大会はチームによる総力戦で行われるトーナメント方式だ。

 試合は自前の武器で行い魔法の使用もあり。

 ただし、試合中に命を落とした場合は、その選手の自己責任となる。

 だが、故意に命を奪う、もしくは命を奪うような攻撃をした場合はそのチームの失格となる。

 試合中の回復アイテムや回復魔法の使用と収納魔法の使用は禁止。

 選手は予め、入場した時点で用意していた武器のみで試合を行う。

 また、この試合はあくまで人間の試合の為、従魔の参加はできない。

 よって、アリアとクルスはコロシアムの中にある従魔スペースに預けている。

 どちらかのチームが全員、もしくは予め決めたチームリーダーが倒された場合、またそのリーダーが降参を申請した時点で試合終了となる。

 またリーダー以外の選手が降参を申請したら、その人はその時点で失格となる。

 リーダーは左腕に赤い布を巻き、それがリーダーだと証明する。

 今回は僕がリーダーを務めている。


 またこのコロシアムは巨大なマジックアイテムで、フィールド全体に特殊な結界の魔法が施されており、その中で重傷を負ったり四肢欠損しても結界の外に出ると元の怪我をする前の状態に再生するそうだ。

 だが、結界の中で負ったダメージの再生はなく、体内に疲労や痛みは残るそうだ。

 また、死者を生き返らせる事も出来ない。


 僕達の試合は今行われている第2試合の次の第3試合。

 クレイルは最終試合の為、僕達が当たるとしたら自然と決勝になる。


「銀月の翼の皆さん、そろそろ入場の準備をしてください」


 係の人に呼ばれ、僕達は会場に向かった。


 会場に入ると、観客席から割れんばかりの歓声が上がった。


 ふと、来賓席を見やると1カ所だけ周りと違って凄く立派なスペースがある。

 そこには、この国の国王が座っていた。

 彼こそが、このヴォルスガ王国の国王、獣王と呼ばれているレオンハルト・フォン・ヴォルスガ国王だ。

 種族は獅子人族(ししじんぞく)で、髪の毛が獅子の(たてがみ)の様になっている。

 さらにここからでも判る程に、がっしりとした体格に加えて凄まじい筋肉の鎧に覆われている。

 正に、獣王と呼ぶのに相応しい風貌だ。


 そうしている内に反対側の入り口からは、対戦相手の5人が現れた。


 相手チームは全員人族で、剣士が2人、体全体を覆う巨大な盾、タワーシールドを持ちフルプレートアーマーに身を包んだ巨大な槍が武器の重戦士1人、魔法使いが2人のバランスの取れたチームだった。

 重戦士が布を巻いていたので、彼がリーダーだ。


 だが相手は何人かが、がっかりしたかの様な表情や態度を取り始めた。


「何だよ。俺達の初戦の相手は子供かよ。しかもたったの2人」


「まったくだな。これじゃウォーミングアップにもならないぜ」


 どうやら、相手が子供の僕達だと知って早くも勝った気になってるようだ。


「ちょっと、そんな言い方は相手に失礼よ。ごめんね、君達。この馬鹿共が失礼して」


「でも、あたし達も出来れば子供は傷つけたくないの。だから、降参してくれない?」


 魔法使いの女性2人は、僕達の事を案じて怪我する前に降参するよう言ってきた。

 正直、その心遣いは嬉しい。

 でも……


「その気遣い感謝します。でも、僕達も遊び半分でこの大会に参加したわけじゃありません。僕達は覚悟を決めて参加する事を決めたんです」


 僕はそう言って両腰に差した白百合と黒薔薇を抜き、ラティもエンシェントロッドを手に取り構えた。


「そう。そこまで決めているなら、同じ冒険者として何も言わないわ。苦しむ前に終わらせるから」


 魔法使いの女性の言葉に合わせて、相手の5人も武器を構えた。


「それでは、第2試合、銀月の翼と戦慄の剣の試合を始めます。それでは、始め!!」


 審判の掛け声で、遂に試合が始まった。


「せめてもの情けだ。先手は譲ってやるよ」


 リーダーの男は完全に僕らを舐めている様で、薄ら笑いを浮かべながら先手を譲ってきた。


「ラティ、出来れば手の内は隠しておきたい。この1回戦は僕に任せてくれない?」


「いいわよ。その代わり、2回戦はあたしに譲ってね」


 ラティは笑顔で承諾してくれた。


「了解」


 ラティの承諾を得た僕は、いつもの複合身体強化ではなく、普通の身体強化を掛けた。

 複合強化は温存して、少しでも手の内を隠す為だ。

 普通の身体強化だが、そこに白百合の神速の力で一瞬でリーダーの男の目の前まで移動して、左手の黒薔薇を振り被った。


「なっ……!?」


 男は咄嗟にタワーシールドを前に出して防御の態勢に入ったが、黒薔薇に込めた魔力を調節して見事に盾だけを粉々に砕いた。


「何だと!?」


 自慢の盾を砕かれると思ってなかったのか、男は動揺で隙だらけとなった。

 僕はそこにガラ空きとなった腹部に回し蹴りを入れて、男を吹っ飛ばした。

 黒薔薇の撃滅の効果で、キック力も上がっていた。


「ガラン!」


 仲間の剣士がリーダーの名前を叫んだ。


「てめえ! よくもガランを!」


 2人の剣士は僕が自分達の間合いにいた為、それぞれの剣を振りかぶってきた。

 だが、お父さんの動きに比べれば、どうって事はなかった。


「遅い。アースバインド」


 僕は2人の剣が振り下ろされる前に土属性の拘束魔法で、2人の足元の地面を操作して身動きを封じた。

 結果、2人の剣士は剣を持った腕を上げたまま地面の拘束に捕らわれてしまった。


「フレイムジャベリン!」


「サンダージャベリン!」


 魔法使いの2人は僕に炎と雷の槍を放った。

 だが、僕は薙ぎ払う様に白百合を振り、その2本を風圧で消滅させた。


「そんな!?」


「私達の魔法が、あんなにあっさりと!?」


 2人が驚愕している間に、ガランと呼ばれたリーダーの男が立ち上がった。


「てめえ! 子供だと思っていい顔してりゃ付け上がりやがって。もう容赦しねえ。喰らいやがれ!!」


 ガランは手に持った巨大な槍を突き出してきたが、僕は躱したり剣で弾いたりしてあしらった。


「なんで当たらないんだ! こんなガキ1人に手こずっちゃ、Cランクパーティーとして面目が丸潰れだ!」


 成程。

 この人達はCランクのパーティーだったのか。

 それならランクでは格下の僕達を見下していたのも納得だ。

 それでも……


「僕達だって、譲れないものはあります。だから、この勝負勝たせて貰います!」


 僕は2本の魔剣に魔力を籠めて、白百合で槍の柄を切り落とし、黒薔薇の腹の部分で鎧の胸の部分に打ち付け、鎧を砕くと同時にガランをさっきよりも大きく吹っ飛ばした。

 結果、壁に激突したガランは白目をむいて気絶していた。


「そこまで! リーダーが戦闘不能になった事で、この試合銀月の翼の勝利とします!」


 その言葉と共に、会場内はさっき以上の歓声が上がった。

 理由は、僕達子供、それも僕がたった1人で5人を相手にし、それで完勝したからだ。

 更に今日は僕だけで、まだ相方のラティの戦いを誰も見ていない。

 だから、今後の僕達の戦いにかなりの注目が集まったんだ。


 僕は指をパチンとならして、剣士2人に掛けたアースバインドを解除した。

 その途端、2人はその場にへたり込んで落ち込んでいた。


「くそ……俺達があんな子供1人に負けるなんて……」


「俺達、カッコ悪すぎだ……」


 その2人に魔法使いの2人が寄ってきた。


「今回はあたし達の慢心が負けを呼んだんだよ。相手はあたし達と同じ冒険者だ。なのに、あんた達はあの子達が子供というだけで見下し、勝った気になっていた。その油断が外の世界では死につながるんだよ」


「私達も、少し油断があったからあまり人の事は言えないけど、それでも今回の敗北は身に染みておきましょう」


 僕らはその様子を見届け、一足先にフィールドを後にした。


――――――――――――――――――――


 その後の僕らは観客席から他の試合を観戦していた。

 やはり年に1度開催される大規模な大会だけあって、この大会には様々な種族参加者がいた。


 僕らの次の試合では獣人族だけのチームとエルフだけのチームだったり、他の試合では竜人族や魔族もいた。


 そういった数々の試合を見ていき、最後の試合では信じられない光景を見た。

 それは、クレイルが相手チームの5人全員を、1分足らずで全滅させて勝利したのだ。

 相手の中には力に優れた巨人族やドワーフまでもがいたのにもだ。


「ねえ、ユーマくんはクレイルくんの動き見えた?」


「辛うじてだけど、どうやらクレイルは身体強化と獣人特有の身体能力で、相手の懐に飛び込み各急所部に打撃を入れて勝ったみたいだ」


 僕がクレイルの戦い方を推測していた時、クレイルはこちらを見て、笑っていた。

 その笑みが僕らに向けて放たれたものだと、僕達は直感で分かった。


 その時、僕は決勝でクレイルと当たった時の事を想像し、今までにない位燃えてきた。


「ラティ、どうやらこの大会、とんでもなく面白い戦いになりそうだね」


「うん、そうね」


 僕達は動揺するどころか、今後の対戦にワクワクしていた。


――――――――――――――――――――


 その頃、従魔スペースに預けられていたアリア達は、


「キュイ~~(平和ですね~~)」


「クルルゥ~~(そうだね~~)」


 優雅(?)に寛いでいた。

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お待ちしております。


次回予告

トーナメントは白熱し、ユーマとラティは順調に勝ち進む。

そしてある試合で、2人は強敵とぶつかる。


次回、白熱するトーナメント

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