第41話 新たな出会い
前回のあらすじ
ヴォルスガ王国に来たユーマ達は、宿を探すがどこも満室になり途方に暮れる。
その時偶然迷子の子供を親に会わせると、その親が経営する宿に泊めてもらう事になる。
月の狐で一晩が過ぎ、今僕らは、武闘大会が開かれるコロシアムに向かっている。
場所は昨日セイナさんから教えて貰った、この王都の中央付近にある建物だ。
やがて、目の前に大きな建物が見えてきた。
前世でラノベや漫画なんかで見た事のあるコロシアムとほぼ同じの建物だった。
「ここがコロシアムで間違いなさそうだね」
建物の周辺では、武闘大会が近い事により、様々な出店が並んでいた。
僕らはエントリーするべく、中に入り受付に向かった。
「ようこそいらっしゃいました。武闘大会への参加申し込みですか?」
受付の女性が聞いてきた。
「はい。参加登録に来ました」
「畏まりました。では、こちらの用紙に参加チーム名をご記入ください」
「チーム名ですか? 武闘大会って個人戦じゃないんですか?」
前世のラノベの武闘大会とかだと、大体1vs1の戦いになるから、僕はそういう先入観からそう思っていた。
僕は女性に尋ねると、彼女は頷いた。
「はい。武闘大会は最大5人までのチームによる総力戦となります。極稀に1人で参加される方もいますが、基本は最低でも2人によるチームで参加されています」
「そうですか。分かりました」
僕はペンをとり、用紙にチーム名を記入した。
「はい。チーム名、銀月の翼で登録をします」
僕は自分達のパーティー名を、そのままチーム名にして登録した。
用紙を提出すると、受付嬢さんは2つのタグと冊子の様な物を取り出した。
「ではこちらをどうぞ。こちらは、参加者を証明するタグでございます。そしてこちらは、大会に関するルール説明が記された説明書でございます」
僕らはタグと説明書を受け取った。
「「ありがとうございました」」
僕らはコロシアムの外に出た。
「ねえ、ユーマくん。時間も空いたし、ちょっと街を歩いていきましょう」
「そうだね。折角ヴォルスガ王国の王都に来たんだから、街を散策しよう」
ラティはいつも通り僕の腕に絡みついて、僕達は仲良く街を散策した。
街を歩くと、周りの男達がラティに振り向き、その美貌に見惚れていた。
そしてラティはそれを感じると、僕の腕を抱きしめる力を強めて、「自分は僕の恋人です」とアピールした。
その際、彼女の感触を知り尽くした豊かな双丘が柔らかく形を変えた。
それから暫く街を歩いていると、前の方が騒がしくなった。
「てめえっ!! 何俺達の邪魔してんだよ!!」
そんな男の怒声が聞こえ、僕達は人混みの方に行くと、そこには1人の獣人の少年が5人程のガラの悪そうな男達に囲まれていた。
その少年は、僕達と年齢は大して変わらないくらいの外見だった。
「ふんっ! お前達がこの人に乱暴するから、俺は見過ごせなかっただけだ! 痛い目に遭いたくなけりゃ、今すぐこの人に謝るんだな!」
少年は後ろにいる人族のおばあさんを指していた。
その更に後ろには、半壊した出店があった。
……成程。
どうやら、あの男達はあのおばあさんから代金を踏み倒すか何かで、あの店を壊し更におばあさんにも乱暴して、そこをあの少年が助けに入ったといった所かも知れないな。
「このガキが! 痛い目に遭うのはお前の方だ! お前ら、やっちまえ!」
リーダーらしき男の合図で、男達は一斉に武器を抜き構えた。
「武器を抜いたのはお前らだぜ。ここからは俺の正当防衛になるからな」
少年はそう言って、両手に手甲を着けた腕を構え、ファイティングポーズをとった。
よく見ると、彼の装備は両手両足に装備された手甲と脚甲のみの様だ。
男の1人が手に持った剣を振り被って、少年に襲い掛かったが、彼は最小限の動きで躱してそのまま剣を持っていた腕を掴み、その勢いで男を地面に打ち付けた。
「ぐはぁっ!」
男はそのまま意識を失った。
「この野郎! 全員で掛かれ!」
リーダーの言葉で残りの男達が一斉に襲い掛かったが、少年は獣人特有の高い身体能力と自身の格闘術で一瞬で男達を無力化させた。
その動きがあまりにも速すぎて、何が起こったのかはよく分からなかったが、男達には1ヵ所ずつ打撃を受けた箇所があった。
それがあの少年に攻撃された部分の様だ。
「何だ、もう終わりか。張り合いのない連中だったな」
少年は踵を返し、おばあさんの所に向かった。
「大丈夫ですか?」
少年はお婆さんに手を差し伸べ、おばあさんはその手を取って立ち上がった。
「ええ、ありがとう。ごめんね、迷惑をかけて」
少年の行いに、周りの人達から拍手が送られた。
それから間もなくして、男達は警備兵によって器物破損、老人への暴行、街中での武器抜刀などの罪により牢屋行きとなった。
また彼らは5人で武闘大会への参加もしていたらしいが、今回の犯罪行為によりその資格も剥奪されてしまった。
少年にも事情聴取が行われたが、彼の場合は被害者であるおばあさんや周りの目撃者達によってその行いが正当防衛と認められた事で、無罪放免となり寧ろ彼の行いを称賛された。
警備兵が去り騒ぎが落ち着いた頃、僕達に対する視線を感じた。
探してみると、その視線の主はさっきの少年だった。
少年は、僕らの所に近づいてきた。
「よう。お前ら、とんでもない従魔を連れている様だな。その2匹から漂う雰囲気、とてもその小さい体から発しているとは思えないな」
その言葉に、僕らは一瞬で距離を開き警戒の態勢をとった。
この少年はそんな曖昧なもので、アリアとクルスの正体に気付いたのか。
彼は慌てて、言葉を重ねた。
「いやいや、そんなに構えないでくれ。俺はお前達と同じさ」
「同じ?」
「ここじゃなんだ。場所を変えよう」
彼の提案で、僕らは人気のない広場に移動した。
「まずは自己紹介といこう。俺はクレイル・クロスフォード。狼人族で、Dランクの冒険者だ」
クレイルと名乗った少年は、確かに黒ずんだウルフカットの茶髪に狼の耳と尻尾をしていて、服は革の鎧すら身に着けていない動き易さを重点に置いた上下服に手甲と脚甲を装備した格好だった。
背は僕より頭半分ほど高かった。
体つきも僕とあまり変わらないみたいけど、さっきのチンピラ達を纏めてブッ飛ばしていた辺り、所謂細マッチョの様だ。
そしてこれが僕達の生涯の友、クレイルとの出会いとなった。
「僕はDランク冒険者パーティー、銀月の翼のリーダー、ユーマ・エリュシーレ。Dランクの冒険者だよ。この子は僕の従魔のアリア」
アリアは紹介されて、ペコリと頭を下げて挨拶した。
「あたしはラティ・アルグラース。銀月の翼のメンバーで、Dランクの冒険者。ユーマくんの婚約者よ。この子は従魔のクルス」
「クルルゥ」
「よろしくな。それで話を戻すが、その竜とグリフォン、おそらくその姿は仮の姿だろう? 大方、横暴な権力者とのトラブルを避ける為、その姿になる事で幼竜とグリフォンの子供として振舞っているって所なんだろ?」
クレイルの言葉は、まるで僕達の事をずっと見ていたかのような口振りだ。
「確かにその通りだよ。でも、どうしてそこまで分かったの?」
僕は隠そうとせずに思い切って尋ねてみた。
「言っただろ? 俺もお前達と同じだって。まあ、口より実際に見た方が早いかもな。俺の相棒を紹介するよ」
クレイルはそう言うと、自分の隣に黒い渦の様な物を発生させた。
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次回予告
クレイルが呼び出したのは、ユーマ達の予想を超える魔物だった。
そして、クレイルの力はそれだけではなかった。
次回、3人目の適合者




