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幕間 子供からの手紙

 俺はゲイル・エリュシーレ。

 Sランク冒険者パーティー、暁の大地のリーダーだ。


 息子のユーマ達が旅立って半月以上が経った。

 今の俺達ははっきり言って面白さがない。

 一応週に3回、狩りに出て金を稼いでいるから、生活面は問題ない。

 ただ、子供達がいなくなったからか、俺達の家はガラーンとした感じがして何かが物足りなくなってる。


 特にサラとエリーはかわいい子供達がいないことで、かなり寂しそうにしている。

 かくいう、俺やダンテもユーマ達が旅立ってから、いつものような元気も若干薄れている。


 そんな日々を送っていた時、ある日、ダンテが何やら嬉しそうな様子で家にやってきた。

 エリーも同じく嬉しそうだ。

 何か目出度い事でもあったのか?


「おい、ゲイル! 手紙が来たぞ!」


 ダンテの手には、2通の封筒が握られている。

 確かに、手紙の様だな。


「手紙って、誰からだ?」


「決まってるだろ。ユーマくんとラティからだ!」


「何!? 本当か!」


「ああ、これがユーマくんからの手紙だ」


 ダンテが差し出した封筒を受け取った。

 その封筒には、ユーマの字が俺達宛に書かれている。


「ユーマからの手紙ですって!?」


 そこにサラが来た。どうやら、俺達の会話を聞きつけたようだ。


「あなた、早く開いて読みましょう!」


「ああ、ちょっと待ってろ……」


 俺は封筒の端を切り開いて、中に入っていたユーマからの手紙を開いて読み始めた。


 文章には書いた人の性格が出るというが、ユーマの手紙はしっかりと丁寧にかつ綺麗に書かれた文字がピシッと並んでいる、ユーマらしい文章だった。


『拝啓、お父さん、お母さん、お元気ですか? 僕達は元気に冒険者の旅をしています。


 僕達は現在、ローレンスの街にいます。

 その街に着くまでの道中で、Cランクのジャイアントマンティスに遭遇しましたが、お父さん達からもらったマジックアイテムで難なく討伐して、その他にも討伐した魔物の報告をしたら、Eランクに昇格できました。

 その後停泊した宿で、夜明けの風という冒険者パーティの人達と仲良くなりました。


 ローレンスの街のギルドで依頼を受けようとしたら、そこから馬車で離れた所にある『魔の平原』の調査依頼があったんですが、夜明けの風のワッケンさんによると、その平原はかつてはローレンスの街に続く道として多くの商人や旅人が使っていたけど、半年前から突然その道を使った人達が消息不明になったそうです。

 領主も1度捜索隊を派遣したけど、結果は誰1人戻ってこなかった為、領主はそれ以降その魔の平原の問題をギルドにDランクの依頼として出したんです。

 ギルドからはあまりにもランクが低すぎて危険だと反対されたけど、領主は聞く耳を持たず強引に押し通して依頼を出したそうです。

 でも依頼が出た時には既に街中に『魔の平原』の噂が広まっていた為、誰も受ける人はいませんでした。

 結果、領主はそれを受けない冒険者が悪いと言い張り、半年間その『魔の平原』の問題を放置していたんです。


 僕達はその平原の調査を決めて、夜明けの風の人達と一緒にその『魔の平原』に行きました。

 そこで平原の調査をしていたら、原因がAランク魔物であり第一級危険生物のデビルスコーピオンだという事が分かりました。

 僕達は戦いましたが、アリア達の秘密の事もあり苦戦しました。

 それで最後の手段として、ワッケンさん達にアリアとクルスの正体を明かして戦い、デビルスコーピオンを討伐する事に成功しました。


 それによりワッケンさん達はアリア達の正体と事情を知ったけど、誰にもアリアとクルスの秘密を明かさないと固く約束してくれました。

 その後、ギルドで報告したら、僕達は『魔の平原』の問題を解決した功績とちょっと事情を伏せて瀕死状態だった事にしてデビルスコーピオンを討伐した実績でこの短期間でDランクに昇格できました。


 でも、その後また厄介事に巻き込まれました。

 領主が僕達の事を聞きつけて、僕達を無理矢理自分に仕えさせようとしました。

 しかも本当の目的はアリアとクルスを奪い取ろうとした為、僕は到頭キレてアルビラ国王から賜ったメダルを出して、領主をぼろくそに言い負かす事が出来ました。


 それから、その領主は自分のプライドを優先させて、アルビラ王国へ『魔の平原』の事を報告しなかった事が分かった為、その事も含めてしっかり領主に言い聞かせておきました。


 だから、この手紙を読んだら、国王陛下にこの事を話して使者を送ってくれませんか?

 お願いします。


 この後は、ヴォルスガ王国に向かおうと思っています。

 その際にはまた手紙を書きますので、楽しみにしていてください。


 追伸

 これからも街に行く度にこうして手紙を送ります。

 僕達は常に移動しているので、お父さん達からの手紙を受け取るのは難しいですが、出来る限り手紙は書くようにしますので、楽しみにしていてください。

 では今日はここまでで。また手紙を書きます。      

 ユーマ・エリュシーレ』


 そうか、ユーマは冒険者として頑張っている様だな。

 サラもユーマが元気だという事が分かってとても喜んでいる。


 後からラティちゃんの手紙も読んでみたが、こっちは可愛らしい字で書かれた文章で、ユーマと仲良くラブラブだという事がよく伝わった手紙だった。

 どうやらユーマと初めてを体験した様だな。


 それよりもその領主は許せないな。

 手紙を見ただけでも、あの大人しいユーマがキレたのも頷けるような人物の様だからな。


 その後俺達は城に向かい、ユーマの手紙を国王に渡し読ませた。

 結果、国王も領主の行いに酷く怒っていた。

 その領主が報告しなかったから、『魔の平原』の情報が来なかったからだ。

 国王も使者を派遣する事を約束してくれて、同時に領主を失脚させると宣言した。


 これでユーマからの報告と頼みを聞けたな。


 今後のあの子達の手紙を待つという、新しい楽しみが出来て、俺達はこれからも元気に過ごせそうだ。

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