第31話 旅立ち
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前回のあらすじ
旅の準備を終えたユーマ達は、旅立ちの前夜にゲイル達から新しい武器や防具のマジックアイテムを与えられる。
遂に旅立ちの時がやってきた。
僕達は冒険者としての服に身を包み、家の外で待つお父さん達の前に出て来た。
「2人共、とても似合ってるぞ」
「ええ、ユーマはとても格好よく、ラティちゃんはとても綺麗だわ」
「2人共、姿ならもう一人前の冒険者だな」
「素敵よ2人共」
彼らはそれぞれ僕達の格好を褒めてくれた。
ラティは、女性冒険者が着る女物の厚手の服に、ミニスカート、革の手袋、革のロングブーツ、そして白の魔竜のローブを着ている。
そして背中にはエンシェントロッドが差されている。
僕は黒が入った紺色を中心とした厚手の上下服、革の手袋、革のショートブーツ、そして黒の魔竜のローブを着た装備だ。
僕は装備は全て収納魔法に入れてある。
「昨日は室内だったから出せなかったが、実はもう一つの餞別があるんだ。冒険者においての、必需品とも言える物だ」
お父さん達が用意したのは、なんと馬車だった。
更に、その馬車を引いているのはバルバドス達ではなく、輓馬を彷彿させる漆黒の馬の形をした2体の巨大な何かだった。
「この馬車は俺達が昔使っていたものだ。引いているのはトライコーンという魔物の魔石を動力炉にした、馬型のゴーレムだ」
ゴーレムはマジックアイテムの一種で、魔石を動力炉にする事で、登録した魔力の主の命令を忠実のこなす物だ。
上級貴族の屋敷や王城の警備などに数体配備されていて、パワー、頑丈さ、疲れ知らずと三拍子が揃ったマジックアイテムだ。
因みに、ゴーレムは魔物でも存在するが、人工のゴーレムと魔物のゴーレムでは材質の種類で魔物のゴーレムの方が多いらしい。
何でも単に岩でできたゴーレムだけでなく、溶岩でできたゴーレムや、氷でできたゴーレムなど、様々な姿の魔物のゴーレムが存在する様だ。
「俺達はこのゴーレムに引いて貰っていたから、バルバドスやサーレスは安心して、馬車の周辺を警戒しながら旅をしていたんだ」
「このゴーレムに2人の魔力を流せば、あなた達を主人と認識できるわ。やってみて」
僕達はお母さんにそう促され、ゴーレム達に魔力を流し込んでみた。
すると、ゴーレム達は僕達に頭を下げてきた。
「成功したみたいね。後は、この子達の首から伸びている手綱に魔力を込めれば、目的地まで馬車を引いてくれるわ」
「ありがとう。本当に何から何まで用意してくれて。これ以上ない最高の旅立ちだよ」
「ありがとう、パパ、ママ、ユーマくんのパパとママ」
「いいのさ。2人とも、気を付けて旅をするんだぞ」
「ユーマ、体に気を付けてね。たまには、手紙を書いて送ってね」
「うん、お母さん」
お母さんは僕の頬にキスして、抱き締めてきた。
これから暫くは会えない為、その抱擁は長く続いた。
「ラティ、気を付けてね」
「ユーマくんと仲良くな」
ラティもダンテさんとエリーさんに抱きしめられ、交互に頬にキスされた。
「バルバドス、フラウロス、お父さん達をよろしくね」
「サレーレス、ヴィオーラ、また会いましょう」
お父さん達の従魔をそれぞれ抱きしめ、別れの挨拶をした。
「それじゃ、行ってきます」
「行ってきます」
『行って参ります』
「クルクルゥ」
「「「「行ってらっしゃい」」」」
「オン!!」
「クオン!!」
僕達は馬車に乗り込み、僕が御者台に座ってゴーレムに魔力を流して馬車を走らせた。
お父さん達が見えなくなるまで僕達は手を振り続けた。
やがて城壁の検問所につき、僕はギルドカードを見せる事で、無事にアルビラ王国の王都を出る事が出来た。
「さあ、これからが僕達の冒険の始まりだよ」
「最初は何処に行くの?」
「まずは、ヴォルスガ王国に行ってみよう。そこから色んな国々を見て回って、僕達の思うままに旅をしよう。そして僕達が幸せに暮らせる場所を探そう」
「そうね。じゃあ、行きましょう! あたし達の冒険へ!」
こうして、僕達銀月の翼の果てしない冒険が始まった。
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魔物情報
トライコーン
3本の角を持つAランクの幻獣種の魔物。角に雷の魔力が込められており、放電する事で角に纏わせ巨大な雷の角にして攻撃する。その馬力も強く、1頭で3台繋いだ馬車も引っ張れるという。討伐証明部位は中央の角。
次回予告
旅が始まったユーマ達は、その道程を楽しく進んで行く。
その時、魔物の襲撃を受けるが……。
次回、旅の道程




