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第299話 緊急で救助に参加

前回のあらすじ

ギルドへとやって来たユーマ達はそこで旧知の受付嬢リーゼの姉妹の1人のルーゼと出会う。

ルーゼからデスペラード帝国の依頼を尋ねるが、ユーマ達のクラスでの依頼は全てその国で活動している実力者の冒険者達が請け負っていた。

旅人の冒険者は主に帝都にあるダンジョンで活動している事を聞き、ユーマ達は久し振りにダンジョンに挑む事にする。

 ギルドでルーゼさんから情報を聞かされた後の午後、僕達はアリア達を連れてダンジョンの入口へとやって来た。

 今回の目的はダンジョンの内部の様子見と夕暮れまでで何処まで進めるかを確認。


 これだと僕の探知魔法で地形を把握して最短で進んでも、あまり下の階へはいけないかもしれないが、まあ僕達の金銭的にはあまり影響はないだろう。


 そう思いながらダンジョンの入り口を探していると、やけに人が多い気がした。


「妙ね。いくらダンジョンで人の出入りが激しくても、ここまで混雑するのはおかしいわ」


 コレットも同じことを思っていた様で、やや警戒気味になっていた。


「何か事件でも起こったのか?」


「それは十分にあり得るかな」


 人混みを掻き分けて進むと、そこには数人の騎士達が周囲の冒険者達に何か叫んでいた。


「お願いします! どなたか、救助隊に参加して頂けませんか?」


「一刻を争います! どうかお願いします!」


 詳しい内容は分からないが、騎士と冒険者で救助隊を編成してダンジョンに突入しようとしている様だ。


「ねえ、あの騎士達はどうしたの?」


 タイミングよくコレットも周囲の冒険者達に聞き込みをしていた。


「それが、騎士団の1人がダンジョンのトラップを作動させて、仲間達と隔絶されたそうだ」


「あの呼び掛けているのは二重遭難を避けて、一旦外に出てきた奴らだ」


「騎士団と連絡を取り、冒険者と協力して救助隊を編成しようとしているんだ」


「話は分かったわ。その騎士がいる階層はそんなに深い階なの?」


 アインの質問に、冒険者の1人が答えた。


「8枚の翅の妖精って事は、あんたらは銀月の翼か。そう聞く事は、このダンジョンは初めてだな。騎士がいるのは10階層で、難易度的には難しい訳じゃない」


「なら何で誰も行こうとしないんだ?」


「その階層には1ヵ所だけ、通常では考えられないレベルの魔物が住み着いているんだ。騎士団の調査によると、倒しても時間とともにまた発生するんだ」


 10階層って事は出てくる魔物のランクは精々EランクとDランクって所の筈だ。

 それとは考えられない強さの魔物という事は、ベテランの冒険者でもデスペラード国の騎士でも手を焼くって事だな。


「その魔物って?」


「Aランクの魔物、コカトリスだ」


 コカトリスって確か、蛇の尻尾や竜の翼を持つ巨大な鶏ベースの幻獣種の魔物だ。


『その吐息を浴びたり吸い込むとたちまち石化し、パーフェクトヒールでないと助からない厄介な能力を持っています。加えて、脚の爪には掠っただけでも数分で死に至らしめる猛毒があります』


 息だけでも厄介なのに、猛毒まで持つか。

 という事は、属性上は特殊属性の毒属性って事か。


「そんな危険な魔物がいるなら、どんなベテランも救助に名乗りを上げるのを躊躇うって事ね」


「それもあるが、肝心の遭難した騎士が問題なんだ」


「どういう事だ?」


「その騎士の名前を聞いた途端に、俺達も周りの冒険者も救助に行くのに気が引けているんだ。要は冒険者からも一般市民からもとんだ嫌われ者って事さ」


 嫌われ者って、またそのパターンかよ……。


「その名前はスライ・フォン・レーヴァイン。レーヴァイン侯爵家の三男で、ここ数ヶ月でその悪い評判で有名になった新米騎士だ」


 冒険者達の話を纏めるに、そのスライって貴族出身の騎士は数ヶ月前まではこれといった特徴も取柄もない全く素質の無い騎士だったらしい。

 侯爵という上位貴族に生まれたが、三男という立場故に家督は継げない、加えて魔法の才能にも恵まれずせめて少しでも実力をつける目的で、父親の命でデスペラード騎士団に入団。


 入団してから丸2年経っても碌に実力が育たない下っ端中の下っ端騎士だったが、数ヶ月前に突如剣と魔法の腕が上達し始めて1度は注目された。

 だが同時に以前とは別人の様な性格にも変わったという。


 曰く、突然変な事を言い出しては突拍子もない事をやりだす、

 曰く、自分は特別な存在だという様な態度をとる、

 曰く、自己中心的かつ周りを見下し常に勝手な行動をとるなどなど。


 そう言った行動を繰り返し、今では騎士団や冒険者、一般人からの評判が悪く現時点の騎士では最も信用の無い騎士らしい。


 故に冒険者達は助けようという意欲がまるで沸かないという訳だ。


「どうする、ユーマくん?」


「確かに話を聞く限り、助ける対象はあまりいい性格……最悪とはいえ、これはいい機会かもな。デスペラード騎士団に恩を売るいいチャンスだ」


『ユーマ、今あなたは何時にない悪そうな目をしていますよ』


 いつもなら、何も言わずに助けようというかもしれないが、僕にも損得勘定を考える事だってある。

 これまで僕達はデスペラード帝国関連で色々やって来たが、基本的にこの国に敵対する様な事はしていない。

 強いて言うなら帝国関連の人間に色々ちょっかいを出されて、それを振りかかる火の粉として振り払っただけだ。


 だから、ここで1つ帝国に貸しを作って少しでもこちらに利のある事をやっておこうと思う。

 それに騎士を救助すれば騎士団の総団長のジュリエールさんともまた1つ友好な関係を築けるかもしれない。


 その事を話すと、アリアとラティも納得した。


「良いわね。もう後ろ盾は得たけど、それとは別にこの国に貸しを作っておけば、この先何かに使えそうだし」


『ユーマにしては珍しく損得勘定を優先した動機ですが、過去に何度か迷惑を掛けられた身としてはこの国に借りを作るというのもいい事に繋がりそうです』


 2人も納得し、クレイル達にも同じ事を伝えたら、皆デスペラード帝国に借りを作る事に賛同してくれた。

 特にクレイルとコレットの場合は帝国最強の冒険者である八輝星に対する思いもあった様で、その彼らと親しい皇帝やジュリエールさんに大きな借りを作っておこうと張り切っている。


 何はともあれ、遭難したバカ騎士の救助を決意した僕達銀月の翼はすぐに騎士団に名乗りを上げた。


 素性を明かすと彼らは心から喜んでいた。

 僕達の本心を知る事もなくね。


「ありがとうございます! まさかかの銀月の翼の皆様が着ていらしたなんて、神に心から感謝します!」


「お礼は後です。今は一刻も早く遭難した騎士を助けないと」


『私達が来た以上、もう募る必要はないと思います』


「そうですね。目的地の階層へは私達がワープして案内します。来てください」


 救助隊は冒険者から僕達、騎士団からはこの2人の計6人と銀月の翼の従魔組で行く事になった。

 騎士団の従魔は相手がコカトリスの可能性がある以上、危険が高い為に入口で待たせる事にした方がいいというアインの指示に従わせた。

ここまでお読みくださってありがとうございます。

「面白い」、「更新頑張れ」と思った方は、是非評価をしてみてください。

今後の執筆の励みにもなりますので、よろしくお願いします。


次回予告

騎士の協力で10階層にやって来たユーマ達は、遭難した騎士スライの捜索を開始する。

ユーマは探知魔法で迷宮の地形を把握し、最短で救助を達成するべく、ユーマとクレイルはある強引な進み方を決行する。


次回、強引な進み方

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― 新着の感想 ―
[良い点] ユーマの奴、相変わらずの巻き込まれ体質だけどこういう皮算用も出来たのね。 [気になる点] まだ話途中だけどその騎士、単に実力が上がって増長したって訳じゃないのかな [一言] 最悪エタも覚悟…
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