幕間 女神イリアステルへの報告
ラティが婚約者になって数日経ち、僕は今ラティ、アリア、クルスと一緒に教会に来ている。
目的は、イリアステル様にラティとの婚約の報告のお祈りをする事と冒険者になってもうすぐこの国を旅立つ事を報告する為だ。
イリアステル様は僕の事を神の間から見守っていると言っていたから、僕のプロポーズの時も見ていたと思うがやっぱり自分の口からしっかり報告したい。
シスターの案内で女神像の前にやってきた。
「ユーマくん、イリアステル様によろしく言ってね」
実は、皆に正体を明かした時に、僕とアリアはイリアステル様に会って話をしている事も話している。
ラティも本当は自分も婚約者として、イリアステル様に挨拶したいと言ったが彼女は神の間に来ることが出来ない為、僕がラティの分まで挨拶する事になった。
いつも通りお祈りの姿勢をとると、あの意識が遠のく感じがして目を開くと、そこにはアリアとイリアステル様がいた。
「ようこそ、ユーマさん」
イリアステル様は満面の笑みで迎えてくれた。
「お久し振りです、イリアステル様」
『お久し振りです』
「ユーマさんは、本日来た用はやはりラティさんとの事ですか?」
案の定、イリアステル様にはお見通しだった。
「そうです。僕はこの度、幼馴染のラティと婚約しました。イリアステル様には直接報告したくて、今日こうして足を運びました」
「わざわざこちらまで来てまで報告とは、本当にあなたは律儀な人ですね。でも私もとても喜ばしいです。ユーマさん、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます」
イリアステル様のお祝いの言葉を受け取り、僕は嬉しかった。
「処で、イリアステル様。1つ質問があるんですが、宜しいですか?」
「はい、何でしょうか?」
僕は前から思っていた事を聞いてみた。
「なぜ、この世界では結婚を申し込む際に送るのが指輪ではなく、ペンダントなんですか?」
そう、地球では結婚を申し込むときに相手に送るのが指輪だが、このアスタリスクではペンダントだ。
なぜペンダントなのか、それを知りたくて聞いてみたのだ。
「フム、その事ですか。それはですね……」
「それは……」
『それは……』
アリアもその場のノリで繰り返していたが、今は突っ込むまい。
「それはですね……この世界はユーマさんの元居た地球とは違い、死がより身近な世界です。結婚を申し込んでも事故か魔物とかで指や手自体を欠損してしまっては指輪を嵌められないでしょう。その反面、ペンダントなら首を欠損するなんてことはないですから、安心できるというものなんです」
「……そ……そうなんですか……」
イリアステル様が教えてくれた内容は、あまりにも重い由来だった。
それからは無事に冒険者になった事や、もうすぐこのアルビラ王国を発つ事、イリアステル様の助言を守って生きている事など、様々な報告をして、神の間にいられる限界時間が訪れた。
「そろそろ時間ですね。今日はありがとうございました」
「こちらこそ、色々と話を聞いてくれてありがとうございました。これからの旅で教会に行く機会がありましたら足を運びます。その時はまたお話をしましょう」
「分かりました。私はいつでもあなた達を見守っています。あなた達の未来に祝福がありますことを願います」
そして、僕とアリアは元の世界に戻り、女神像への祈りを済ませたラティ達に会えた。
「ユーマくん、イリアステル様に報告できた?」
「うん。無事に報告できたよ。婚約のお祝いの言葉を貰ったし、これからの旅に祝福がありますようにって言われたよ」
ラティは僕の言葉を聞いて嬉しそうだった。
その後は教会を後にし、再び旅への準備を行った。
イリアステル様は言わばユーマのアリアに並ぶ理解者の立場なので、彼女への報告は必要だろうと思いました。
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