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第26話 初めてのギルド

前回のあらすじ

アスタリスクの転生して、初めて料理をしたユーマ。

転生しても料理の腕は健在で、家族たちに喜んでもらえる。

そして、食後にデザートを出した事で、アリアが超絶な甘党だという事が分かる。

 初めての実戦から2日経ち、今僕とラティはお父さんとダンテさんと一緒に冒険者ギルドに向かってる。

 一昨日の戦闘による魔物の討伐の報告と、魔石と素材の換金をする為だ。

 ギルドでは魔物の素材の買取もしているらしく、今回狩った魔物達の素材を売ってしまおうとお父さんが提案したのだ。


 尚、オークや角兎の肉はそのまま家に持って帰って保管されている。

 魔物の肉は、人々の食料として利用されていて、ランクが高いほどその肉は美味しくなる。

 オークはDランクだが、その肉はBランク並みの旨味があり、オークの肉は味、値段共に一般人にも需要が高い。


 暫く王都を歩いていると、一際大きな建物の前に着いた。


「着いたぞ。ここが冒険者ギルドだ」


 お父さん達に続いて中に入ると、中は多くの冒険者達で賑わっていた。

 ギルドの中は入って右側に大きな掲示板がいくつかあって、それに紙が何枚も張られていて、冒険者達がその紙を見ては剥がして中央の奥にあるカウンターへ持って行ってる。

 左側には大きめのテーブルがいくつもあり、冒険者達はそこで料理を食べたり、お酒を飲んでいる。


 お父さん達について行ってカウンターに行くと、受付嬢のお姉さんが営業スマイルで迎えた。


「こんにちは。今日もギルドをご利用くださり、ありがとうございます」


「冒険者パーティー、暁の大地のゲイルとダンテです。今日は、魔物の討伐の報告と、魔石と素材の換金に来ました」


「これは、暁の大地の方でしたか。では、討伐した魔物を出してくれますか?」


 今の会話を聞いた周りの冒険者達がざわつき始めた。


「おい、暁の大地だってよ」


「じゃあ、あの2人のガキはゲイルとダンテの子供かよ」


「という事は、国王が後ろ盾になってるっていうガキじゃねえか」


 そんな会話がちらほらと聞こえてきた。


「それなんですが、ちょっと討伐した数が多いので、ギルドの解体部屋で行えませんか?」


 お父さん達はそんな会話をよそに、淡々と話しを進めていた。


「畏まりました。係の者を呼びますので、少々お待ちください」


 そういって受付嬢のお姉さんは、奥の方へと姿を消した。

 少しして、男性の職員を連れてお姉さんが戻ってきた。

 その職員は耳が尖っていた美形のお兄さんだった。

 エルフの様だ。


「お待たせいたしました。鑑定を担当します、エルフのロランと言います。では、こちらにどうぞ」


 ロランと名乗ったエルフの男性に連れられて、僕達は一つの部屋に入った。


「それでは、魔物の証明部位と、魔石と素材をお願いします」


「はい。さっ、2人とも、出しなさい」


 その指示に従って、僕とラティは異空間収納から昨日倒した魔物の証明部位と魔石、素材を出した。


「こっ……これはっ……とんでもない数ですね……子供達が出したという事は、もしやそちらの子供達がこの数の魔物を倒したんですか?」


 ロランさんは引き攣った笑顔で、尋ねてきた。


「そうです。俺達は今、ウチの子供達に冒険者になる為の修業を付けてまして、昨日初の実戦に駆り出したんです。それまでは俺達が稽古を付けたからかかなりの強さを身につけて、結果、この討伐記録を生んだんです」


「成程、見た所、グリーンウルフやオーク、ソルジャーアントもいますが、これらは全て子供達だけでやったんですか?」


「ええ。ですが途中からは2人の従魔も参加してやりました」


「分かりました。では、鑑定に入ります」


 ロランさんはそう言って、魔物の証明部位と魔石、素材を見て鑑定を始めた。

 20分程して、鑑定が終わったと知らせた。


「お待たせしました。では鑑定の結果を言います。まず、スライムが1匹銅貨2枚でそれが20匹ですので、大銅貨4枚、ゴブリンが銅貨5枚で50匹で銀貨2枚と大銅貨5枚、角兎が銅貨3枚で20匹で大銅貨6枚、グリーンウルフが銀貨3枚で20匹で大銀貨6枚、オークが銀貨5枚で5匹で大銀貨2枚と銀貨5枚、ソルジャーアントが銀貨2枚で30匹で大銀貨6枚、合わせまして、金貨1枚、大銀貨4枚、銀貨8枚、大銅貨5枚になります。それに魔石も入れまして、ゴブリンが銀貨2枚と大銅貨5枚、角兎が大銅貨6枚、グリーンウルフが大銀貨6枚、オークが大銀貨2枚と銀貨5枚、ソルジャーアントが大銀貨6枚、合わせまして、金貨1枚、大銀貨4枚、銀貨8枚、大銅貨1枚で、魔物の報酬と合わせて、合計金貨2枚、大銀貨9枚、銀貨6枚、大銅貨1枚になりました。それに各魔物の素材込みで、追加で金貨3枚、大銀貨8枚、銀貨4枚、大銅貨7枚ですので、全て合わせまして金貨6枚、大銀貨8枚、大銅貨8枚となります」


 鑑定の結果は凄かった。

 全額を日本円に換算すると、680万8000円となった。

 これははっきり言って、昨日やりすぎたな。

 だって、前世でも月の給料でここまで稼げなかったから。

 冒険者って、成功すればかなり稼げるようだ。


 ロランさんは硬貨の入った袋をお父さんに渡した。


「本日はありがとうございました。また魔物を討伐した時はお願いします」


 僕達は目的を果たしたので、ギルドを後にした。

 少し歩いて路地裏に入ると、お父さんが、さっきの袋を僕に差し出してきた。


「ユーマ、このお金はお前達が倒した魔物のだ。だから、お前達が持つべきだ」


「でも、僕達はまだ子供だよ。こんな大金を持たせていい訳ないと思うよ」


「大丈夫だ。お前は前世では大人で、自立していたんだろう?なら、お金のやりくりは出来る筈だ。それに、お前達はいずれこの国を旅立つ。このお金は、その時の資金にすればいい。今の内から、資金を稼いでおけば、後で必ず役に立つ」


 お父さんは僕の前世の事を視野に入れて、この結論を出したようだ。

 そう言われたら、僕に断る選択肢はない。


「分かったよ、お父さん。このお金は、僕達の今後の資金に活用するよ」


「それで、いいんだ」


 僕は満足そうに頷いたお父さんから袋を受け取った。

 中身が金や銀でできた硬貨の所為で重かったが、すぐに異空間収納に入れたから、その重さから解放された。

 でも、今のが昨日僕達が狩った魔物達の命の重みだったんだ。

 その重みを僕はしっかりと心に刻んだ。


 こうして、僕達の初の実戦の全過程が終わり、それからは定期的に魔物との実戦を行い、ラティ達との連携やアリア達の強さを確認する日々が過ぎた。


 そして5年の時が流れ、僕達はついに冒険者登録が出来る15歳になった。

これで第2章は終わりです。

次回から第3章、「旅立ち」になります。


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お待ちしております。


次回予告

冒険者の修業を終えて15歳になったユーマとラティ。

2人はギルドで冒険者登録を済ませ、同時にパーティー登録も行う。


次回、銀月の翼

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