表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/321

第20話 最終試験

前回のあらすじ

女神イリアステルによって、神の間へと魂を連れて来られたユーマ。

その際、アリアも自ら魂を切り離して追いかけてくる。

イリアステルと親しくなったユーマとアリアは、今後教会に来る度に神の間へ招待されようになる。

 冒険者になる為の修業が始まって、5年の時が流れた。

 10歳になった僕は今、幼馴染のラティと一緒に、訓練用の武器を構えてお父さんとダンテさんの2人と向き合っている。

 因みに、一気に5年の時が経ったけど、基本的に模擬戦→座学→模擬戦→座学→模擬戦→座学→休日の繰り返しだったから仕方ないかと思う。


 今日は戦闘訓練の最終日だ。

 この模擬戦は最終テストでもあり、お父さんとダンテさんを同時に相手をして合格を貰えれば、次からは魔物との実践が出来る様になる。


 僕とラティは既に、お母さんとエリーさんから魔法については免許皆伝となっている。

 この5年間、毎日朝夜と欠かさず自主的に魔力制御を行った事で、僕達の魔力量は既にお母さん達のをはるかに凌駕している。お母さんによると、僕達はまだ成長中だから、魔力量は今後も増えると言われた。


 この5年間の修業で、僕達は全ての属性の魔法を使いこなせる様になった上に、念願の収納魔法も使える様になった。

 この時の僕はあまりの嬉しさに、泣いてしまった。


 また、この5年の修業で、僕は雷属性、ラティは全ての属性に特化した魔法を使うようになった。


 そして今、僕は訓練用の大剣を、ラティは短剣の二刀流で模擬戦に挑もうとしている。


「それじゃあ、ルールを説明するぞ。ルールは、俺とダンテ、ユーマとラティちゃんの2対2のタッグ戦だ。魔法は有り、ただし命を奪う様な魔法はなしだ。今回は俺達がそこまでと言ったら終了だ。準備はいいかい?」


「いつでもいいよ」


「あたしも大丈夫です」


「それでは、始め!!」


 お父さんはその掛け声と同時に僕に向かって突進してきた。

 両手に持った大剣を振りかぶって、その攻撃の射程範囲に僕を捉えた。

 だが僕は動じず、冷静に構えた。


「ラティ!」


「任せて!」


 僕の呼び声一つで、ラティは短剣に魔力を込めた。

 この頃には、自然と彼女を呼び捨てで呼ぶ様になった。


 お父さんが大剣を振り下ろしたのと同時に、僕は最小限の動きで大剣を完全に見切った。

 振り下ろされた大剣は土煙を巻き上げて、地面に深く刺さってしまった。


 その隙を逃さず、僕は大剣を構えてお父さんをスルーしてダンテさんに突撃し、ラティは右に炎を、左に氷の魔力を纏った短剣で、お父さんに攻撃を仕掛けた。

 お父さんは僕が攻撃してくると思ったのか、僕ではなくラティが向かって来た事に驚いていた。


「行くわよ! ブルークリムゾン!!」


 ブルークリムゾン、左右の武器に炎と氷の魔力を纏わせて、同時に攻撃する僕とラティが編み出した複合魔法だ。


 魔法には、複数の属性を同時に操って魔法を放つ複合魔法というのがある。

 僕とラティはこの5年間で、僕の前世の知識を元にいくつもの複合魔法を編み出していて、お母さん達を驚愕させた。

 複数の複合魔法を簡単に操れるのは、一流の魔法師でも数える程しかいないかららしい。


 僕ではなくラティが攻撃を仕掛けたのは、流石のお父さんも意表を突かれラティは見事、お父さんの胸に赤と水色のバッテンマークを刻んだ。


「ぐぅぅぅぅっ!!」


 武器が訓練用だった為出血はせず、お父さんの胸には軽度の火傷と凍傷が出来た。

 身体強化で体の強度を強化した様で、軽度で済んだんだ。


 僕はダンテさんに薙ぎ払いで切り掛かったが、ダンテさんはその大槍の柄で受け流した。


「まだですよ!」


 僕は降り抜かれた大剣から右手を離し、脇下に収納魔法を発生させそこから槍を取り出し、そのまま振り抜いた。

 ダンテさんはその攻撃に対処できず、振り抜いた槍の柄がダンテさんの右肩に直撃した。


「ぐぁぁぁぁぁ!!」


 続けて僕は彼の胸元に蹴りを入れ、そのまま後ろへとジャンプして距離をとった。

 同時にラティもお父さんから距離をとり、僕達は互いに背中をくっつけ、互いの死角を埋めた。


「みっ……見事だ2人とも。まさかさっきの掛け声だけでこれ程の連携が出せるなんて」


 僕達はこの5年間で何万回とお父さん達と模擬戦をしてきた。

 その中で僕達は何億回もの連携の試行錯誤を重ねた結果、いつしか僕達は名前を呼んだだけで、更にはアイコンタクトだけで互いの思考をシンクロさせた、阿吽の呼吸で連携が取れるようになったんだ。


「ゲイルがユーマくんに攻撃を仕掛けたが、それを身体強化で目を強化して紙一重で躱しそのまま俺に突撃してゲイルの動揺を誘い、その隙にラティが攻撃を仕掛けて、ユーマくんは異空間収納を活かして武器を使い分けて俺に一撃どころか、追撃と後退の両方を兼ね合わせた一撃を加えて、距離をとってラティと背中合わせで死角をなくす。完璧なコンビネーションだ」


 お父さんとダンテさんは僕達の連携に、高評価を与えた。


「ありがとうございます」


「だが、まだ模擬戦は終わっていない。勝負はこれからだ!」


「望む所です!」


 そこからは、模擬戦はほぼ互角の試合運びとなった。


 僕はこれまでの模擬戦でよく武器を変えながら挑んでいた事で、あらゆる武器の扱いに長けた上に、魔法もこなせるオールラウンダーに成長した。

 今では収納魔法に様々な武器が収納されている為、今手にしている武器を収納してはすぐに別の武器に入れ替えている。

 お父さん達はその攻撃パターンの変化に瞬時に対応するも、そこに僕の魔法による攻撃が加わる事で、少しずつだがダメージを与えている。


 ラティは武器での戦闘は短剣の二刀流に固定されているが、そこに魔法による攻撃や、魔法を乗せた短剣による攻撃で攻撃パターンを切り替えるから、やはりお父さん達はその変化に対応しながらも時折驚いた表情になる。


 そうして暫く経ち、僕とお父さんの剣、ラティの短剣とダンテさんの槍が激突したが、その瞬間両方とも折れてしまった。


「そこまでだ。2人とも本当に強くなったな。これなら魔物が相手でも大丈夫だろう。おめでとう、ユーマ、ラティちゃん。最終テストは合格だ」


 お父さんは折れた剣を地面に置きながら、僕達の合格を告げてくれた。


「ありがとう、お父さん。そしてありがとうございました」


「ありがとうございました」


「2人ともよく頑張ったね。魔物の実戦は、3日後にしよう。それまではゆっくり休んでいなさい」


「「はい」」


 こうして僕達は戦闘と魔法、それぞれの先生から免許皆伝をもらい、いよいよ魔物との実戦に挑めるようになった。

「面白かった」、「続きが気になる」、「更新頑張ってください」と思った方は、ブックマークや評価、感想していただけると励みになります。

評価はどれくらい面白かったか分かりますし、1人1人の10ポイントの評価は大きいので、まだ未評価の方は是非お願いします。

ポイント評価は最新話の広告の下に評価欄があり、そこから評価できます。

感想は、確認し次第返信する方針で行きますので、良かった所、気になった所とかがありましたら、是非感想を送ってみてください。

お待ちしております。


次回予告

魔物との実戦訓練を前にして、ユーマはある悩みを抱く。

そしてその悩みを打ち明けるべく、彼はある場所を訪れる。


次回、再び神の間へと


次回は15時に幕間を更新します。

本編の更新は18時です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ