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第19話 女神イリアステル

※総合ptが100を超えました。これからもよろしくお願いします。


前回のあらすじ

サラに教会へと連れてきてもらったユーマ。

そこで彼はアスタリスクの神、イリアステルの女神像にお祈りを捧げると、気が付いたら真っ白な空間にいた。

しかもそこはかつて地球で命を落とした際、地球の神に会った場所にそっくりだった。

 声のした方を振り向くと、そこには肩の部分が露出した真っ白な服に身を包んだ、真っ白な髪を腰まで伸ばした綺麗な女の人がいた。


 綺麗な人だと思うと、この人の顔に見覚えがあった。

 それもその筈。

 だって、あの女神像と同じ顔なのだから。


 待てよ、この真っ白な空間、真っ白な服を着て、女神像と同じ顔の女性。

 これらのキーワードからの情報を纏めて、考えられる可能性はただ1つ。

 つまり……


「……あなたは、イリアステル様で間違いないでしょうか?」


 そう尋ねたら、女の人は拍手しながら満面の笑みを浮かべた。


「その通りです。彼の言った通り、あなたは本当に純真な信仰心をお持ちの様ですね。まさか、この短時間でそこまで気づいて確信を持つなんて。いかにも、私がアスタリスクの神、イリアステルです。初めまして、()()()()さん」


 今この人、僕の前世の名前を!?


「僕の事を知ってるんですか!? それに、僕はどうしてこの空間にいるんですか!? まさか、僕はまた死んだんですか!?」


「ちょっと待って、ちょっと待って! そんないっぺんに質問されたら、流石の神様の私でも困りますので、順番に答えますから落ち着いてください。まず、あなたの事は地球の神から聞いているんです」


 イリアステル様の言葉に、僕は地球の神様の事を思い出した。


「あの神様からですか?」


「はい。今から5年ほど前、この神の間で下界、つまりアスタリスクの様子を見ていた時、突然地球の神から連絡が入ったんです。私たち神はそれぞれの世界を担当して、この神の間から下界の様子を見ながら神託を告げたり、罪を犯した者に裁きを下したり救ったりしているんです。私たち神は基本的に、それぞれの世界とのコンタクトはとらない様にしてるんですが、5年ほど前に地球の神からあなたの事についての連絡が入ったんです」


『その連絡とはどんな内容ですか?』


 今度は頭上から声がして目線を上にやると……


「わっ! ア、アリア、いたの!?」


 そこにはなんとミニサイズのアリアがいた。


 ミニサイズのアリアがあまりにも軽かったので、気付かなかった。

 アリアは「ようやく気付いたの?」と言わんばかりに僕の頭から降りて、目の前で右脚の指を1本向けてきた。


『『いたの!?』とは失礼ですね。あなたの意識が切り離されるのを見て、慌てて私も魂を切り離して追いかけて来たんですよ。私はあなたの従魔なのだから、いつでもあなたのお傍にいるのが、私の役目です』


 魂を自ら切り離すなんて……そんな事も出来るのか。

 アリアの規格外な力をまた1つ見てしまった……。


 だがアリアに説教された僕は、申し訳なく思った。


「そうだったんだ。ごめん、アリア」


『まあ、こんな事態だったんです。気にしないでください』


「ありがとう。それでイリアステル様、その地球の神様からの連絡って、もしかして僕の転生についてですか?」


「本当にあなたは、神の話には頭の回転が速いんですね。そうです。地球の神が、あなたを間違って死なせてしまい輪廻の輪に乗せることが出来ないからと、転生させる際に私に連絡を入れたんです。話を聞いたときはその神に呆れてしまいましたが、あなたの話を聞いて興味が湧いたんです。神のミスを笑顔で許し、この世界への転生を受け入れたあなたがどんな人なのかを。それからは、私はここからあなたを赤ちゃんの頃から見守っていました」


 それって僕が見た目は赤ちゃん、中身が大人の状態で、お母さんのおっぱいを飲んでいたり、おむつを換えられている光景まで見られていたって事!?

 あぁぁぁぁっ!!!

 恥ずかしくて顔の穴という穴から火が噴き出しそうだ!!


 余りの羞恥に、僕は膝から崩れ落ちてしまった。


「あっ……あのぉ……大丈夫ですか……?」


 暫くこの状態が続いたが、何とか立ち直れた。


「……はい。大丈夫です……話の続きをお願いします……」


「分かりました……ええっと、それからの私はあなたの成長を見て、いつかあの人は教会へ訪れるかもしれないと考えた私は、この日を待っていました。そして今日、あなたが教会へやってきてチャンスが来たと思った私は、あなたの魂を体から切り離し、この神の間へと連れて来たんです。これがさっきの2つ目の質問の回答です。まあ、予想外のお客さんもいましたけど」


 その予想外のお客さんがアリアの事か。


「じゃあ、僕は死んではいないんですね? 後で、戻れるんですよね?」


「勿論です。用が済みましたら、そちらの竜神と一緒に現世に戻してあげます。それから、戻っても現世ではほんの数秒間の時間しか流れてませんから、後で何か聞かれても、集中してお祈りしてたと言えば大丈夫ですよ」


 今のが3つ目の質問の返事なんだろう。

 僕は心から安堵した。


「それを聞いて安心しました。じゃあ、イリアステル様はただ僕とお話がしたかっただけなんですね?」


「そうです。今こうしてあなたと話してると、私に泣きながら連絡入れた地球の神の気持ちが理解できました。あなたは神の事を全て信じる深い信仰と、神の間違いですら許す心の広さ、そんなあなただからこそあの神は私に態々連絡を入れたんですね。今日、あなたとお話が出来て良かったです」


「僕もです。今日は態々ありがとうございました」


 僕達は互いに感謝して、素晴らしい一時を過ごした。


『イリアステル様。私からも1つ質問してよろしいでしょうか?』


「ん? 何でしょうか、アリアさん」


『私がユーマと適合して従魔になれたのも、イリアステル様が絡んでいたのですか?』


「いいえ、私はあくまで見守っていただけです。ユーマさんとアリアさんが出会ったのは、全てこの世界の運命だったんです。ユーマさんの従魔に関しては、私は何も手を下していませんので、安心してください」


『そうですか、分かりました』


アリアの疑問も解決した様で、これで後は戻るだけだな。


「ユーマさん、そろそろあなた達を現世に戻しますね。本来この神の間は、私達神のみが存在できる場所で、現世の魂をいつまでもここに留めることは出来ないんです。そして今、その限界が来ようとしています。ですから、すぐに準備にかかります」


「分かりました。今日はありがとうございました」


「いえ。あっ、そうだ。ユーマさん、あなたにはこれからいくつものの困難が降りかかると思いますが、挫けたりせずにアリアさんや、周りの仲間の方達と共に乗り越えてください。応援してます。それから、今後教会に来て祈りをする際には、またこの様にここに呼んだりしますので、またお会いしましょう」


「はい! ありがとうございました」


 その最後の会話を皮切りに、僕の周りは真っ白な光に包まれた。


 次に目を覚ましたら、そこはイリアステル様の女神像の前だった。

 どうやら無事に、元に戻れたようだ。

 アリアも無事に戻って来てる。


「2人とも、お祈りは終わった?」


 お母さんが呼んできた。

 イリアステル様の言った通り、お祈りをしてから数秒しか経っていない様だ。


「うん。イリアステル様にちゃんと挨拶できたよ」


 本当は神の間で、実際に話しちゃってたけどね。


 アリアはまた笑いを堪えて、プルプルと震えている。


「ユーマくんママ、あたしもお祈り終わったよ」


 ちょうどラティも終わったみたいだ。


 それから教会を出た僕達は、少し王都を散歩しながらゆっくりと家に帰った。


 こうして、冒険者修行の最初の1週間は色んな事がありながらも、無事に終了した。

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お待ちしております。


アリアの凄すぎる所

その3、自身の魂を体から切り離して、神の間に行く事が出来る。

因みに、今回はイリアステル様によって体に戻れたが、本当は自力で魂を戻す事も出来たりします。


次回予告

5年の月日が流れ、10歳になったユーマとラティ。

2人はゲイルとダンテを相手に、最後の模擬戦を行う。


次回、最終試験


次回は12時に更新します。

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