表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

187/321

第170話 オベリスク王国騎士団の強化

ヒュドラの再生能力と自分達の手数に困るユーマ達だったが、コレットの加勢により形勢が逆転し、無事にヒュドラを討伐する。

そしてこの戦闘で自分達の互いの存在がいかに重要かを、改めて痛感した。

 魔流草採取の指名依頼は、無事に達成する事が出来た。

 コレットが在庫切れだったのを思い出した事で、取れる限りの薬草を採取したので当分薬の生産に困る事は無いそうだ。


 またマグルスさんもヒュドラがいなくなった事に安心し、これからは今まで通りに冒険者などに依頼して仕入れられる事を喜んでいた。


 僕達もその魔力栓症に罹った人のその後を知りたくて、暫く滞在する事を利用してその様子を確かめた結果、数日でその伯爵の妻は無事に回復に向かっている事が分かった。


 それに安心した僕達はその後も魔物の討伐依頼を中心に王都で活動していたが、ある日僕達銀月の翼にまた指名依頼がやって来た。


 その依頼人は、グレイドニル国王だった。


――――――――――――――――――――


「行きますぞ、『闘王』殿!」


 1人の巨人族の騎士がクレイルに巨大な剣を振りかざして迫って来た。


「おらよっと!」


 だがその一撃をクレイルは右手のメルクリウスで受け流し、続いて左手で騎士の腕を掴み、捻って投げ飛ばした。


「次は俺です!」


 別の巨人族の騎士が、今度は巨大なタワーシールドを突き出して突進してきた。

 どうやらあれでシールドバッシュしてくる様だ。


「俺に力で勝負か! 面白れぇ、受けて立つぜ!」


 クレイルもフォースを使っていないとはいえ、メルクリウスに流した魔力とその下に装備されている剛力の手袋で筋力を増したパンチを繰り出し、呆気なく盾騎士は吹き飛んだ。


「凄い! 今吹き飛ばされたロッシュは、この中でも随一の盾使いなのに、それを呆気なく!」


「あれが銀月の翼の『闘王』の実力か!」


 巨人騎士達はクレイルの圧倒的な強さに驚愕しているが、同時に尊敬の眼差しを向けていた。


 そして僕も――


「『雷帝』殿、こちらも行きますぞ!」


 クレイルとは別で巨人騎士達を相手にしていた。


 僕の場合は1対多数の変則試合方式になっていて、剣やバトルアックス、ハンマーなどを持った騎士達が一斉に僕に挑んできた。

 僕の現在の装備は、右手に鞘に納めたアメノハバキリと左手にジルドラスを持っている。


 まずはハンマーとバトルアックスを持った巨人騎士達が同時に仕掛けて来たが、僕はジルドラスを地面に差し、その能力で柄を伸ばして上へと回避した。


「「何!?」」


 次にジルドラスを手放し、落下しながら鞘に納めたアメノハバキリでハンマーの騎士の顔面にその一撃を叩きこんだ。


 そのままその騎士の身体を踏み台にしてバトルアックスの騎士へと向かい、まずは右腕に打撃を与え、続いて空中回し蹴りを決めた。


「1人2人ではなく、全方位から一斉に攻撃だ!」


 僕の周囲の巨人騎士達が取り囲み、一斉に武器を振り下ろして攻撃してきた。


「確かに今の僕はジルドラスを持っていないから、さっきみたいに上に回避する事が出来ない。目の付け所は良いですけど……」


 僕は両脚に魔力を流して、脚の力を強化した。


「縮雷!」


 脚だけを複合強化しての高速移動で、難なく躱した。


 騎士達は僕とクレイルの圧倒的な強さに手も足も出ず、1回も攻撃を当てる事なく敗れた。


――――――――――――――――――――


「いいですか? 皆さんは種族としての力を活かした戦い方をしていて、それが今でも十分に活かせています」


「でも、皆は全身に魔力を注いで強化しているけど、その強化にムラがあるの。それを削って、さっきのユーマとクレイルの様に腕や脚だけと、部分的に強化すれば、より自分達の力を活かせるようになるわ」


『はい!!』


 ラティとコレットの説明に、巨人騎士達は隊長も含めた全員が揃って返事した。


 そして2人の指導の下、騎士達は僕達が先日から出来る様になった部分強化の訓練を始めた。


「流石は銀月の翼だな。我が精鋭の巨人騎士達が従順になって訓練に励んでいる。やはり彼らの強化をお主達に依頼して正解だったわ」


 僕とクレイルは端でそれを見守っていたが、そこにはグレイドニル国王も一緒だった。


 実はさっき僕とクレイルが彼らと戦っていたのは、この国王からの指名依頼によるものだった。


 その依頼内容は、騎士団の強化だ。


 先日の僕と国王との模擬戦の事やその結果が騎士団にも伝わって、僕や皆と手合わせをしたいと申し出る騎士が多く出たらしい。


 それならいっその事僕達に鍛えて貰うのはどうかと国王が言ってみたところ、満場一致で僕達に訓練を着けて貰いたいという事になった。


 そしてその発端でもある国王が僕達に指名依頼を出す事で、僕達はそれを受けこうして騎士団を強化している。


 その訓練の流れは、まず僕とクレイルが直接戦闘で彼らの戦い方を見て、その後それを端で見ていたラティとコレットが魔力の使い方などを指南して彼らの戦闘力の強化を図る。

 そうして僕とクレイルが再び相手をして、その後またラティとコレットが指南をする。


 従魔達に関してはアリア達が別で鍛えている為、これからのオベリスク王国は更に強くなる事だろう。


「『雷帝』殿と『闘王』殿が直接戦闘訓練を行い、『賢者』殿と『聖弓』殿が無属性の使い方がより上手く出来る様に指南する。お主達は各々の役割分担もよく出来ている。本当に素晴らしいパーティーだな」


 グレイドニル国王は、僕達のチームワークの良さを称賛した。


「俺達は家族の絆で結ばれていますからね。仲の良さならどのパーティーにも負けませんよ」


「僕達は先日のヒュドラとの戦いでも、お互いの存在の必要さを改めて痛感しましたからね。僕達のこの絆こそが、銀月の翼の最大の長所なんだと、胸を張って言えますよ」


「ウム。互いの欠点を認め合い、それを補い合う事で個人の力をより強くする。それが出来て、初めて仲間として支え合う事が出来る。それを騎士達にも伝えるのが、お主達の目的か」


「そうですね。結局、人間は1人では無力に近いかもしれません。でも、1人よりも2人、2人よりも3人と、仲間や従魔と力を合わせれば、1人では出来ない事も出来る様になる。それが僕の持論ですから」


「素晴らしいな」


 僕達はその後もローテーションで騎士団の強化を行い、戦闘訓練を行っては魔力制御の訓練の繰り返しで、彼らの指南をしていた。

評価のやり方が新しくなりました。

まだ未評価の方は、是非お願いします。

また、既に評価された方も、この機会に評価し直してみてはどうでしょうか?


次回予告

騎士団の強化も終盤を迎え、ユーマとクレイルは模擬戦を行う。

その後国王からある事を教えられる。


次回、次の国へ向かう前に


次回で第10章は終わりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ