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第169話 ヒュドラを討伐

前回のあらすじ

ヒュドラと遭遇し、コレットを先に行かせユーマ達は戦闘を開始する。

戦いはユーマ達のペースになるが、ヒュドラの脅威の再生能力を目の当たりにする。

一方、奥へとやって来たコレットは、魔流草を発見して採取する。

 先程の攻撃で9本の内5本の首を撃破したのが、たちまち元に再生して戦いは振出しに戻ってしまった。


「こいつ、この前のデビルジェリーフィッシュみたいな再生能力を持っていたのか!」


「無限に再生するなんて、そんな魔物どうやって倒せばいいの? 何か供給源みたいな物でもあるの?」


「残念だけど、ヒュドラの再生はあのクラゲとかと違って、自身の膨大な魔力で再生するから、あの時以上に厄介なタイプよ。でもあいつにもちゃんとした倒し方があるわ」


「アイン、それってどんなやり方?」


 僕達はヒュドラの牙による攻撃や、尻尾による攻撃を躱しながら、アインの説明を聞いた。


「よく聞いて! ヒュドラの討伐は、9本のうち中央にある1本以外の頭を順に倒すの! 1本を破壊したら、すぐに2本目、3本目と順番に破壊する事! 破壊された直後に続けて破壊すれば、ヒュドラの首は再生しないわ! そして、8本の首を破壊した直後に中央の首を破壊すれば、ヒュドラは倒せる! これがヒュドラの討伐法よ!」


 アインの説明を聞き、僕達はやる事を決めた。


「皆! 順番に首を破壊するよ! 僕とアリアが最初に仕掛ける!」


「「「了解!」」」


「ウォン!」


「グルルルゥ!」


「アリア、行くよ!」


『はい!』


 雷の翼を広げて上空から攻撃を仕掛け、まずは1本目の首をミネルヴァで斬り落とした。


『次は私の番です!』


 続けてアリアが2本目の首に喰らい付き、そのまま噛み千切った。


「ガルルルルルゥゥゥゥゥゥ!」


 続いてレクスが飛び掛かり、爪による斬撃で3つ目の首を切断した。


「次は俺達だぜ!」


「グルルルルルゥゥゥゥゥ!」


 クレイルとクルスが同時に駆け出して一気に2本の首を狙ったが、別の首がそうはさせまいと2人に襲い掛かって来た。


「うわっと!?」


「グルルゥ!?」


 2人はエアステップや空中で身を捩って躱したが、その間に3つの首が元通りに再生してしまった。


「また首が再生した! アインこうなったらいっその事、あいつの胴体を粉々にした方が確実に倒せるんじゃない?」


 ラティの問いに、アインは首を横に振って答えた。


「残念だけど、ヒュドラの再生能力は全身にも及んでいるの。例え胴体を切断したりしても、心臓部の魔石が無事な限り新しい胴体が生えて、ヒュドラは無限に再生するわ。あいつを倒すには、8本の首を順番に素早く破壊して、9本目の首を倒すしかないの」


 魔物の生態は、解明されていない部分が多い。

 あのヒュドラの様に、何故首を破壊するしか倒す方法がないのか、どうして他の方法がないのか、そういった魔物の謎は深まる一方だな。


「でも考えている暇はない! こうなったら根競べだ! 僕達の体力が尽きるのが先か! あいつを倒すのが先か!」


「賛成ね! とことんやってやるわ!」


『お付き合いします!』


「あたしも付き合うわよ!」


 僕達を視界に捉え、ヒュドラの9つの口から毒液が放たれた。


「おっと!」


 クレイルは加速魔法による加速とフェンリルフォースによる身体能力で難なく躱し、僕とアリア、クルスは翼で空中で回避し、レクスも驚異的なスピードで躱していた。


「重力波!」


 ラティもウラノスを振るいながら重力魔法を発動させ、重力の波で自分に向かって来る毒液を寄せ付けなかった。


『ミーティアルシャイン!!』


 アリアの翼から無数の光線が降り注いでヒュドラに炸裂したが、数本の首が無事でたちまち再生した。


「今の攻撃で後ろが疎かだぜ!」


「今の攻撃は囮さ!」


 その隙に僕とクレイル、クルスとレクスが後ろに回り込んで、計4本の首を一気に破壊した。


「更におまけのこれをお見舞いよ! エクスプロージョンブラスト!!」


 そこにアインの放った爆発魔法が命中し、更に2本の首を破壊する事に成功した。


「あと3本! ガイアクラッシャー!!」


 ラティの土魔法で生み出された巨大な岩の杭が2本の首を狙ったが、ヒュドラはその杭に毒液を吐き出して溶解させ、攻撃を防いでしまった。


 そしてその攻撃失敗の隙に、全ての首が再生してしまった。


「駄目だ! いくらやっても、後方からの攻撃が足りなくて再生する時間が出来ちまう! コレットの矢による狙撃が無いとこれは苦しいぞ!」


 クレイルの言う通り、コレットの狙撃なしだと、いくらやっても同じ事の繰り返しだ。


 アリアとアインもここが洞窟の中だからブレスや特大の複合魔法も使えないから、どうしても僕達の手数が足りない。


 コレット、早く戻って来て。


 そう思ったその時、1本の矢が飛んできて、ヒュドラの首の1本を吹き飛ばした。


「今の攻撃……まさか!」


 僕達は矢が飛んできた方角を見ると、そこにはユグドラシルを構えたコレットの姿があった。


「お待たせ、皆!」


「「「コレット(さん)!」」」


「ターゲットの魔流草はあらかた採取したわ! 後はそこの邪魔の蛇だけよ!」


 コレットは制御魔法でアルテミスを操作して、周囲の魔力を集めて魔力の矢を生成した。


「コレットが来てくれれば大丈夫だ! 皆、遠慮なくやれるよ!」


 その言葉と同時に、クレイルとレクスが先陣を切って突撃した。


「いっくぜ! まずは1本目と2本目だ!」


 まずはクレイルとレクスが2本の首を破壊して、その2人を他の首が襲い掛かったが、


「させないわ!」


 コレットのユグドラシルとアルテミスから放たれた爆発の矢が、その首を粉々に破壊した。


「次はその首よ! グラビティスフィア!!」


 続いてラティの放った重力球が、その狙った首を捻じ曲げて破壊した。


「これで4本! 次はそれよ! サンダークラッシュ!!」


 アインの放った雷の魔力が5本目の首を破壊したが、同時に残りの首がラティ、アイン、コレットに襲い掛かって来た。


『させません!』


「グルルルルルゥゥゥゥゥ!!」


 そこにアリアとクルスが向かって来る首を斬り落とし、僕もアメノハバキリでもう1本の首を斬り落とした。


「これで残りはその首よ! ユーマ! 一気にやって!」


 コレットに援護を任せ、僕はドラグーンフォースのスピードで一気に距離を詰めた。


 最後の首も僕を迎え撃とうと口を開いて毒液を放とうとしたが――


「無駄よ! フリーズアロー!!」


 コレットの放った氷の矢で頭部全体を凍らされて、攻撃出来なくされた。


 破壊された首が今にも再生しようとしているが、僕が接近して到達するのが速かった。


「これで終わりだ!」


 ミネルヴァとアメノハバキリを交互に振り、ヒュドラの最後の首は斬り落とされて、胴体は三枚おろしになり、首も体も再生する事なく絶命したのを確認した。


「終わったな……」


 僕はヒュドラがちゃんと死んでいる事を確認して着地し、フォースを解除した。


「ありがとう、コレットさん。助けに来てくれて」


 ラティはコレットにお礼を言っていた。


「気にしないで。私もヒュドラの再生能力を思い出して、急いで薬草の採取を終えて駆け付けに来たの」


「確かにあの再生の速さと、しぶとさはお前がいないと、例え勝ててももっと時間が掛かっていたからな。お前のお陰でかなり楽に倒せたぜ。ありがとな、コレット」


『ありがとうございます、コレットさん』


「僕からもありがとう、コレット」


 僕達はコレットにお礼を言い、僕達は改めて互いの存在が重要なのだという事を感じた。


「さあ、早いとこあのヒュドラの解体を済ませて、マグルスさんの所に戻りましょう。きっと心配して待っていると思うわ」


 ヒュドラの解体は、僕が斬った時に三枚おろしにされていた事で、解体はスムーズに出来た。

 中央の頭部の氷を解凍させて討伐証明部位となっている頭部の角を回収して、素材と魔石などに分けて解体した。


 やがて僕達は洞窟の外に出て、無事に王都に帰還出来た。

評価のやり方が新しくなりました。

まだ未評価の方は、是非お願いします。

また、既に評価された方も、この機会に評価し直してみてはどうでしょうか?


次回予告

無事に依頼を終えたユーマ達に、新たな指名依頼が参り込む。

その依頼主は、なんとグレイドニル国王だった。


次回、オベリスク王国騎士団の強化

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― 新着の感想 ―
[一言] 道中に出てきて蹴散らされるのから パーティメンバー全員でようやく討伐できるのまで。 一番ピンキリなSランク。
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