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第159話 力の制御をする為に

前回のあらすじ

王都を目指す途中、グランドサウルスを発見し討伐する事を決める。

ところが、クレイルが牽制のつもりでいれた一撃で討伐出来てしまい、ユーマ達は自分達が余りにも力をつけている事を自覚する。

 グランドサウルスの解体を済ませ、僕達は荒野の中で休む為に高い岩山を選び、その頂上で夜営する事にした。

 といっても、まだ日は上がっており、日没まで大分余裕がある。


 何故こんなにも早く夜営できる場所を選んだかというと、僕達のこれからを話し合う為に落ち着ける場所を決めたかったからだ。


 テントを張ったと、僕達はその場に座り話し合っていた。


「さて、問題は、どうやって僕達の力をより制御できるようになるかだ」


「コレット、何かいい方法はあるか? お前は元々Sランクにいつでもなれる程の力があったんだし、それだけ力の制御が出来る筈だろ?」


 ここはやはりより長く生きているコレットにいい知恵を貰うしかなさそうだ。


「そうね……ここはやっぱり、魔力の制御をしてみるのはどうかしら」


「「「魔力の制御?」」」


「そう。魔力はあらゆる物事に使われているのは知っているわね?」


「それは勿論。例えば、魔法の行使でしょ」


「他には、マジックアイテムとかを使う時」


「後は全身に回して代謝を高めるとかだよな」


「そう。ユーマ達が今回力が大きくなり過ぎたのは、その魔力制御が無意識に不安定になっている可能性があるわ」


 コレット曰く、現在の僕達は戦闘を行う時、神器を使うのが主になってきている。

 その神器を使うのに魔力を流している時の、魔力量が白百合や黒薔薇、エンシェントロッドの時と比べて大きくなっているかもしれないと。

 クレイルの場合はメルクリウスが神器だと知ったのが最近で、それまでは普通のマジックアイテムだと思い込んでいて、あの首都のダンジョンで認められた時にそれまで以上に魔力を流すようになった。


 そして僕達はダルモウス山脈のダンジョンで、僕とクレイルはフォースという新しい複合強化を習得し、ラティも神器のウラノスを手に入れた事でロストマジックの重力魔法が完全に使える様になった。


 これによって僕達は神器を使う際に莫大な魔力も使う様になった事で、今まで出来ていた魔力の制御のバランスがおかしくなり始めたかもしれないというのが、コレットの推測だった。


「ユーマとクレイルはフォースという最強の複合強化に加えて、それを活かす為に神器での戦闘により特化して来たけど、それは同時に莫大な魔力を全身と神器に流している。結果、さっきの様にクレイルがグランドサウルスを倒した時の力の制御を誤ってしまったのよ。今回はまだ魔物相手だからいいけど、これが対人戦とかだとかなり危険になるわ。例えば、ヴォルスガ王国の武闘大会とか、ギルドでの模擬戦とか、そういうのでだと誤って相手を殺してしまう可能性が大きいわね。犯罪者なら生死問わずが基本だから、そこまで気を遣う事もないけど」


「成程な……」


「ラティもおそらく同じ事が起こり始めているかもしれないわね」


 曰く、ラティはウラノスを手に入れた事で、エンシェントロッドや元素の杖ではフルに使えなかった重力魔法を完全に使える様になったけど、それは逆に言うとそれまではリミッターが掛けられていた魔力制御を全開にした事で、魔法の威力を一定に保つのが難しくなっているかもしれないとの事だ。


「3人はまだ若いから、魔力もこれからもっと成長する。そうなると、より力のコントロールがより重要になってくるわ。ユーマ達の事だから、それが出来ている人達は私以外にも見て来たと思うけど」


 それを聞いて、思い浮かんできたのは、お父さん達暁の大地だ。

 僕とラティがお父さん達から修業を受けていた頃、僕達はお父さんとダンテさんに武器を使っての戦闘訓練を着けて貰ってた。


 そもそもの話、お父さん達は全員がSランクの現役冒険者で、冒険者のキャリア自体では僕達よりも上だ。

 当然多くの魔物や人との戦闘を経験している。


 そして僕達が模擬戦をしていた時、お父さん達は僕らを攻撃した時に、コブとかは出来たけど骨を折ったりする事は1度もなかった。


 今思い返せば、お父さん達は自分の身体に流す魔力を細かく調節して、身体能力を僕達の当時の力に合わせていたんだ。

 そうする事で幼い僕達に与えるダメージを最小限に抑え、お母さん達も魔力を調節する事で魔法の威力を抑えて手本にし易くしていた。


 そう考えると、僕達がその魔力の制御を今まで以上に細かく出来れば、人や魔物と戦う時に上手く力をコントロールして戦う事が出来る。


「どうやら、ユーマは分かった様ね」


「うん。つまり僕達の魔力の制御を1から見直して制御できるようにする。それが僕達の課題の力の制御に繋がるんだね」


「その通りよ。今までの様に全身に流すだけでなく、片手や片足といった部分的な箇所に流す事で、魔力の制御と量の細かな調整をする事が出来れば、対人戦みたいな重要な時でも力を制御して戦う事が出来る様になるわ」


 コレットのお陰で、僕達はどうすればいいかを決める事が出来た。


「これからは、各自時間が空いたら魔力制御をするようにしておこう」


「後は定期的に模擬戦してどれくらいに出来るかを確認するのが良さそうだな」


「いい機会だし、一旦原点に戻って自分を見直してみましょう」


 こうして僕達は魔力制御の訓練を行ったり、部分的に魔力を流して力の制御の練習をしたりした。

次回予告

魔力制御の細かい訓練を行い、ユーマ、ラティ、クレイルは3人同時の三つ巴の模擬戦を行う。

その中で、3人は自分達の制御した力を確かめ合う。


次回、訓練の成果

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