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第16話 お母さんの授業 種族と歴史編

前回のあらすじ

サラに授業でアスタリスクの通貨について学ぶが、ユーマは前世の記憶がある為、通貨の計算を短時間でマスターしてしまう。

その際に、一種のインチキをしてしまった事に懺悔する。

 少し休んだ後、次の授業は種族についてだった。


「この世界には、私達人族(ひとぞく)の他に、獣人族(じゅうじんぞく)、エルフ族、竜人族(りゅうじんぞく)、ドワーフ族、巨人族(きょじんぞく)海人(うみびと)族、魔族(まぞく)の全部で8つの種族に分かれています」


 お母さんはそれぞれの種族の特徴な生態などを教えてくれた。


 まずは人族。

 僕やラティ、お母さん達が含まれる、ごくごく普通の人間の種族だ。

 これといった特殊な能力はなく、身体能力もほぼ平均。

 数も全種族の中で最も多い。

 寿命は約100年。

 従魔も様々な種類の魔物と適合している特徴がある。


 獣人族は、簡単に言うと獣の特徴を持った人間の事だ。

 主に耳が人間のものではなく、その種類の動物の耳となっていたり、体が動物の様に毛深かったりと様々な特徴がある。

 寿命は約200年。

 身体能力はかなり高く、身体強化なしで縮地みたいな事が出来る程だ。

 また動物と心を通わせる特殊な力を持ち、動物と会話も出来る。

 従魔は獣系の魔物と適合している。


 エルフ族は全種族の中でも最も長寿な種族だ。

 外見的な特徴は、長くて先端がとがった耳。

 その寿命は約1000年。

 エルフは肉体の老化が非常に遅く、10歳までは人族と同じ速度で成長するが、それ以降はゆっくりと肉体の成長が進む。

 エルフの中にはハイエルフという、厳しい試練を乗り超えた者が到達できる上位族がある。

 ハイエルフになると、その寿命は10000年になると言われている。

 しかしあまりにも長命な為、寿命を迎える前に精神が疲れ果て、生ける屍のような状態で生涯を終える事が多いそうだ。

 エルフ族は風属性の魔法を最も得意とし、武器も弓矢や短剣を主としている。

 従魔は自然系統の魔物や、妖精の魔物と適合している。


 竜人族は竜の外見を混ぜた様な人間だ。

 外見は人族と変わらないのだが、頭には竜の角があり、裸で見比べると首筋や腕、背中などが竜の鱗で覆われていて、頭部の両側面――ちょうど耳の少し上辺り――には竜の角が生えている。

 魔法は通常の魔法に加え、あらゆる属性の魔力をブレスにして放つなどの、竜人族特有の特殊な魔法を得意としている。

 その魔法により単体での戦闘力が高く、単独で竜をも仕留める程と言われている。

 寿命は約200~300年。

 従魔は竜の魔物と適合している。


 ドワーフ族は最も身長が低い種族だ。

 その背丈は約120センチだが、体格ががっしりとしていて、腕はとても立派に太いそうだ。

 その太い腕故に腕力も強く、背丈は低いが1人で大きな物を持ち上げる事ができる。

 寿命は約300年。

 ドワーフ族は鍛冶職において、天才的は才覚を持っている。

 ドワーフの職人が作った武器や防具、アクセサリーはとても高い値で取引されている。

 魔法は地属性を最も得意とし、鍛冶の関係で火属性にも精通している。

 従魔は炎系の魔物や、鉱物系の魔物と適合している。


 巨人族は全種族の中でも最も体が大きい種族だ。

 巨人といってもその身長は約3メートルで、人間よりかなり背があるという認識の高さらしい。

 巨人族は凄まじい怪力を誇り、それに強化魔法が加わると素手で大木をへし折れるほど。

 寿命は約300年。

 魔法は8属性よりも無属性魔法を得意としている。

 従魔は力に優れた魔物と適合する傾向がある。


 海人族は、獣人族の魚版といえば分かり易い種族だ。

 耳がヒレの様な形をして、手や足には水掻きが存在する。

 海人族は陸上では肺呼吸、水中では魚の様に(えら)呼吸として活動できる。

 さらに手足の水掻きによって、水中では無類の強さを発揮する。

 寿命は約100年。

 魔法は水や氷の属性を最も得意としている。

 従魔は水に関連した魔物と適合している。


 そして魔族。

 魔族の外見は個々人によって変わっていて、頭に角がある者もいれば、背中に悪魔の様な翼を生やした者も存在する。

 魔族は魔力の濃度が全種族中、最も高く、魔法の使い手としても断トツの高さを誇る。

 加えて身体能力も高い為、全種族中最も高い能力を持っている。

 寿命は約500年なのだが、魔族は全ての種族の中でも最も戦いに関する欲求が強い。

 その為、常に強者との戦いを求めており、その過程や戦いの中で命を落とすものが多く、死亡率が最も高い種族でもある。

 魔法は、魔力の濃度がとても高く、その分威力も絶大。

 従魔はその魔力の高さ故に、適合する魔物の平均ランクがSランクと非常に高い。


「……以上が、全ての種族の特徴です。また、人族以外の種族には総称で『亜人族』という蔑称で呼ばれ、迫害されていた時代があります」


 お母さんの続いての授業はこうだ。


 今から数百年前、人族は亜人族を人ならざる者と蔑み、見世物として殺したり、捕まえて奴隷にしては、人として扱わず奴隷どころか家畜にも劣る扱いをしていた。

 結果、人族は亜人族からは憎悪の対象となり、人族と亜人族との間で激しい戦争が起こった。


 最初は数の有利で人族が優勢となったが、亜人族はそれぞれの種族の特技を活かし合い、戦争はより苛烈さを極め、両陣営合わせてこの世界の総人口の半数という死者を出した。


 そんな時現れたのが、後に歴史上唯一のEXランクの冒険者となった伝説の人族、英雄王アルフレッド・ガラハドールだ。

 彼は全ての元凶となった人族の者達を粛正し、全ての種族の心の痛み、悲しみ、怒りを説き、元凶達を改心させる事に成功した。


 その後、アルフレッドは元凶達と共に両陣に謝罪をし、亜人族達を怒りと憎しみから解放し、長きに渡る戦争に終止符を打ち世界に平和をもたらした。


 以後、人族は他種族を『亜人族』と呼ぶ事はなくなり、他種族もまた人族と共に生きていくと心に決め、全8種族の間に和平が結ばれ、以降どの国でも戦争は行われていない平和な時代が続いている。


「……以上が、人族と他種族との間にあった歴史の物語です」


「いいお話ですね……」


 ラティはハンカチで涙を拭いながら、そう言った。

 どうやらこの歴史に感動している様だ。


「お母さん、今のこの世界ではもう奴隷はないの?」


 僕はちょっと気になった事を、お母さんに質問した。

 今のこの話から察するに、かつては奴隷制度があったようだが、今はどうなんだろう。


「今のこの世界には、奴隷制度はまだ残っています。ですが、それらは犯罪を犯した者や何らかの理由で奴隷になった者になります」


 お母さんの説明を纏めると、現在の奴隷は大きく分けて一般奴隷と犯罪奴隷に分けられるらしい。


 一般奴隷は最も普通の奴隷で、奴隷商などで扱われている奴隷の殆どが一般奴隷らしい。


 犯罪奴隷は、主に盗賊や殺人などの犯罪を起こした者、違法な取引や不正を働いた貴族や商人などが捕まり、奴隷落ちになった者の事が犯罪奴隷に分類される。

 奴隷商などでは一般奴隷とは隔離された形で、別のスペースなどで管理されるそうだ。


 また、一般的な奴隷も自分では生きていけなくなり奴隷商に自らを売ったり、何らかの理由で孤児になった所を奴隷商人に保護されたりで奴隷になった者が多い。

 だが、保護された際の奴隷は、その奴隷商人と奴隷になるかどうかを話し合ってから決めるそうだ。

 何でも奴隷になれば、誰かに買われるまではその奴隷商人の下で生活する為、その間の衣食住は奴隷商人が保証してくれるらしい。


「その他にも、鉱山奴隷や違法奴隷というのがあります」


 鉱山奴隷は犯罪奴隷が買い取り手が見つからない、もしくは奴隷として売るには余りにも罪が重い者が辿る、犯罪奴隷の終着点みたいなものだ。

 鉱山に運ばれ、朝から晩までただひたすらトンネルを掘ったり、鉱石の採掘を行わされる。

 しかし、これには収容期間の様な物があり、その期間が過ぎて改心していれば奴隷から解放され、一般人として社会に復帰できるそうだ。


 違法奴隷は正規の方法で奴隷にせず、無理矢理拉致したり騙したりして連れ去ってきた者を奴隷にする事だ。

 だがこれは世界の法律で禁止されており、破った者は厳罰に処されて逆に奴隷堕ちになってしまうが、やはり社会の性というのかそれを守らない人も存在する。


 後に知ったがこの違法奴隷には、主にエルフ族が多いそうだ。

 エルフは容姿端麗な者が多く、エルフの奴隷は高値で取引されている。

 そういった違法奴隷達は、普通の奴隷の様になる者もいれば、主の夜伽の相手、つまり性奴隷にされるケースがある。


「では、種族の話はここまでにして、今日は最後に各国についてお話します」


 お母さんは少し暗くなった雰囲気を切り替えて、次の授業の準備をした。

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感想は、確認し次第返信する方針で行きますので、良かった所、気になった所とかがありましたら、是非感想を送ってみてください。

お待ちしております。


次回予告

最後に各国家についての授業を行うサラ。

そこでユーマ達は各国の特徴と文化を知る。


次回、お母さんの授業 国家編


次回は3時に更新します。

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