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第151話 出発と別れ

前回のあらすじ

炎竜王に歓迎されたユーマ達は、彼らが住む神殿で1泊する事になる。

その夜、天然の湧き温泉に案内され、男女に分かれてはいるが、女湯の方ではラティとコレットが獄炎竜が炎竜王に抱いている慕情を知り、助言をする。

 炎竜王の神殿で一晩過ごして翌朝、僕達は炎竜王が用意してくれた部屋で目が覚めた。

 1つの部屋にシングルサイズのベッドを4つ用意してくれて、僕達はそれぞれのベッドで寝ていた。


「皆、おはよう」


「おはよう、ユーマくん」


「あぁぁ……そういえや、炎竜王の神殿に泊まってたんだったな」


「結構寝心地のいいベッドだったわね。温泉でのリフレッシュもあってか、とってもいい目覚めだわ」


 また、従魔達も目覚めた。

 アリアは人化からミニサイズの竜になって、僕のベッドの布団の中に丸まっていたが、目が覚めて布団から出てきた。


『おはようございます、皆さん』


「おはよう、アリア。よく眠れた?」


 僕はアリアを優しく撫でながら尋ねた。


『はい。とっても気持ちよく眠れました』


 また、クルス達もあくびを上げながら、自分達の相棒に挨拶した。


「おはよう、クルス」


「グルルゥ」


「おはようさん、レクス」


「ウォン」


「おはよう、アイン」


「おはよう、コレット、皆」


 寝間着から着替える為に、僕とクレイルは別の部屋に移動し、着替え終わって戻ってくると、そこには人の姿になっている獄炎竜の姿があった。


「おはようございます、ユーマ様、クレイル様。朝食の用意が出来ています。炎竜王様もお待ちですので、ご案内します」


 獄炎竜に案内され、僕達は昨日炎竜王と初めて会った部屋とは別の、大広間へとやって来た。

 そこには2メートルはありそうな高身長の偉丈夫の姿があった。


 人の姿の炎竜王だ。


「おお、アリア様。おはようございます。よく眠れましたか?」


『はい。お陰でゆっくりと休めました』


「ユーマ殿達もよく眠れたようだな」


「はい。お陰様で、すっかり疲れが取れました」


「それは良かった。さあ、折角の朝飯が冷めてしまう。一緒に食べましょう」


 炎竜王が席についているテーブルには、とても朝食とは思えない内容の料理――というよりは丸焼きの肉や皿に盛られた果物が丸ごとに山盛りとなっていた。


 やはり竜と言うだけあって人の料理とは無縁だからか、とても豪快な献立となっていた。


 でも、丸焼きはとても肉質が良い魔物を焼いている為、外から塩や胡椒を掛ければ十分美味しいし、果物も甘味や酸味が効いた物な為、生でもいい感じに美味しかった。


 朝食を終えた後、僕達は炎竜王と獄炎竜に、この後少し休んだら出発する事を話した。


「分かった。では、付近にいる竜達には我が獄炎竜と共に伝えよう。そうすればアリア様もいるので大丈夫だとは思うが、何事もなく出発できるだろう」


「ご配慮くださりありがとうございます」


「構いません。寧ろ私と炎竜王様にはこれくらいしか出来ませんから、せめてものお力にならせてください」


 そう言い、獄炎竜は一足先に出て行き、続いて炎竜王も竜達に知らせるべく出て行った。


「炎竜王と獄炎竜が戻ってきたら出発しよう」


 クレイル達も承知し、少しして2人が戻って来た。


「お待たせした。付近の竜達にはアリア様とお主達がここを出発する事を伝えた」


「炎竜王様と側近の私が直接知らせましたので、竜達もすぐに信じてくれました。これなら出発した時に支障が起こる事は無いでしょう」


「ありがとうございます。それでは、このまま僕達も出発するとします」


『炎竜王様、獄炎竜様、この度はありがとうございました』


「いえいえ。折角ですから、出口までご一緒しましょう」


 僕達は2人に連れられ、神殿の外に出ると、2人は元の竜の姿に戻った。


 アリアも元の姿になり、僕達はアリアの背中に乗った。


『では行くぞ、獄炎竜』


『はい、炎竜王様。アリア様も続いてください』


『分かりました』


 炎竜王が先頭になり、アリアがそれに続いて、獄炎竜が後ろを飛んで僕達は火山の外に出た。


『ではここでお別れですね。お世話になりました』


『アリア様、ユーマ殿、どうかお気を付けて。お主達の旅に祝福がある事を願っています』


「ありがとうございます、炎竜王様。また会う日を楽しみにしています」


「今度会ったら、また一緒に温泉に入ろうぜ」


「ウォン」


「グルルゥ」


 僕とアリアとクレイル、クルスとレクスは炎竜王にお別れの挨拶をし、ラティ達女性陣は獄炎竜と挨拶していた。


『ラティ様、コレット様、昨晩は助言して頂き、ありがとうございました。私も頑張ってみます』


「その意気よ、獄炎竜。頑張ってね」


「あなたは炎竜王の側近なんだから、その立場を活かして攻めなさい」


『はい。頑張ります』


 いったい何の事だろう?

 まあ、詳しい話は後で聞けばいいか。


「それでは、失礼します」


『お達者で』


 炎竜王と獄炎竜に見送られ、僕達を乗せたアリアは翼を羽ばたかせて飛び立ち、次の街を目指して出発した。


 道中アリアの姿を見て頭を下げる竜の姿があったが、どうやら炎竜王達の伝達が働いている様だった。

 結果何事もなく、無事にヴェルニア火山を出る事が出来た。


 その後僕達は男性陣は、ラティ達に獄炎竜の炎竜王への慕情を知り、さっきの別れの挨拶でラティ達と獄炎竜の会話の意味を知った。


 驚きこそはしたけど、結構お似合いにも見えたし、僕達も獄炎竜を応援する事を決めたのだった。

次回予告

港がある街、バイライルの街の街にやって来たユーマ達は、領主に会う為に屋敷を目指す。

その際、今まで見た事のなかった種族を目にする。


次回、バイライルの街

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― 新着の感想 ―
[一言] ホントだ、人化したら『』と「」が切り替わってた。 説明乙かれさまです。
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