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第139話 96階層

前回のあらすじ

新たな複合強化のドラグーンフォースとフェンリルフォースの力を得て、ユーマとクレイルはSランクのパンツァーサウルスを圧倒して討伐する。

 ドラグーンフォースとフェンリルフォースという、僕とクレイルが新たに編み出した魔法によって、僕達のダンジョン攻略は更にスムーズになった。


 90階層からはSランクの魔物が出て来るようになり、これまでにもマンティコアやパンツァーサウルスの様な魔物が幾度となく出て来たが、僕とクレイルの新しい複合強化、ラティの強力な魔法、コレットの無尽蔵の魔力の矢、アリア達EXランクの従魔達、その全ての力を合わせて、僕達は全ての魔物を討伐して進む事が出来た。


 そして遂に、僕達はダンジョンボスの部屋がある階層、96階層にやって来る事が出来た。


 最下層は洞窟の階層で、首都のダンジョンよりも不気味な光景だった。


「到頭ここまで来たわね」


「ええ。この先に、ボスのベヒモスがいる部屋があるわ」


 ラティは到頭ここまで来た事に、感慨深そうにしている。


 このダンジョンに挑戦し、コレットによって彼女が最後に来た階層64階層からスタートしてから1ヶ月近く経って、遂にこの最下層まで来る事が出来た。

 そう思うのも無理はないかな。


「でもそのボス部屋に行くまで、まだ油断はできないわよ」


 アインの言う通り、既に僕の探知魔法に、数多くの魔物の魔力反応がこちらに向かってきている。

 それも全てSランクの魔物ばかりだ。


「皆、来るよ」


 僕達が構えた時、あちこちからその魔物達の姿が見えた。


『クラッシュコングに、タイラントワーム、ミスリルリザードにガイアライガー、デビルヴァイパーまでいますね。どれもSランクの強力な魔物達です』


 アリアが言った名前の魔物の他にも、普通の場所なら災厄と言ってもいい程の魔物の反応が出て来る。


「これまでベヒモスに挑戦しようとした奴らは、こいつらに阻まれて大抵の奴は脱落したのかもな」


「有り得るわね。そして、最終的に疲弊した状態でベヒモスに挑み、帰らぬ人になったという所かしらね。または万全な状態になるまで回復してから挑んでも、最終的に戦意を喪失して命からがら帰って来たとか」


 クレイルとコレットが、これまでに挑戦した人達の末路を推測した。


「でも、あたし達はそうはなったりしないわ!」


「そうだね」


 僕とクレイルはアリアとレクスと共に前に出た。


「僕とクレイル、アリアとレクスが前衛に出る。ラティとコレット、アインは後ろから魔法と矢で援護して。クルスは3人を護って」


「おっしゃ! 任せておけ!」


「ウォン!」


『ユーマには指1本触れさせません!』


「分かったわ、気を付けてね」


「後ろは任せなさい」


「安心して戦っておいで!」


「グルルルゥ!」


 僕は神器の二刀流で構え、魔力を集中させた。


「行くよ、クレイル! ドラグーンフォース・ライトニング!!」


「おう! フェンリルフォース・フレイム!!」


 僕とクレイルは戦闘形態になり、僕は標準サイズのアリアと共に上空から仕掛けた。

 この洞窟は、デビルヴァイパーやタイラントワームの様な巨大な魔物が動けるほどの広さと高い天井があるから、僕達も余裕で空中戦が出来るので助かっている。


「レクス、俺達も行くぜ!」


「ウォン!」


 クレイルもレクスと共に地上を高速で駆けている。


 魔物達も僕達を迎え撃とうとしたが、これまでの冒険者と違いはっきり言って相手が悪かった。

 僕達はこれまでの階層での戦闘で多くの魔物達と戦い、倒す事で次第に強くなっていき、今では僕とクレイルに至っては単独でSランクの魔物を倒せるまでに至った。


「いっけえええええ!!!」


 僕が水平に振ったミネルヴァとアメノハバキリでデビルヴァイパーを三枚下ろしにし、


『場所が場所なのでブレスは使えませんが、牙と爪で十分です!!』


 アリアが爪でタイラントワームの身体を貫き、牙で胴体を噛み砕いてバラバラにした。


「いっくぜえええええ!!!」


 クレイルの凄まじいスピードで、ミスリルリザードに接近し鳩尾に目掛けて右手の炎の爪による一撃を与えた。

 ミスリルの鱗に覆われていない箇所を攻撃され、ミスリルリザードはダメージを受けながらも左腕を振り下ろして反撃してきた。


 しかし、クレイルの加速魔法とフェンリルフォースによる身体能力の驚異的なスピードによって、簡単に後ろを取られ、


「おらおらおらおらおらおらおらおらおら!!!!」


 目にも止まらない凄まじい勢いで打撃のラッシュを打ち込んだ。

 神器であるメルクリウスを芯にした魔力の爪による攻撃の前に、ミスリルリザードは身体を砕かれて討伐された。


「ガルルルルルルルゥ!!!」


 レクスはガイアライガーに飛び掛かり、両前脚で押し倒し、そのまま喉元に喰らい付いて一撃で絶命させた。


「グルルルルルルルゥ!!」


 クルスはクラッシュコングに攻撃し、前脚の鷲の爪で胸部を切り裂いた。

 しかし、クラッシュコングの分厚い筋肉で致命傷にまではいかず、両手の拳を胸に打ち付けてドラミングの動作をして力を溜めてのパンチを繰り出したが、クルスはそれを簡単に躱した。


「行くわよ! クルス、下がって!!」


 ラティは重力魔法を発動させて、引いたクルスに接近してくるクラッシュコングを重力の圧力で押し潰した。

 しかし、まだ息があったが、ラティは瞬時に魔法を解除し、止めの魔法を放った。


「ガイアクラッシャー!!」


 地面に倒れていたクラッシュコングの真下から巨大な土の錘柱が発生し、クラッシュコングを腹から串刺しにして仕留めた。


「アイン、後続の魔物を攻撃するわよ!」


「オッケーよ!」


 コレットとアインは奥からやってくる魔物に目掛けて、コレットは手に持ったユグドラシルと制御魔法で操作したアルテミスを向け、アインも魔力を集中した。


「ブレイズストリーム!!」


「イクリプススフィア!!」


 コレットのユグドラシルとアルテミスから放たれた炎の矢が、無数の炎の流星群となって後続の魔物に炸裂し、アインの放った闇属性の球体がその魔物達のど真ん中に落ちた途端凄まじい威力と共に魔物達を消滅させてしまった。


 元々コレットはSランク冒険者に値する実力を持っていたし、アインは従魔の中で唯一の成体のEXランクだから、その力は凄まじくSランクの魔物の群れを一掃してしまった。


「やっぱり、コレットさんとアインは凄いわね。単独でSランクの魔物の群れを倒すんだから」


「グルルルゥ」


 僕達も魔物を討伐し終えて、一先ず戦闘形態を解除した。


「やっぱり最下層だけあって、出てくる魔物はこれまでと桁違いだったね」


『ですが、今の私達の勢いを止める事は出来ませんでしたね』


 僕達はこれまでの戦闘で、今まで以上に成長していた事を確認出来た。


「アイン、今の僕達ならベヒモスにも通用するかな?」


 僕が質問すると、アインは僕の肩に乗って答えた。


「そうねぇ。ベヒモスの成長具合にもよるけど、少なくとも今のあなた達の実力は、あたしが過去に戦った個体を倒す事は出来るわね。でも、これから戦うベヒモスははっきり言って、あたしでも実際に見ないと分からないわ」


 やはり流石のアインも、このダンジョンのボスのベヒモスを相当に警戒している様だ。


「分かった。でも、僕達は行かなくちゃね」


「そうだな。なら、早く行こうぜ。グズグズしていると、また魔物達がやって来るぜ」


「この倒した魔物達は、一旦死骸ごと収納魔法に入れましょう。それで後からゆっくり解体していくのが良さそうかもね」


 コレットの提案を受け入れ、僕達は今倒した魔物達の死体のまま収納し、最下層の奥を目指した。


 その後も魔物が現れては討伐を繰り返し、僕達は遂にダンジョンボスの部屋へ通じる扉の前にやって来た。


「ここで暫く休もう。それで体力と魔力を万全にしてから挑もう」


「それが良いわね。結界はあたしとアリアに任せて。2人がかりで二重に結界を張れば、十分魔物除けになるわ」


『お任せください』


 僕達は2人が張った結界の中で食事と、数時間の休憩をして準備を万全にした。


「皆、覚悟はいい?」


 僕は装備を確認し、皆の確認を取った。


「ああ、体力も万全だぜ」


「ウォン」


 クレイルとレクスは完全に回復していた。


「あたしも集中して魔力を回復させたから、問題ないわよ」


「グルルゥ」


 ラティもクルスも、体力も魔力も万全だった。


「こっちも問題ないわよ」


「魔力も問題なしよ」


 コレットとアインも万全だ。


『ユーマ、私も大丈夫です。いつでも全開で戦えます』


 アリアも大丈夫と確認し、僕達は全員が万全だと確認した。


「よし。行くよ」


 僕達は扉を開き、ボス部屋へと足を踏み入れた。

ここまでお読みくださって、誠にありがとうございます。

「面白い」、「続きが気になる」、「更新頑張れ」と思いました方は、ブクマ、感想、評価してくださると今後の励みになります。


魔物情報


クラッシュコング

ゴリラの姿をした獣種のSランクの魔物。

全身の筋肉が強靭な強度を誇り、剣で斬られても筋肉の層に阻まれて致命傷にはならない。

ドラミングの動作をする事で、拳や腕周りの筋肉を膨張させて全てを破壊するパンチを放つ事が出来る。

討伐証明部位は右手首。


タイラントワーム

昆虫種に分類されるSランクの魔物。

主に洞窟や湿地帯といった湿った場所を生息地とし、近づいた獲物を音もなく接近し丸呑みにして仕留める。

飲み込まれた獲物は、1分もしない内に消化されて吸収されてしまう。

討伐証明部位は口元に生えている触角。


ミスリルリザード

ミスリルで出来た鱗を持つ、Sランクの爬虫類種の魔物。

ミスレルで出来た鱗で抜群の防御力を誇り、あらゆる魔法攻撃を無効にしてしまう。

討伐するには、オリハルコンの武器が必要とも言われている為、討伐が困難な魔物である。

討伐証明部位は額に生えた角。


ガイアライガー

Sランクの獣種の魔物。

洞窟を住処にしており、非常に獰猛な魔物でもある。

機敏な動きで敵を翻弄し、ミスリルをも斬る爪で肉を切り裂き、オリハルコンにも匹敵する牙で骨までも喰らう。

討伐証明部位は鬣。


デビルヴァイパー

デビル種の中でも特に強力なSランクの爬虫類種の魔物。

牙には全てを腐食させる猛毒が含まれ織り、更に牙から毒の原液を噴出裟背う事も出来る。

鱗の強度もすさまじく、住処にしている洞窟が落盤して生き埋めにされも、時間が経つと無傷ん姿で外に出て来る。

討伐証明部位は舌。


次回予告

遂にボスのベヒモスと対峙するユーマ達。

各自の力を活かして戦うが、このベヒモスはアインの予想を超える個体であったため、ユーマ達の攻撃をことごとく弾いてしまう。


次回、超獣ベヒモス

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