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第137話 新たな複合強化

前回のあらすじ

90階層でマンティコアの群れと戦闘をするが、全員の連携で難なく討伐できる。

その後クレイルはユーマに、自分達の新魔法の応用性を離し、ラティの助言で2人は新たな複合強化を閃く。

 ダンジョンの91階層に降りた僕達は、この階層が砂漠の階層だった為、すぐにアリアとアインがクレイル達に耐熱のレジストを掛けてくれた。


「この階層では、ユーマくんとクレイルくんがまず戦闘をするの?」


 ラティの質問に、僕は頷いた。


「そう。前の階層で編み出した、僕とクレイルの新しい複合強化を試す為にね」


「それを試すには、どうしても戦闘経験を重ねるしかないからな」


「でもこの階層にいるのは、マンティコアの様なSランクの化け物揃いよ。ベヒモス程ではないけど、普通ならとても腕試しで挑むようなレベルじゃないわよ」


 コレットの指摘は、まさにその通りだった。

 Sランクの魔物はAランクの魔物ですら赤子の様に仕留める程の化け物揃い。

 中にはSランクのデビル種なんてのもいるから、そうなると討伐が出来るのはほんの一握りの冒険者や騎士、後はアリア達の様なEXランクの魔物くらいだ。

 そんな魔物を腕試しで挑むというのは、普通に考えたら自殺行為以外の何物でもない。


 でも……


「でもユーマとクレイルならそれが出来るわよ。この2人が新たに生み出した複合魔法、あれは確かに試すなら非常に強力な魔物でないと、オーバーキルになって強さを確かめる事が出来ないわ。それこそSランククラスの魔物が」


 アインの言う通り、僕とクレイルは前の90階層であの後、ラティの助言をもとにライトニングウィングやフレイムクローを複合強化に組み込んだ新しい複合魔法を生み出し、後は実戦で試すだけとなっている。

 だけど編み出した段階でその威力が余りにも凄すぎるから、実戦で試すには半端な魔物ではなく、Sランクの様な魔物が必要という結論が出たのだ。


「まあね。それは分かってるわ。でも、やっぱり無理はしないでね。いざとなったら私やラティが援護するから」


「分かってるって、コレット。ユーマ、早速で悪いが、索敵を頼むぜ」


「了解、任せて。サーチ」


 僕は詠唱込みで探知魔法を発動させ、それによる効果でより広範囲の索敵を開始した。


 程なくして、僕の索敵の範囲内で1番近い場所に2つの反応が現れた。


「反応感知したよ。早速Sランクの魔物が2体かかった。やっぱりSランクとなると魔力の質が凄いから、これまでの魔物達が可愛く見える」


「よし。行くぞ」


 僕達は反応があった場所を目指して移動し、5分程で砂丘が見え、そこから向こうを覗くと、そこには前世で言う恐竜の様な外見をした2体の魔物姿があった。


『Sランクの爬虫類種、パンツァーサウルスですね。二足歩行で歩く水平に延ばした姿勢が特徴の魔物です。両腕は強靭な硬さで、それから繰り出される打撃はダイヤモンドを砕く程の威力があります。また全身の鱗も途轍もない硬さがありますから、討伐は困難でしょう』


「それに2体いるって事は、どうも(つがい)の様ね。順番に攻撃したら、もう片方が襲って来るでしょうから、やるなら2人同時にが良さそうね」


 アリアとアインの説明と助言を聞き、僕とクレイルは作戦を決めた。


「クレイル、2人同時に出て1人1体を撃破だ。今の内にあの複合強化を掛けての奇襲をかけよう」


「分かった。コレットとラティは、ここから何時でも援護できる様にしてくれ」


「アリア達もここに残って、何時でも動ける様にして」


 僕達の指示に皆が承知し、僕とクレイルは砂丘の上に立ち、魔力を集中させた。


「そんじゃ、行くかユーマ!」


「うん!」


 僕は雷の、クレイルは炎の魔力を全身に纏った。


「ドラグーンフォース・ライトニング!!」


「フェンリルフォース・フレイム!!」


 全身に凄まじい魔力が集中され、それを感じ取った2体のパンツァーサウルスはこちらを向いた。

 しかし、その時には僕達の魔法は既に発動され、僕達は新たに強化された姿になった。


 僕は自身の四肢が竜の四肢の様な形をした雷に覆われ、背面には雷の魔力で形成された竜の翼と尻尾、頭部には竜の頭を彷彿させる雷で出来た被り物の様な物を装備した姿になった。


 クレイルも四肢がメルクリウスを中心に狼の爪の形をした炎に包まれ、背面は全体が炎の鬣に包まれ、クレイルの狼の尻尾も炎に包まれてより大きな尻尾に変化していた。

 そして頭部も狼の頭部に酷似した炎の被り物の様な物が装備され、炎のワーウルフの様な姿になった。


 これこそが僕とクレイルが新たに編み出した複合魔法、その名もドラグーンフォースとフェンリルフォースだ。

 どちらも竜や狼の姿形をした属性の魔力を纏う事で、身体能力を強化した戦闘形態になる魔法だ。


 ドラグーンフォースはアリア、フェンリルフォースはレクスの姿を参考に編み出した魔法で、モデルが身近にいた事でそのコンセプトはすぐに固める事が出来た。

 更に僕とクレイルの新魔法を組み込んだ事で1つの魔法とかした事で、2つの魔法を同時に発動させるという難点も解消された、最強の複合強化と言える。


「クレイル、僕は右の奴をやる。左の方はそっちに任せた」


 僕は竜の形をした右手にアメノハバキリを、左手にジルドラスを抜いてクレイルに告げた。


「オッケーだ。じゃあ、しくじるなよ、ユーマ」


 その言葉を最後に、クレイルが加速魔法と合わせた超加速で一気に左のパンツァーサウルスに飛び蹴りを決め、大きく吹き飛ばした。


 僕も雷の翼を広げて飛び上がり、相方を助けようとした右の個体の目の前まで、雷速で一気に加速して足止めした。


「おっと。君の相手は僕だよ。この新しい魔法の初の実戦なんだ。思いっきり暴れさせて貰うよ」


「グルアァァァァァァァ!!!」


 パンツァーサウルスも僕を邪魔に思ったのか、怒りの咆哮を上げた。

 普通の相手ならこの咆哮だけでショック死すると思うけど、これまで幾多の戦闘を重ねて強くなった僕には、多少の威圧を感じるくらいだった。


「それでも三つ首竜の雄叫びを超えるくらいの威圧はあるか。あれを知らなかったら、もう少しショックが強かったかもね。それじゃあ、始めようか!」


 僕は両手に持った神刀と魔槍を構え、目の前の魔物との戦闘を始めた。

ここまでお読みくださって、誠にありがとうございます。

「面白い」、「続きが気になる」、「更新頑張れ」と思いました方は、ブクマ、感想、評価してくださると今後の励みになります。


魔物情報


パンツァーサウルス

Sランクの爬虫類種の魔物。

全身が装甲の様な鱗に覆われ、両腕は先がハンマーの様になっており、ダイヤモンドをも砕く程の打撃を放つ事が出来る。

顎の力も強く、非常に獰猛な為、従魔に適合した場合は注意が必要。

討伐証明部位は鼻先の角。


次回予告

ユーマとクレイルの新しい複合強化は、Sランクの魔物をも圧倒する程の威力があった。

2人は自身の長所を生かし、効果を確認しながら戦う。


次回、ドラグーンフォースとフェンリルフォース

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