第129話 雪原での食料調達
前回のあらすじ
ダンジョンの65階層にやって来たユーマ達は、途中アイスゴーレムの群れを発見する。
新たな神器アメノハバキリと強化された装備を試すべく、ユーマは単身で挑み、その武器を見事に使いこなして無双する。
アイスゴーレムを僕が全滅させてから、僕達は再び次への階層への階段を目指してアリア達に乗って移動していた。
暫くして、僕達は近くに洞穴を発見し、そこで一休みする事にした。
「ここにいれば風も凌げるし、安全に休めるわ」
「それじゃあ、ちょっと待ってて。何かすぐに食べれる物を作るから」
僕は鍋と食材を取り出し、食材を切って鍋に入れて簡単なスープを作った。
その際、身体が暖まるようにニンニクや生姜も入れる事を忘れない様にした。
「具材は野菜を多めにして、あとは何か肉を入れたいけど、皆はどの肉を入れて欲しい?」
僕の質問に、皆少し考えてそれぞれ答えた。
「そうね。美味しいお肉と言ったら基本的にオーク系のお肉だけど、まだあればバイコーンのお肉がいいかなぁ。あれ、偶に食べたくなるのよねぇ」
「俺はそうだなぁ……まだハイミノタウロスの肉って残ってたか? あれがいいかもな」
「私は……サイクロプスかワイバーンかしら。あの野性味溢れる味が癖になるのよね」
皆の要望している肉は、どれも僕の収納魔法の中にまだ貯蔵されている。
「うん。どの肉もまだ残っているよ。それにあの三つ首竜の肉もあるけど、できればこれはバロンさん達とまた会った時まで取っておきたいんだよね」
「あっ、そうか。あの人達にもあのお肉の味を共有したいのね」
ラティは僕が三つ首竜の肉を残しておきたい理由に気付いた。
「うん。古竜の肉は滅多に手に入る物じゃないから、これは本当にめでたい時に食べたいと思うんだ。収納魔法の中なら、どれだけ時間が経っても腐ったりする事はないから、これは本当に貴重な食材として手元に残しておきたいんだ」
今の所のその「めでたい時」は、第一に浮かぶのがバロンさん達マッハストームと再会した時な為、出来ればその時までは三つ首竜の肉は残しておきたい。
だからそうなると、今迂闊にはこの肉は出せないんだ。
そうしないと、うちの大食い組が一気に食べてしまうからね。
「となると、それ以外の肉でとなると……やっぱり私達が頼んだどれかの肉ね」
コレットに指摘され、僕はバイコーンかハイミノタウロスかメタルグリズリーか、どれにしようかと迷っていたその時、僕の探知魔法に1つの反応が出た。
『ユーマ』
「うん。補足している。数は1体だ」
アリアやクルス達も気付いていた様で、僕が魔物の事を伝えるとクレイルとコレットが身構え、洞穴から覗くとそこにはネコ科動物の魔物がいた。
「あれはアイスジャガーね。寒冷地に生息するBランクの魔物よ。数は1体だけみたいだし、これなら問題ないわね」
そう言って、コレットはユグドラシルを構え、魔力の矢を生み出した。
「ユーマ、折角だからそのスープにいれる肉はあれにしましょう。アイスジャガーの肉は引き締まっていて中々美味しいのよ」
コレットは狙いを定めながらあの魔物の肉が美味しいという事を教えてくれた。
「そうなんだ。じゃあコレット、逃がさないで確実に仕留めて」
僕はアイスジャガーが美味しい事を知って、コレットに確保を頼んだ。
「お安い御用よ。私を甘く見ないでね。私の素の弓術と必中魔法があれば、この距離くらいどうという事はないわ」
そう言ったのと同時にコレットの魔力の矢が放たれ、それは吸い込まれるかの様に射線上にいたアイスジャガーの眉間に命中し、アイスジャガーは絶命して倒れた。
本当に流石としか言いようのない腕前だった。
「これでオッケーよ」
「ありがとう、コレット。アリア、悪いけどちょっとあれを持って来てくれない?」
『分かりました』
アリアは洞穴から出て、アイスジャガーの死体を咥えて戻って来た。
『どうぞ』
「ありがとうアリア。早速こいつを捌いて肉を入れよう」
僕はミスリルの短剣でアイスジャガーの毛皮を剥ぎ、頭や脚を斬り落として部分ごとに分け、腹部の肉やもも肉の部分をぶつ切りにして塩コショウで下味をつけてスープに入れた。
そして出来上がったスープを皆で食べたが、アイスジャガーの肉は思った以上に淡白でかつ力強い味だった。
皆もとても気に入っていて、クレイルやラティ、クルスにレクスが肉のおかわりを何度も要求してきた。
その結果、今回は1頭分しかなかった事でアイスジャガーの肉は1グラムも残る事なくなくなってしまった。
お腹も膨れた所で、僕達は再び階段を目指し、暫くするとお目当ての階段が見つかった。
「これで次の階層に行けるんだね」
「ええ。行きましょう」
僕達は階段を下りて、次の階層へと向かったのだった。
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アイスジャガー
Bランクの獣種の魔物。
全身が雪と同じ色で、その体を雪景色と同化させて獲物に接近して仕留める戦法を得意とする。
動きも素早く、雪原地帯においては偵察要因としても役立つ。
討伐証明部位は背中の毛皮
次回予告
着々とダンジョンの攻略をつづけるユーマ達は、迷路の階層にやってくる。
そこの魔物達を倒しながら進むが、別の脅威に対面する。
次回、罠の解除法